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25 ねがいとなみだ
「ねぇ、お兄ちゃん。ぼくと友達になってよ……」
「お願い……」
小さなこぐまさんは震える手であーくんの手をつかみました。
自分よりも小さいこぐまさんの手があーくんの手に重なります。
そして幼いこぐまさんが寂しがり屋な性格だったことに、あーくんはびっくりしました。
「え、えと」
突然のお願いとこぐまさんの姿に、あーくんは戸惑います。
「なんで? なんでぼくのお願い聞いてくれないの……?」
「それは」
「なんで、ねぇなんで?」
小さなこぐまさんの顔が怖くなり、あーくんの手をつかむ力もだんだん強くなっていきます。
「お兄ちゃんは、ぼくの友達だよね?」
一瞬だけあーくんの瞳には、こぐまさんの顔がとても悲しく見えました。
一人ぼっちの涙が。孤独の寂しさを負った背中が。
「いやっ!」
それでもあーくんには怖いこぐまさんの方が勝っていて、こぐまさんの手を振り払います。
何も言わずにあーくんは走り去っていきました。怖くてたまらなかったのです。
絵本で見たお化けよりも、顔から湯気が出るほどお母さんを怒らせたときよりも。
「なんで……?」
小さいこぐまさんは膝から崩れ落ちて、涙を流しました。信じられないといった様子です。
「痛いよ、つらいよ……」
こぐまさんの悲痛な呟きは、むなしくも消えていきました。




