20 なみだとやさしさ
あーくんはいつの間にか、暗闇のなかで走り続けていました。大声をあげて泣き、疲れてへたりこみます。
「やっぱり、大人なんてきらい……! くらげさんのバカ!」
あーくんが叫ぶと、声が暗闇の世界に響きました。
「みんな、あーくんのことなんか……わかってくれないんだ……」
そしてしばらくすると、あーくんはまた泣き始めました。
こぼれ落ちる涙がお星さまの欠片となり、人間の姿をしたお星さまがあーくんの前に現れました。
「うるさい小僧よの。おかげで目が覚めたわ」
「え……?」
降りかかる声にあーくんは顔を上げました。
その人はまごうことなき美少年で、金色の短い髪に真っ白なローブ。まつげの長い青い瞳はとても神秘的です。
「特別に名を教えてやろう。私はお星さまだ。単なる星の集合体、どんな願いも叶えることができる」
「まさに神と言っても不思議は無いわな、小僧?」
お星さまはおじいさんのような口調で、あーくんに語りかけます。
あーくんはどう反応すればいいのか分からず、ただうなずきました。
「よきかな。では小僧、お前の悩みを聞いてあげてもよい。私は広い心を持っているからな」
「悩みがあるのだろう? さぁ、この私に話しておくれ」
お星さまは優しく微笑み、あーくんのそばに腰をかけます。
「うん……」
うつむくあーくんが話しかけるまで、お星さまは待っていてくれました。
「あのね、あーくんね、ひどいことしたの……」
「あぁ、知っておる。くらげに強く当たってしまったのだろう。思う存分泣くがよい。その方が、心が晴れ晴れとするからな」
「うっ……うわぁぁん」
お星さまは、あーくんを優しく抱きかかえます。
あーくんは気が済むまで泣き、吸い込まれるように眠りにつきました。
「……。酷なことだが、これもまた現実よ」
しばらくして、お星さまはあーくんに魔法をかけました。
こぐまさんとくらげさんの悲しい心の傷を、見ることになるのです。
辛くて悲しい、一人ぼっちの過去を。




