2 ふしぎなであい
窓から差し込むやわらかい星の光が、あーくんを起こしました。
お星さまの光は太陽のように、優しい明かりを灯しています。
「ん~……。もう朝なの……?」
あーくんがそう思うのも無理ありません。今日は何と言っても満月で、お星さまが一番輝く日なのです。
「うわぁ……!」
あーくんは何とか目を開けると、お星さまに負けないくらい目を輝かせました。
「こんなにきれいなお星さま、はじめて……」
思わずあーくんはお星さまに向かって手を伸ばします。
しかし、掴んでみてもお星さまがあるはずもなく、あーくんは少しだけがっかりしました。
「お星さまとお友達になれたらなぁ。そうすれば、あーくんの願いが……」
あーくんの言葉と同時に、なんと流れ星が流れました。一つだけでも奇跡なのに、また一つ。二つと、尋常じゃないほどの星が流れ始めます。
「な、なに!?」
どうやらお星さまは一点に集中して集まっているようです。突然の出来事に、あーくんも驚きます。
やがてそれらはあらゆる方向に散っていきました。色んなことが起こりすぎて、あーくんの頭は今にもパンクしそうです。
「うわぁっ!」
追い討ちをかけるように、ズドンと大きな揺れがあーくんの家を襲います。
何もかもがちんぷんかんぷんなあーくんは、とりあえず『こぐまさん』を抱きしめてベッドから降りました。
「こぐまさん……。あーくん、怖いよ……」
あーくんは怖くて、ついに泣き出してしまいました。涙が頬をつたい、床に流れ落ちます。
「あーくんは、どうすればいいの……?」
こぐまさんに問いかけても、まだ返事は返ってきません。あーくんの泣き声だけが部屋に響きます。
すると、どうしたことでしょう。あーくんの涙がお星さまへと変わっていきます。
あーくんの涙だったお星さまはこぐまさんに降り注ぎ、ぬいぐるみから人間の姿へと変貌しました。
「え……!?」
もう、夢か現実かさえも分かりません。ですが、こぐまさんの方があーくんよりも一番驚いていました。
「うえぇぇ!?」
人間になったこぐまさんは抱きしめられているのが理解できず、変な叫び声をしてあーくんから離れます。
こぐまさんは短い茶髪で左目は黒い瞳でしたが、右目はボタンになっています。
よれよれの白い長袖シャツと、黒い短パンにソックスベルト。そして、腰のホルダーにはナイフと銃が入っていました。
そして何より、真っ赤なリボンがよく目立ちます。
「へ、へへ……。よろしくな、旦那……」
こぐまさんはひきつった笑顔で、江戸っ子口調で話します。
「よ、よろしく」
この不思議な出会いが、これから出会う仲間とともにお星さまを巡るきっかけとなりました。