18 まとめとこたえあわせ
「決着も着いたところだし、聞きたいところがあるんだが」
開口一番、こぐまさんはおおかみさんに堂々と尋ねました。手をあげるほど、重要なことを聞きたいようです。
「うん、なんだい? 俺でよければ、答えられる範囲でなら大丈夫だけど」
何か大事なお話をするらしく、あーくんは大人しく二人の話を聞いていました。
「旦那とお前は、どういういきさつで知り合った? 幼馴染みのくせして、まさか『知りません』とは言わないよな」
こぐまさんが、おおかみさんを鋭い目付きで睨み付けます。
「あぁ。確かに、俺とこぐまとは幼馴染みだったね。お坊っちゃんにも分かりやすいように、噛み砕いて言おう」
「復習も兼ねて、まとめの時間といこうじゃないか」
おおかみさんは怪しく笑って見せました。
あーくんがこぐまさんとおおかみさんの話を聞いていると、くらげさんが悲しそうな顔をしていたのに気づきます。
「くらげさん、どうしたの?」
「……ううん。なんでもないよぉ」
くらげさんは少し暗い声をしたものの、いつも通り『にへらっ』と笑ってくれました。
「お話のところ悪いんだけど、お坊っちゃん。答え合わせの時間だよ」
「こたえあわせ?」
「そう。学校の授業とやらでもしただろう? 正解には丸を。間違いにはバツをつける。君がそう言ってくれたじゃないか」
「う、うん」
あーくんは少し変な気分になります。心が見透かされているような気がして、鏡に取り囲まれたようにも感じます。
おおかみさんの話を聞くと、うっかり言葉をこぼしていましそうになるのです。
「じゃあ最初に言うけれど、俺とお坊っちゃんが出会ったのはこぐまよりも少し前の話。これは覚えてるよな?」
「うん、おぼえてるよ。あーくん、おおかみさんとは夢で出会ったもん」
こぐまさんはそれを聞いて、歯切れを切らしたようにぶつぶつ呟きました。
「くそっ、なら知ってて当然か……。旦那にとっては当たり前の世界……。いくら空想であろうと……」
「こぐまさん、どうしたの?」
「い、いやっ何でもねぇ。ただの独り言だ」
あーくんが「そう?」と言うと、こぐまさんは「そうなんだよ」とほんのちょっとだけ強い口調で言います。
「話を戻そう。俺とお坊っちゃんが出会った約半年後……クリスマスに、こぐまとの出会いがあったわけだ」
「お坊っちゃん、分かったかい?」
「うん、わかったよ! あーくんとおおかみさんは夢のなかで出会って、クリスマスにこぐまさんと出会ったんでしょ?」
「そうさ。よくできました」
おおかみさんはあーくんの頭を優しく撫でると、こぐまさんは嫉妬でそっぽを向いていました。
「じゃあ、彼女はどうなる?」
おおかみさんの冷たい声に、あーくんは「え?」と首をかしげます。
「彼女……くらげだけが一人だけ誰にも見えず、信じてもらえない」
「お坊っちゃんが大人になっていくうちに、忘れ去られるだろうね。君だけは」
「……そんなの分かってる」
くらげさんの声が、いつもののんびりとした口調ではなく、震えていました。
「ぼくが……。わたしだけが、あの子に忘れられることくらい……!!」
くらげさんの悲しみは大粒の涙となり、しずくは落ちることなく宙へ浮かんでいきました。




