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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
ねがいとぼうけん
18/38

18 まとめとこたえあわせ

「決着も着いたところだし、聞きたいところがあるんだが」


 開口一番、こぐまさんはおおかみさんに堂々と尋ねました。手をあげるほど、重要なことを聞きたいようです。


「うん、なんだい? 俺でよければ、答えられる範囲でなら大丈夫だけど」


 何か大事なお話をするらしく、あーくんは大人しく二人の話を聞いていました。


「旦那とお前は、どういういきさつで知り合った? 幼馴染みのくせして、まさか『知りません』とは言わないよな」


 こぐまさんが、おおかみさんを鋭い目付きで睨み付けます。


「あぁ。確かに、俺とこぐまとは幼馴染みだったね。お坊っちゃんにも分かりやすいように、噛み砕いて言おう」


「復習も兼ねて、まとめの時間といこうじゃないか」


 おおかみさんは怪しく笑って見せました。


 あーくんがこぐまさんとおおかみさんの話を聞いていると、くらげさんが悲しそうな顔をしていたのに気づきます。


「くらげさん、どうしたの?」


「……ううん。なんでもないよぉ」


 くらげさんは少し暗い声をしたものの、いつも通り『にへらっ』と笑ってくれました。


「お話のところ悪いんだけど、お坊っちゃん。答え合わせの時間だよ」


「こたえあわせ?」


「そう。学校の授業とやらでもしただろう? 正解には丸を。間違いにはバツをつける。君がそう言ってくれたじゃないか」


「う、うん」


 あーくんは少し変な気分になります。心が見透かされているような気がして、鏡に取り囲まれたようにも感じます。


 おおかみさんの話を聞くと、うっかり言葉をこぼしていましそうになるのです。


「じゃあ最初に言うけれど、俺とお坊っちゃんが出会ったのはこぐまよりも少し前の話。これは覚えてるよな?」


「うん、おぼえてるよ。あーくん、おおかみさんとは夢で出会ったもん」


 こぐまさんはそれを聞いて、歯切れを切らしたようにぶつぶつ呟きました。


「くそっ、なら知ってて当然か……。旦那にとっては当たり前の世界……。いくら空想であろうと……」


「こぐまさん、どうしたの?」


「い、いやっ何でもねぇ。ただの独り言だ」


 あーくんが「そう?」と言うと、こぐまさんは「そうなんだよ」とほんのちょっとだけ強い口調で言います。


「話を戻そう。俺とお坊っちゃんが出会った約半年後……クリスマスに、こぐまとの出会いがあったわけだ」


「お坊っちゃん、分かったかい?」


「うん、わかったよ! あーくんとおおかみさんは夢のなかで出会って、クリスマスにこぐまさんと出会ったんでしょ?」


「そうさ。よくできました」


 おおかみさんはあーくんの頭を優しく撫でると、こぐまさんは嫉妬でそっぽを向いていました。


「じゃあ、彼女はどうなる?」


 おおかみさんの冷たい声に、あーくんは「え?」と首をかしげます。


「彼女……くらげだけが一人だけ誰にも見えず、信じてもらえない」


「お坊っちゃんが大人になっていくうちに、忘れ去られるだろうね。君だけは」


「……そんなの分かってる」


 くらげさんの声が、いつもののんびりとした口調ではなく、震えていました。


「ぼくが……。わたしだけが、あの子に忘れられることくらい……!!」


 くらげさんの悲しみは大粒の涙となり、しずくは落ちることなく宙へ浮かんでいきました。

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