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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
であいとなかなおり
12/38

12 おくれてしまったおもい

こちらも『訳アリ男子高校生!』にて、訳ありな高校生たちと出会ったあーくんのお話

 電車に揺られて、あーくんはいつの間にか寝ていました。


 目覚めて辺りを見渡すと、何人か男の人たちがいます。けれど、やはりさゆりはいませんでした。


「さゆりお姉ちゃん……」


 あーくんが呟くと、何人かのうち一人の男の人がこちらにやって来ます。


「お前……さゆりを、知ってるのか?」


 その男の人はぼさぼさの黒髪で、眼鏡をかけていました。


 服装もジャージというラフさで、とても信じられないような顔をしています。


「う、うん……」


松風(まつかぜ)ちゃん、どうしたの~?」


「どうしたんだ?」


「急に行くから……びっ、びっくりしたよ……!」


 すると三人の男の人たちも、あーくんの所へやって来ました。


「ねぇねぇ。この子、迷子なんじゃない?」


 あーくんを迷子だと気づいた男の人は、白い髪の毛に赤い目をしていました。日焼けや防寒対策なのか、赤いパーカーを被っています。


「マジかよ。なぁ、自分の名前やお母さんの名前言えるか?」


 あーくんを心配してくれた男の人は、金髪に黒い瞳をしています。耳には、きらりと光るピアスをしていました。


「ま、迷子なら、たっ、助けないと……」


 おどおどしながらも勇気のある男の人は、紺色の髪に青い瞳をしていて幸薄そうな感じです。


「おい、お前らやめろよ……。この子が困ってるだろ」


 色んな人と声が混ざってあーくんは混乱しましたが、最初の松風という人が仕切ってくれました。


「だ、だいじょうぶ」


「俺は松風。こいつらは桜花(おうか)、木村、蒼井(あおい)だ。賑やかなやつらだが、よろしくしてやってくれ」


 あーくんは、お兄さんたちに笑顔で自己紹介をします。


「お兄ちゃんたち、よろしくね。あーくんだよ」


 「可愛い~!」や「よろしく」といった声がかかるなか、松風だけは難しい顔をしていました。


「まつかぜお兄ちゃん、どうしたの?」


「あぁ……。お前、本当にさゆりを知ってるんだな?」


「うん、知ってるよ! さっきおはなししたの」


「はは、お話したのか……。そうか……」


 松風の顔は次第にしょぼくれていきます。


 あーくんは、『たぶん、この人がさゆりお姉ちゃんのすきな人だ』と察しました。


「あのね、まつかぜお兄ちゃん」


 あーくんが松風に声をかけると、松風は暗くて沈みそうな顔をしていました。


「あのね。さゆりお姉ちゃんがね、まつかぜお兄ちゃんのこと、好きだって」


「伝えられなくて、こころに引っかかってたんだって」


 そして、松風の瞳に一筋の光が差し込みます。


「そうか……。さゆりが……」


「俺も……。さゆりことが、好きだ……。好きだったんだ……!」


 松風は静かに泣いて、後悔と告白の言葉を繰り返しました。


 しばらくすると電車は駅に止まり、松風以外の人たちは先に降りました。


「……ありがとうな。お前に出会えて、良かった」


「あーくんも」


「じゃあ、またな」


 最後に松風はあーくんの頭を優しく撫でて、電車を降りました。


 ドアが閉まり、アナウンスとともに電車が発車していきます。


「あーくんも、みんなに出会えてよかったよ」


 あーくんはお星さまに包まれて、また別の場所へと消えていきました。

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