10 なかよくなるには
あーくんと白黒双子のコラボ②です
あーくんがアルトとライムに連れていってもらった先は、有名なジャンクフード店でした。
今日は休みということもあり、親子連れが多く店員は大忙しです。
「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」
あーくんが何を頼もうか考えていると、店員がやってきて優しいスマイルを提供しました。
「え、えっと……」
あーくんがたじろいていると、アルトが素早く注文を頼みます。
「ダブルチーズバーガーのセットで、ポテトL。ドリンクはコーラ。あと、ブラックチョコパイ一つ」
あーくんはびっくりしました。口下手なアルトが食べ物になると、途端に目を光らせて饒舌になるのです。
「ぼ、僕はポテトSとホワイトチョコパイ。それと、野菜ジュースをお願いします……」
一方ライムは、食べ物のことになれば遠慮ぎみになってしまいます。
元から食が細いというのもあるのでしょうが、出会った頃とは大違いです。
「……あーくんは、何を食べるの?」
「こ、これ」
あーくんがメニューを指さしたところは幸せセットという、おもちゃ付きのお子様向けの物でした。
「ハンバーガーとポテトの幸せセットですね。飲み物は何になさいましょうか?」
「お、オレンジジュース」
「かしこまりましたー」
会計とおもちゃ選びを済ませて、三人はさっそく運ばれたハンバーガーやらポテトを食べ進めていきます。
「アルトは、いっぱい食べるね」
「ふぉうふぁな?」
「ちょっとにいさん。口いっぱいに物を入れながら話すのはやめてよ」
「……んぐ。ご、ごめん……」
相変わらずアルトの食べる量は凄いですが、あーくんの心には釣り針のように引っ掛かっているものがありました。
「どうやったらそんなに、仲良くなれるの……?」
思えば、あーくんには最近お母さんに冷たくされ、こぐまさんと喧嘩をしたばかりです。
あーくんにも悪いところはありますが、あーくんはもっと楽しくお話するのを望んでいました。
それが今ではどうでしょう。あーくんはお母さんとの会話も少なくなり、こぐまさんの気持ちも知らないで家出をしてしまいます。
「っ……ぐすっ……」
あーくんの瞳から涙が流れてきます。「あーくんは悪い子なんだ、だからみんなにめいわくをかけるんだ」「そんなことないよ」、と二人は言います。
「だって……だってぇ」
あーくんが駄々をこねるように泣いていると、アルトは黙ってあーくんの頭を優しく撫でました。
「あーくんはいい、子。それは、僕でも……わかる」
「うん、君はいい子だよ。ちゃんと話せば、こぐまさんやお母さんも分かってくれる」
「本当……?」
あーくんが尋ねると、ライムは優しく言い聞かせるように話してくれます。
「家族……友達もそうだけど、一番仲良くなる方法はやっぱり、相手の顔を見て直接話すことだと思うんだ」
「そうやって相手の気持ちを理解して、違うときは違うって言って……。気持ちがぶつかっても一緒に話し合って乗り越えれば、もっと絆が深まって良いことになるんじゃないかな」
「僕、も……そう思う」
「ライム、アルト……。ありがとう!」
「いえいえ」
「どういたしま、して」
あーくんが二人にお礼を言うと、またもやお星さまがあーくんを包んでいきます。
「うわ!?」
「何……!?」
アルトとライムが驚いている間にも、お星さまはあーくんを別の場所へ移動しようとしていました。
「……幸せセット、おいしかった。でも、もう行かなきゃ」
「うん、わかった。行ってらっしゃい」
「また、ね」
「またね。アルト、ライム」
あーくんはお星さまの光を浴びながら、笑顔で消えていきました。




