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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
であいとなかなおり
10/38

10 なかよくなるには

あーくんと白黒双子のコラボ②です

 あーくんがアルトとライムに連れていってもらった先は、有名なジャンクフード店でした。


 今日は休みということもあり、親子連れが多く店員は大忙しです。


「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」


 あーくんが何を頼もうか考えていると、店員がやってきて優しいスマイルを提供しました。


「え、えっと……」


 あーくんがたじろいていると、アルトが素早く注文を頼みます。


「ダブルチーズバーガーのセットで、ポテトL。ドリンクはコーラ。あと、ブラックチョコパイ一つ」


 あーくんはびっくりしました。口下手なアルトが食べ物になると、途端に目を光らせて饒舌(じょうぜつ)になるのです。


「ぼ、僕はポテトSとホワイトチョコパイ。それと、野菜ジュースをお願いします……」


 一方ライムは、食べ物のことになれば遠慮ぎみになってしまいます。


 元から食が細いというのもあるのでしょうが、出会った頃とは大違いです。


「……あーくんは、何を食べるの?」


「こ、これ」


 あーくんがメニューを指さしたところは幸せセットという、おもちゃ付きのお子様向けの物でした。


「ハンバーガーとポテトの幸せセットですね。飲み物は何になさいましょうか?」


「お、オレンジジュース」


「かしこまりましたー」


 会計とおもちゃ選びを済ませて、三人はさっそく運ばれたハンバーガーやらポテトを食べ進めていきます。


「アルトは、いっぱい食べるね」


「ふぉうふぁな?」


「ちょっとにいさん。口いっぱいに物を入れながら話すのはやめてよ」


「……んぐ。ご、ごめん……」


 相変わらずアルトの食べる量は凄いですが、あーくんの心には釣り針のように引っ掛かっているものがありました。


「どうやったらそんなに、仲良くなれるの……?」


 思えば、あーくんには最近お母さんに冷たくされ、こぐまさんと喧嘩をしたばかりです。


 あーくんにも悪いところはありますが、あーくんはもっと楽しくお話するのを望んでいました。


 それが今ではどうでしょう。あーくんはお母さんとの会話も少なくなり、こぐまさんの気持ちも知らないで家出をしてしまいます。


「っ……ぐすっ……」


 あーくんの瞳から涙が流れてきます。「あーくんは悪い子なんだ、だからみんなにめいわくをかけるんだ」「そんなことないよ」、と二人は言います。


「だって……だってぇ」


 あーくんが駄々をこねるように泣いていると、アルトは黙ってあーくんの頭を優しく撫でました。


「あーくんはいい、子。それは、僕でも……わかる」


「うん、君はいい子だよ。ちゃんと話せば、こぐまさんやお母さんも分かってくれる」


「本当……?」


 あーくんが尋ねると、ライムは優しく言い聞かせるように話してくれます。


「家族……友達もそうだけど、一番仲良くなる方法はやっぱり、相手の顔を見て直接話すことだと思うんだ」


「そうやって相手の気持ちを理解して、違うときは違うって言って……。気持ちがぶつかっても一緒に話し合って乗り越えれば、もっと絆が深まって良いことになるんじゃないかな」


「僕、も……そう思う」


「ライム、アルト……。ありがとう!」


「いえいえ」


「どういたしま、して」


 あーくんが二人にお礼を言うと、またもやお星さまがあーくんを包んでいきます。


「うわ!?」


「何……!?」


 アルトとライムが驚いている間にも、お星さまはあーくんを別の場所へ移動しようとしていました。


「……幸せセット、おいしかった。でも、もう行かなきゃ」


「うん、わかった。行ってらっしゃい」


「また、ね」


「またね。アルト、ライム」


 あーくんはお星さまの光を浴びながら、笑顔で消えていきました。

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