出だし
上を見れば空が青く、周りを見れば人の話し声が聞こえる。
何を見ても楽しそうに感じる。
バス停まで歩きバスに乗り込み窓の外の様子を見ながら会社に向かう。学生達の笑い声がバス停の中で響く。それを俺はうるさいとは思わず心地よく聞くのだった…
私の名前は山田晃充、北海道のある工場で働いている。毎日同じ時間の出退勤、同じ仕事内容。入社して約1年になる。
最初のうちは分からないことが多く何もかも新鮮に感じ、充実した毎日を送っていた。「辛くない」と言えば嘘になるがそれでも休日は好きな友達と遊びに行ったりして過ごしていたのだがそれも半年で終わってしまった。遊ぶときのイツメンで中心にいた人が静岡に行き、あとの人は大学、就職で忙しく遊べなくなってしまい、仕事も上手くいかず、人間関係も良くできていなかったのだ。
「こんなの青春じゃない…」
力が入らなく何を見ても焦点が合わず手で掴むのは虚空のみだった。
最初は社会人って大人っぽく充実して自由な生活が待っていると思っていたが理想とは遥か違う位置にいる実感ができるというのがとても悲しく帰り道を情けなく歩くのだった。
あと少しで家に着くところで携帯がなった。最初はなんかのニュースか情報だと思い無視しようと思って放っておいたが、その後複数に渡り着信きて、ついに携帯を覗くことにした