前髪を
前髪を上げる少女のような男性。
口火を切ったのは、その人だった。
「帰らないといけない場所があるので」
分かれる人の波に押されて、どこに行ったらいいのかわからなかったの。
前の男は、うなじにリストカットの跡のような横線が入っている。
子供用のなまくら刀で、首を切られて、何度も死にたいと思ってるのに死ねないのかしら。
首の後ろから血が出て、でも数十分もすれば止まってしまうのかしら。
そんなのはつまらなくて、苦しそうだ4.7
死にたいと思っても死ねないで、退屈でつまらなくて泣いてしまうような、夜があった。
それにしては誰も何も言わないで、幸福の絶頂で、みんなが手をつないでにこにこ笑いあって音楽を聴いているような集いのさなかに、テーブルの上のガスコンロから火が噴き出て、一家全焼なんてこともあって。
もうこの世の中なんて信じられないくらい。人なんて信じられないくらい。信じるからショックを受けてしまうのであって、あなたに何の期待もしていなければ大丈夫だよね。