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悪魔使いで異世界冒険  作者: インスタントカルマ
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5.ファーストコンタクト


「お仕事中すいません。 ちょっと教えて頂けますか?」

「くぁwせdrftgyふじこlp」


はいっ? 両手を前に出して"ちょっと待って"というジェスチャーを示すと、10m程離れてから後ろを向く。

確かそれっぽいのが有ったはずだ。召喚プログラムを起動して種族:ジュエルデーモンというのをチョイス。 技能の所に 大陸共通語:中級を足して召喚。 MP(?)がゴッソリ抜き取られるがギリギリだった様だ、頭がクラクラする。現れた魔物はトンデモナイ値段がしそうなキラキラの豪奢なネックレスの姿をしていたが小声で「地味で小さめの形に変形して」と頼むと木製の十字架付きネックレスに変身した。


「失礼しました、お待たせしました。」

「どうしたね? 急に」

「長らく犬と二人っきりで過ごしてたものですから、いざ人に話しかけようと思ったら緊張してしまって」

「ハッハッハッ、面白い兄ちゃんだなや、コリャ」


よし完璧に意思疎通が出来るぞ。 これは勿論先ほど選択した大陸共通語:中級のお陰。その今は十字架型になって首にぶる下がっているジュエルデーモンは元々他にも能力を持っていて、


形状変化:下級 装飾品の範囲内で形状や大きさ材質を変えられる

感覚接続:効果範囲接触 五感や心の声を共有する

外見:美しい見た目

召喚時間延長:10日


これに加えて、オレが目をつけたのが

技能付与:下級 同時に1つまで習得している技能を触れた相手に付与することが出来る(持続1刻:技能レベルは技能付与のレベルまでに制限される)


この能力によってYes/Noの発音すら知らなかった大陸共通語をネイティブレベルで自由に操れる様に成ったというわけだ。よくよく説明を読み返してみると大陸共通語:中級はオーバースペックだったみたいだな。無駄なMP使った。ゴブリンの襲撃が減って来たので道すがら能力やスキルのリストを読んでいたのが幸いした。駅前留学そっとじ


「仕事の手を止めてしまって申し訳有りません。 この村で1泊宿を取れたらと考えているのですが」

「ああ、宿なんて御大層なもんじゃ無いが、行商人が来たときゃ村の寄り合い所に泊まってもらっとるよ」

「是非お願いします」

「良いともさ。 案内してやろう」

「でもお仕事は?」

「丁度農具をとりに戻るついでだ。気にせんでええよ」

「それではよろしくお願いします。」


村まで500mほど、自己紹介をしながら歩いて行く。 設定はこうだ

○名前:としや 苗字は名乗らない方が良いかな?と思ったらそれで正解っぽい。

○年齢:20 試しに二十歳と言ってみたら「15位かと思ったよ」と言われた。流石に15は無いだろ? 俺、今年28だぞ。

○職業:まじない師 この世界の常識の知らなさを人里離れて育った設定にするにあたって、木こり、猟師、武者修行中の剣士なんてのも頭を過ぎったがどれも俺の体型にそぐわない。 魔法使いなんて名乗って「魔法を見せてくれ」と求められたり迫害される可能性も考えて却下。 ”まじない”位は何処の世界にも存在するだろう、という判断。 適当にゴニョゴニョ念仏唱えておけばそれっぽく振る舞えるだろうし。

○旅の目的:見聞を広めるため 実際、この世界を知らないので色々見て回りたい。 10日で何が分かるかわからんが。


ちなみに案内してくれているのはロンダさん。46歳、専業農夫。60絡みの爺さんかと思ったらまさかの40代。孫も3人居るらしいので爺さんには違いないが。

村長さんの所に挨拶を入れてから直ぐ脇に立つ寄り合い所に案内して頂く。 板敷き15畳程の何もない一軒家で、寝る時は野宿用の毛布を被って雑魚寝するらしい。 井戸と屋外トイレは村長さん宅の物を使わせて頂く形。

タダで使わせて頂くのも忍びないのでお支払い致しますよ、と伝えると「では1/4銀=20銅銭も頂ければ」と言われるも1/4銀貨も銅貨も持ってないので銀貨1枚を渡した所大層恐縮された。

飯の支度もしないと成らないがまずは一休みさせて欲しい。久しぶりの遠距離歩行とMP使い過ぎで疲れたよ。


ドアをノックする音に目を覚ます。いつの間にか寝入っていたらしい。ガラスの入っていない窓の外を見ればもう夕暮れ時だった。 訪ねてきたのは村長さんトコのお孫さんで、随分余分にお金を貰ってしまったのでもし未だであれば夕食にご招待したいと言う。 気にしなくて良いのに、でも有り難い!

二つ返事でお呼ばれする。ちなみにソグンとジュエルデーモンのアークラさん(声年齢:推定24歳女性)は召喚された際に摂取したMPだけ有れば他に食事等は必要無いそうである。

メニューはベーコンが少量に野菜がゴロゴロ入った具だくさんなスープ、同じ材料を乾燥させた香草とラードを掛けてオーブン焼きしたもの、ハードタイプとウォッシュタイプ2種類のチーズ、カンパーニュ(フランス田舎風パン)っぽい見た目の全粒粉のパン。ファンタジー世界の料理と言えば宮廷料理か具の少ない塩気のないスープと噛みきれない程硬い黒パンと思いこんでいた過去の俺をぶん殴りたい。 特にチーズに目がなく、それだけを目当てにフランスとスイスに旅行に行ったことも有る大の乳製品好きな俺はワクワクが止まらない。 それと勝手に想像していた欧州/ファンタジー世界の常識「水の代わりに酒を飲む」はココでは違うようで食卓には水差しとミルクの入ったコップが置かれていた。これを村長夫妻、息子夫妻、孫2人と俺で囲む。


「すっごい豪華ですね!? ひょっとしてコレは俺のために?」

「いえいえ、いつもこんな物ですよ。 肉類が少なくて若い人には物足りないかもしれんですが」

「トンデモナイ、凄い美味しそうです」


実際、スープは野菜の旨味が凝縮しているし、オーブン焼きはラードがちょっとギトっているもののバジリコに似た香草が食欲をソソる。チーズはどれも熟成度が完璧で今迄に地球で食べてきた高級チーズと比べても余裕でベストテンに食い込んでいる。


「ごちそうさまでした! 大変堪能させて頂きました。」

「お粗末さまでした」

「時にタシアさんは”まじない師”だとか。魔物よけの呪いとかはお持ちかの?」

「としやです、と・し・や。 自分は修行中の身ですから持続時間の長いモノはまだ。1周間程のものなら何とか成りそうですが」


魔族の技能の中に確か、結界魔法: ってのが有ったはずだ。詳しくは読んでいないけど魔物限定の結界発動も出来るかも知れない。 しかし召喚の能力をまだ使いこなせていない現状、俺がこの世界を去った後も魔族が存在し続けるかどうか保証出来ない。 そんな中途半端なものに頼ってしまっては返って危険かも知れない。


「申し訳有りません。 魔物で何かお困りの事でもあるんですか?」

「最近、西ノ森でゴブリンが異常繁殖しておりましての。 今の所人を襲うことは無いのですが畑を荒らされたり先日は放牧していたヤギを6頭盗まれました。」

「ああ、あの森ですね。 丁度、そこを抜けてきたんですが確かに随分居ましたね」

「えっ? 西の森の中を抜けてきなすったんですか!?」

「え?ええ、、何か不味かったですか? 神聖な森とかそういう?」

「そういうのは別に無いんですが、村の中でも腕の立つ猟師が連れ立って何度か入ってみたのですが倒しても倒しても奥に行くほど湧いてくるそうで。 奴らの根城近くでは鉄の武器を持った個体も出てくるそうですよ。 そんな所をお怪我も無くよくご無事で」

「ええ、まぁ即効性のある呪いは得意なもので、、 よろしければ美味しいお食事のお礼にある程度駆除してきましょうか?」

「そんな! それに村には現金の蓄えも余り無いので礼金をお支払いすることも叶いませんし」

「お礼なんて別に入りませんよ。 それじゃもう一泊させてもらって明日の食事もお願いしてしまって良いですか? それがお礼という事で」

「本当にそれでいいんですか? それは願ったりかなったりですが、、、 そんではお願い申し上げます」

「はい、よろこんで」


ひょんな事からクエストを受注してしまった。 これですよ。これこそファンタジー世界の醍醐味。 気分は高揚しているけれどゲームと違って掛かっているのは一つしか無い本物の命。 今晩中に色々用意して置かねばいかんな。


翌朝、明け方近くに腕時計のアラームで強制的に目を覚まされる。 普段こんな時間に起きたことがないから二度寝しないように無理くり目を覚ますのがシンドい。表に出てみれば村人の皆さんはもう活動時間に入っているようで農機具を背をった人が三々五々畑へ向かって歩いて行く。お、あれは昨日案内をしてくれたロンダさんじゃないか。


「ロンダさん、おはようございます」

「おはようございますタシアさん。もうご出発ですか?」

「としやです、と・し・や。実はゴブリン討伐を村長から依頼されまして今から出かける所です。」

「としやさんは冒険者さんでしたか? そいつぁお見逸れいたしました。ゴブリンにはホトホト困ってた所なんで退治して下さるんならホント大助かりでさぁ」


やっぱり居るんだ!?冒険者。 よし! ”この討伐が無事終わったらオレ町に行って俺冒険者に成るんだ!”


「ところでタシアさん、昨日は犬さ1匹しか連れてなかったように思っただが?」

「まぁ、これがまじない師の力ってヤツですよ。」


そうなのだ。今、足元でピシッと「待て」の姿勢のままコチラを見上げているのは3匹の犬。 白いソグンと、茶褐色の毛並みを持つシェパードっぽいエイフォン、黒いグレートデンっぽい見た目のキノトーン。 能力はソグンと同じモノに感覚接続:効果範囲10km(五感や心の声を共有)を加え、召喚時間延長:1日に減らしたもの。一眠りして大分MPが回復した昨日の内に召喚しておいたのだ。


「まじない師のお兄さん。これ持ってって下さい」


そんな話をしていたら村長さんのお孫さんが朝ごはんを包んで持ってきてくれた。 この辺りの人は朝日と同時に起きだして一仕事した後、朝食兼昼食を取って夕方まで働き、夕食を食べて眠る1日2食の生活スタイルらしい。


「朝ご飯までご馳走に成れるの? ありがとう。村長さんとお母さんにご馳走様と伝えておいて。それでは行って来ます♪」


「「行ってらっしゃい!」」


ロンダさんとお孫さんに見送られて仕事に出かける。 ずっと一人暮らしだからお見送りされるのって上がるわー。



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