第一章 Vol2.02 色柄物にはご用心
孔雀の懲りない面々と、結局夜中まで上映会に付き合ってしまった。
今回観たアニメは、仲間と開発したタイムマシンで“意識だけ”を過去に飛ばす過去改変もの。何度も何度も過去に抗い、やっとのことで幼馴染の死を回避して、未来を手に入れる主人公の話だった。
……なんだか、今の自分と境遇が被ってる気がする。
……いや、そこまで抗ってもないか。なんなら逃げてる気さえする。
ハイスペックで血生臭いアドベンチャーゲーム……いや、アルファテストって実はそういう話?
――アルファテストをサボってもう10日。
そろそろ、あのゴーグルを付けるべき頃合いかもしれない。
……罪悪感、感じてるな俺。
サボってるくせに妙に真面目。自覚ある分、ちょっと面倒くさい性格だ。
「明日は帰ったら久々にログインしてみるか……」
そんなことをぼんやり考えながら、俺は“バイト戦士”モードに切り替えて、松山氏の固定バイト――例の映画館に気持ちを馳せる。
* * * * * * * * *
朝から快晴。今日は洗濯日和!
テンションが微妙に上がった俺は、朝から洗濯機を回していた。シャキーンと乾いたTシャツやジーンズを夕方のバイトで着られるって、ちょっとした幸せだ。
鼻歌まじりで洗濯終了の電子音に呼ばれ、洗濯機を開けに行く。
――――事件はいつもすぐそばで起きる。
洗濯機の中が……ピンク色だった。
色の濃いジーンズはかろうじて耐えていたが、白生地のシャツやインナーはことごとくピンクに染め上げられている。
恐る恐る、手に取ったシャツを広げると、まるで絞り染めのアート作品のように、斑にピンク色が散っていた。
……あっ、アロハから色移りした?
洗濯機の中から、『にーちゃん、ここにおるで!』とでも言いたげに、赤い生地がしれっと顔を出す。
タグを見る。
「手洗い・漂白禁止・色移り注意」――満点の注意書き。
母ちゃんからの誕生日プレゼントだった白シャツが、よりにもよってアロハの犠牲になるとは……。
今日の映画館の制服、白だった気がするんだけどな……終わったかも俺。
快晴の空の下、妙にやさしい風に吹かれながら、ピンクがかった洗濯物をベランダに干す。
底抜けの青空が、逆に切なく感じる。
……空って、こんなに眩しかったっけ。
そんな微妙に染まった気分のまま、俺はキャンパスに向かった。
色柄ものつながりで、次回色物の人物が登場するかも。
私の知っている人・モデルになっている人物がいるのですが現職ではないはずです・・・・たぶん




