第5話 不穏な影!知られざる真実!~どこの世界も上の人間は大半腐ってる~
作者の撫子です!いや~卒業式や就職関連なんかで自分の時間がゼロでした(笑)
ちょくちょく書き溜めはしてたんですが約一か月ぶりの投稿です!これからは時間が空くんで巻き返しを図りますよ!それでは第5話どうぞ!
何もない黒の空間に影が二つ。
「やってくれたな深淵の闇」
この空間唯一の白の人物が語りかける。
「よく言うわ。自分で殺しておいてあとは放置.....なんて奴より余程親切心にあふれていると思うけど?それと、その名で呼ばないでちょうだい。虫唾が走る」
「お前にそれ以外の名があるとでも言うのか?神界を追放され名取になったお前に」
「誰のせいで!....まあいいわ。今はそんなことを議論している暇はないの、それに名ならあるわ。ノワールよ」
「ふん、仮初の名が何になるというのだ。それよりも深淵よ、貴様いったい何がしたい?別世界に人間を送って我の能力を付与して」
「貴方には分からないことよゼロムス。窮鼠猫を噛むって言う素敵な言葉を知らない貴方みたいな人は一生分かりはしないのだから」
「分かりたくもないな、我より下の者が考えた言葉やモノに意味など無いのだ!世界は!宇宙は!我が管理している!すべての生命は我の指示に従って生きていけばよい!それ以外に何がいる!そうであろう?」
何もなかった空間に突如神殿のようなものが現れる。
「私の空間を汚さないでくれる?」
パチン!
空間は元の暗闇へと姿を変えた。
「な?!我の能力を上書きしただと!?まだそんな力が残っていたのか!」
「貴方の力って宇宙神から形だけ奪った劣化品でしょう?そんなの私には意味ないわ。あの頃とは違うのよ」
「っく!貴様ッ........!?」
ゼロムスの勢いが崩れ驚愕の表情が浮かぶ。
「宇宙神の力の波動だと?!バカな!奴はこの手で我が葬ったはず!!これはアスティアからか?....貴様の仕業か深淵!」
「(そう...遂に神衣に成ったのね。)私は切っ掛けを与えたにすぎない。貴方が危険と判断して片っ端から殺してきた人間の一人よ?今更どうなったって構わないじゃない。それにすべてを決めるのは宇宙意思、私たちは何もできないわ」
「クソが!全てが片付いたら覚えておけ!今よりも苦痛を伴う空間に送ってやる!」
そう言い残しゼロムス溶けるように消えていった。
「全てが片付いたら....ね。その時は貴方が消えて私は彼と残りの生を生きるわ。そうでしょう?燎」
優しい目で何もない空間に微笑みかけていた。
「落ち着いた?兄さん」
「ええ、何とかね」
エクールの兄さん発言の不意打ちによって沈黙していた私は2分後に復活した。エクール....恐ろしい子!
「それよりエクール、私がこの口調を続けるなら兄さんはまずいわ」
「何で?口調は女の子でも兄さんは男の子なんでしょ?」
まあそうなんだが...
「どうせなら女の子に成りきったほうが恥ずかしくないし、いいことが有るかもしれないからよ?」
「うーん、分かった!お姉さま!」
お姉さま....だと?
「っふ....ぐは!」
っといけない!また同じことの繰り返しになるところだった。
後今ロリコン言った人、嫉妬って醜いわよ?
「それよりも、まずはこのドラゴンを何とかしないと」
まさかここに置いて行くなんて考えありもしない。だってもったいない
「でもこれとっても大きいよ?どうするの?」
「それはね?こうするのよ」
先ほど薬草詰め込んだバックを取り出し、そこに....。
「ん....っしょ」
詰め込んだ。
「へ?...え?」
「ん?どうしたの?エクール?」
ぽかんとしてるエクールはかわいいです、じゃない!
「いったいその鞄のどこにドラゴンが入るんですか?!」
「まあなんていってもゾウが50頭入るからね」
「ゾウ?」
おお、そうだった、この世界にゾウはいないんだった。
「とりあえず可能だよっていうこと。さあ!帰ろう?」
「はい!」
道中何の危険もなく門の前まで到着した。
「燎さん!大丈夫でしたか?!お怪我は!?」
門の前にいたキースさんにすごい勢いで話しかけられてしまった。
「キースさん、どうしたんですか?そんなにあわてて。」
「どうしたじゃないですよ?!さっき森からドラゴンの鳴き声が聞こえてきて!それも奥地の入口付近だったし!もしかしたら燎さんになにかあったのではないかと思って!」
どうやらキースさんは心配してくれていたようだ。
「ありがとうございますキースさん。でもほら、私はどこにも怪我なんてないですよ?」
「そうですか...それは何よりです。..おや?そちらの御嬢さんは?」
キースさんはエクールを見ていった。
「この子はエクール。さっき森でドラゴンに襲われていたので助けて妹にしました。」
「そうだったのですか...どのような事情か詮索はしませんが無事で何よりです!」
ホント、キースさんていい人です。
「エクール=八雲です、初めまして」
「自分はキース=グラファンっていいます。よろしくねエクールちゃん?」
うん仲良くていいことだ。
「っと、自分これからドラゴンがどうなっているのか確認しにいかないとなんで。生きてたらまた会いましょう」
とても真剣そうに、そして辛そうにそういうキースさん。
「あー、それは大丈夫ですよ?」
「えっと?いったいどういうことでしょうか?」
不思議そうに尋ねるキースさんは少し面白かった。
「私が仕留めました、これが証拠です」
そういってドラゴンの頭だけ出して見せると
「......えええええええ!!」
案の定絶叫。
「ホントに燎さんが倒したんですか?!....うわぁぁぁぁ!!すごい!尊敬しますよ!」
すっごいキラキラした目が眩しいです
「だから行かなくて大丈夫ですよ?」
そういうとキースさんはうつむいてしまった。
「....そういう訳にもいかないんです」
「というと?」
とても暗そうにそういうキースさんにどうしても理由を聞いてしまった。
「今回の調査はギルドから依頼が来てるんです。自分を指名で、しかも断れないんですよ。そしてこの依頼の真の目的は調査じゃなくて口封じなんです、自分を殺すための依頼です」
なにそれ、そんなことが!
「口封じって..!しかもキースさんを殺すためって!」
「今のギルド長は腐ってます。ギルド職員も大半は借金の方に無償労働、それも全部ギルド長がある伯爵と繋がってるから、二人で私腹を肥やしてるんです」
どこの世界も上の人間は!!!
「今回の依頼は自分を消すため、そして燎さん、あなたの受けた依頼はエミリーさんに勧められて受けましたね?」
「そうですけど、もしかして!」
そんな、エミリーさんが私を?
「勘違いしないでください?エミリーさんは燎さんを殺そうなんて思ってないです。むしろ消されるのはエミリーさんです」
「いったい何が何だか分からないんだけど」
もういろいろ分からなくなってきた。
「自分とエミリーさんは知ってしまったんです、ギルド長と繋がっている伯爵、ポルデオン伯爵の裏事情を」
ポルデオンの名前が出たときエクールがびくっとした。
「裏事情?」
「そう、裏事情。今から数日前にとある家族が盗賊に襲われて一家全滅したという事件がありました。最初は辛い出来事だなと思う程度だったんです。でも色々考えるうちにおかしいと感じたんです。あまりにも出来過ぎている、襲った盗賊はその日に討伐されて家も焼き払われていて、被害申請もすぐだった。普通はそんなことありえません、だから自分とエミリーさんはいろいろ調べてみたんです。そしたら出てきたのは闇でした。襲ったのは伯爵お抱えの騎士団で理由もその家族に伝承される魔法を奪うため」
ん?その話どこかで...
「まって!...もしかしてその魔法って羅睺魔法?」
「ええそうですが、いったいどうしてそれを?」
ということはつまり。
「エクールはその家族の生き残りなんです。その事件の後伯爵に魔法を強要されて、でも使えなかったからあのドラゴンの前に捨てられた」
「なんていうことだ....エクールちゃんが生き残りだったのか」
「全てはその伯爵とギルド長の陰謀」
「そういうことです。伯爵が借金を背負わせ払いきれなくなったらギルドに売り飛ばし無償労働させる。その代りギルド長は伯爵の悪事をもみ消す」
くそったれな奴らだ!
「でもいったいエミリーさんはどんな罪で殺されるですか?」
今の公に殺せることなんて起きていないはず。
「燎さんです」
「私?」
「そうです、あなたにその依頼を勧めたのはエミリーさんです。それも上の人間に今なら安全だから大丈夫と言われて燎さんを送り出した。でも上は知ってたんです、今日はドラゴンが活発になるって。だってそうなるように仕向けたから。そして、エミリーさんは何も知らない新人を分かっていて死地に送った最悪のギルド員として処罰される。自分もそれを知ったのは調査依頼を受けたときでした」
.......
「そして自分もこの調査で返ってくるようなことがあれば街を危険に晒したとして処罰されます。...手詰まりですね?ははは」
力なく笑うキースさんを見てられなくて私は....
「ねえキースさん?」
「はい?」
「私の者になる気はない?」
「.......へ?!それってどういう...っていうか燎さん男でしょう!?」
混乱してるみたいですね...ふふふ
「私は身内には甘いんです、でも他人には冷たい。これは徹底してますから崩したくない。でも私はキースさんを助けたい、だから私の者にならない?それに、できればエミリーさんも。彼女がうんと言ってくれれば彼女も私の者に」
「それは、願ってもないことですが....燎さんに迷惑は掛けられないですよ」
この人はホントに....優しい人だ。
「迷惑だなんて思ってないです。それにどっちにしろ伯爵は潰しますから、私身内には甘いんですよ?妹の家族を奪った奴を野放しにできるほどお人好しじゃない」
「......わかりました。私キース=グラファンは燎=八雲に仕えることを誓います!」
家臣の礼するキースはとても凛々しかった。
「ではキース。今から貴方は私の騎士ですから、主を残して死ぬような依頼は即刻破棄しに行きましょう?」
「はい!」
確りと芯の通った返事をするキースは晴れ晴れとした表情をしていた。