第4話 決闘!ハイエンドダークドラゴン!~仲間が増える時ってレベル上げ大変ですよね?~
作者の撫子です!今回は初のガチバトル展開で長編になってます。分けたほうがよかったかも?とりあえずこれで第1章終了です。作者もちょっと煮詰める頃合いかな?まだまだ初心者なのでミス、誤字、意味不明等有りましたらコメントして頂けると有り難いです!これからも細々と活動していくのでよろしくお願いします!では!第4話どうぞ!
「こっちか?」
今私は声のしたほうに走って行ってる。なんだか周囲もドヨンとした空気になってきている気がする。
雪乃桜を握る手が汗で濡れているのが分かる。
「......いた!」
ハイエンドダークドラゴンは今まさに目の前の女の子、先ほどの声の主を殺そうとしている瞬間だった。
「間に合えええええええ!!」
すぐさま抜刀!ドラゴンにぶつかっていく。
「グオオオオオ!」
刀はドラゴンの顎に切り傷を入れた。
「っち!抜けなかったか!」
ホントなら今の一撃で仕留めるつもりだったが、まあとりあえず少しの時間稼ぎにはなったことは僥倖だった。
「もしもし?大丈夫ですか?」
亜麻色の髪の少女はぐったりしているが息はしているようだった。
SIDE亜麻色の髪の少女
何でこんなことになったんだろう?ただ普通に暮らしたかった。楽しく家族で居たかった。
それだけだったはずなのに、それは唐突に現れて私たちを壊していった。
私たちの家族は特殊な守護天体を持っていた。羅睺星、それが私たちの守護天体。
だから私たちは基本属性の魔法を使えない。でも10歳の誕生日が来れば羅睺魔法に覚醒する。
私たちの祖先が羅睺星の意志と会話ができたらしい。そこで子孫に10歳の誕生日に覚醒のチャンスを与えてくれと交渉したらしい。もし10歳までに資格が無ければそこまで...ということだ。
「羅睺魔法は何でも喰らうことのできる奪う側の魔法だ」
子供の時から両親に厳しく言われてきた。
だから無暗に力を使ってはいけないと
そして私の10歳の誕生日、それは現れた。どこかの伯爵の家の人間が私たちの家に押しかけてきたのだ。
両親は必死に応戦したが、私という足手纏いのせいであっさり殺されてしまった。目の前を飛ぶ血のアカ、
地面に落ちる父の頭、泣きながら心臓を貫かれた母、そこで私の記憶は途絶えた。
気が付くとどこかの牢屋に居た。そこにそいつはやってきて言った。
「今からお前は俺の奴隷だ!その能力を俺の為に全力で使え!」
一方的にそういって男は消えた。
なんで?なんでそんなに笑顔なの?どうして笑ってるの?貴方はいったい......なに?
それから私は能力の使用を強要された。でも使わなかった、いや使えなかった。もちろん両親の教えを守って使う気などない。でも使えなかった、私には資格が無かった。当然だ、両親が目の前で殺されたのに何もできなかった、資格などあるわけがない。
遂にそのことが男にばれた、
「このゴミが!!あれだけ苦労して手に入れたのに能無しだと!?ふざけるな!!お前のようなゴミなどにもう用はない!!ここにいるだけで俺の品位が下がる!!森の深部に捨ててこい!今ならちょうどドラゴンが処理してくれる!!」
そっか、これでやっと死ねるんだ。使用人さんに連れられながらそんなことを考えていた。
「ごめんな....俺らは使用人だから何もしてやれ無いんだ...ホントなら逃がしてやりたいがそうもいかない。せめて深部入口付近に送ってあげるから生き延びるんだ。その足でギルドに行けば大抵のことはしてくれるから。あともしドラゴンに出会ってしまったらこれを吹くんだ、この笛はドラゴンの嫌がる音を出す、一瞬でも隙をついて逃げることができれば、あの森の中なら上手く行けば逃げ切れる。」
使用人さんは優しい目でそういってくれた。
「....名前.....は?」
自分でも掠れるくらいの声しか出なかったが相手には伝わったようだ。
「おじさんはな、ノイズ=クラフセンっていうんだ。お嬢ちゃんは?」
「忘れ.....ちゃった...」
そういうとおじさんはとても悲しそうな目で笑いながら言った。
「いつかお嬢ちゃんが戻ってこれたら、その時もし名前が無かったら、おじさんがかわいい名前考えてあげるよ」
ありがとうおじさん。約束だよ?
その声は届いたのだろうか。おじさんの泣き顔を最後に視界が白く染まった。
気が付いた場所にはドラゴンがいた。なんて運が無いんだろう、おじさんごめんなさい。もうダメみたいです。ドラゴンが私を見てその口を開いた。
「グウオオオオオオオオオオオオ!!!!」
ああ、もうホントに終わりだ。なんでこんな人生なんだろう?なんでこんなにも悲しいんだろう?
「何でこんな人生なの?なんで?私が何したっていうの?もし神様なんかがいるんなら大っ嫌い。呪われて死んじゃえばいいんだ」
私の言葉は聞き取れないぐらい小さかったけど、なぜか誰かに伝わった気がした。
SIDE AUT
「だれ?」
良かった、意識もあるみたいだ。でも怪我が多いな。後で治療してあげないと。
「私は、燎 八雲。通りすがりの忘れ人ってところかな?」
「忘れ人?」
ああ、ノワールと初めて会った時の私もこんなキョトンとした顔してたのか。ちょっとかわいいかも?っていやいや、そんなことしてる場合じゃないわ。
「ちょっとあれ倒してくるからそこで待ってて」
「あっ..」
少女の寂しそうな声をとりあえず聞こえなかったふりして、今は目の前のこいつだ。
今のうちにいろいろ調べておこう。
「この状態であいつと戦った時の私の勝率は?」
結果
勝率44%
び、微妙。勝てないほどの戦力差では無いけど勝率半分下回ってるし。
「どうやったら勝率を上げられる?」
結果
宝神具による神衣解放で勝率50,4%増。
めっちゃ上がるし!?つまり神衣解法で負けは無いと。でも神衣ってどうやって解放するんだ?
「宝神具の神衣解放の方法は?」
結果
自身の最強の姿を思い浮かべる。
なるほど、それじゃあさっそく...っと?!
「グルオオオオオオオオオ!!!!」
「もうお目覚めですか?もうちょっと寝ててもよかったのに」
しかしまいったな、これじゃ神衣解放できない!
キーーーーーーーーーーーーーーン!!!
うわ!なんだこの音?!振り向くと少女が何かを吹いていた。そして、
「グウウウウウウウウウウウウウ!!」
「おおおおお?!」
ドラゴンが怯んでるぞ?!
「今のうちに...早く!」
少女が真っ赤になるまで笛を吹いている。
「よし!行くぞ!」
イメージは最強の自分。負けることを想像してはいけない。絶対最強の力を具現!今だ!!!
「っは!!!」
体を光が包む。眩しいほどの光の中で私は自分の姿が変わっていくのが分かった。
「ふう...」
流れるような銀髪に白玉のようなもっちりとした肌、天色に輝く瞳、雪を想像させる幻想的な着流し姿。ここに神衣は成った!
「それじゃあ始めましょう?偽善執行よ!」
その一言とともに私は走り出す。
「はああああ!!!」
雪乃桜をドラゴンの顔めがけて振り下ろす!
ザシュッ!!
「ガアアアアア!!!!」
その一撃はドラゴンの目を抉った。
しかしドラゴンも唯ではやられない、振り下ろした後のノーガードの私目掛けて尻尾を振り下ろしてきた。
ドラゴンは私の死を思い浮かべて薄ら笑っている.....が、
「ふふふ、甘いのよ!」
私は左手にもう一本雪乃桜を作り出し尻尾を切ることで防いだ!
「グガアアアアアアアア!!」
ドラゴンが痛みに苦しんでいる間に距離を取った。
「私は前世で剣術も学んでいるの。そこでとある流派に属していてね、東方撫子流っていう流派なんだけど、私そこの開祖だったりするのよ」
そういって私は腰を深く落とす。
「だから、魅せてあげる。東方撫子流剣術を」
そして!
「東方撫子二刀流奥義!乱れ桜深雪!」
放たれた白の斬撃は桜のように舞ながら幾重にも重なりドラゴンを覆ってゆく。それはまるで雪に埋もれていくような錯覚さえ覚える。
「前世から出直してきなさい」
チン
ズブシャアアアアア!!!!
白の光景が嘘のように世界を赤で染めてゆく。
「ふう....」
神衣を解いて一息つくと少女のそばに寄って行く。
「体調はどうですか?どこか致命傷など負っていませんか?」
できるだけ優しく話しかける。
「うん...大丈夫」
「そうですか...では軽傷の治癒をしますね?応急処置なので街に戻ったらちゃんと治療を受けましょう」
そういって幻想創造で消毒液と傷薬を創り包帯を巻いていく。
「ねえ?お姉ちゃんはなんで私を助けてくれたの?」
ふとそんなことを聞いてきた。
「そうですね~...うーん、まずは間違いを正そうか。私はお姉ちゃんじゃなくて、お兄さんなんだよ?男の子。」
「え?....うそ」
うそじゃないんだな~これが。
「だってさっき女の子みたいな喋り方だったし、今も私って」
「さっきのことはあの姿になると自然とそうなるの。忘れて?それで一人称が私なのは.....」
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「「呪ってやる!一生かけてこの俺が....私が呪ってあげる!...」」
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「内緒♪」
「むう....」
頬を膨らませて....かわいい...っは!
「それは置いといて、私は男、分かった?それとこの口調疲れるから戻していい?」
「うん」
よし、やっと話が進む。
「で?なんで助けたか?だっけ?そうだな、私に君の叫びが聞こえたから、かな?それで?君はどうしてこんなところにいるんだ?」
「...........」
あれ?いきなりだんまり?なんか突っ込んだらまずかったかな?
「...いや」
「え?」
「その口調いや.....変」
「ぐふあああああああああ!!!!」
変?この口調が?男の口調が変?....それはつまりずっと女口調でいろと?丁寧語じゃなくて女口調でいろと?.....はは
「ごめんなさい...私何か気に障ること言った?....叩く?」
叩く?っていったい...ああーつまりはそういうことか。
「叩かないよ。分かった、えーっと君名前は?」
「忘れちゃった」
「そっか、じゃあ私がつけてあげよっか?」
「いいの?」
「私でよければね?」
「うん、お願いします。(ごめんねおじさん、私の名前この人につけて貰えそう)」
よーし!どんな名前にしようかな?
「...エクール、エクールでどう?」
確か亜麻色って英語でそんな感じだった気が、まあ違ってもいいけどね、私は結構気に入ったし。
「エクール...うん、私エクール。ふふふ」
うんうん♪笑顔が戻って何よりだ。
「それで、エクールが嫌なら口調はこのままで行きましょう。じゃあ何があったか話してくれる?」
「うん」
それからエクールの身に起きたことをいろいろ聞いた。家族のこと伯爵のこと、優しい使用人さんのこと。
「そっか...大変だったんだね。エクールはこれからどうするの?」
「....同情とかしないの?」
「エクールはして欲しいの?私もね、いろいろ辛い目にもあってるから同情されるのが嫌なことを知ってる。だから私は同情しないよ?エクールは?」
「うん....私もしないし、いらない」
うぬ!いい子だ!
「それじゃあエクールはこれからどうする?街までなら一緒に行けるけどそれからは?」
エクールは少し悩んで私に不安そうな眼を向けながら聞いてきた。
「お兄さんと...燎と一緒にいたい。付いて行ったらダメ?」
おおう、それはクリティカルヒットだよ。
「分かった!じゃあ今日からエクール=八雲だ!よろしくエクール!」
「うん!よろしく!兄さん!」
兄さん.....だと?
「っふ...ぐは!」
ああー世界が回るー
「え?...兄さん?兄さーーん!!!」
こんな日常って平穏で、でも退屈じゃない。争いはあるけどそれは生きるための競争で。矛盾が矛盾じゃなくなって、確かに此処に存在する。
退屈が嫌いだ。でも平穏を崩されるのは我慢ならない。
争いは嫌いだ。でも競い合いの無い人生は我慢ならない。
私は矛盾でできている。でもさ?ほら、此処に確かにあるよ。そんな矛盾した世界がさ。
そうだろ?
栞?
~第1章 出会いと少女と新たなる旅立ち~ 完