第2話 初めての街ノエルス!~コンプレックスや短所って実は長所だったりすることがある~
作者の撫子です!最近自分の自由な時間があまり取れなくてストレスがすごいです(笑)。仕事が嫌になる今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか?私は作品投稿が遅れ気味で焦ってます。では第2話どうぞ!
森の中を彷徨い歩いて早3時間ほど、詳細な時間は分からないけどおそらくそれくらい。
ここに来るまで最初のゴブリン?以外はなぜか敵に遭遇することはなかった。
そんなこんなでようやく門が見えてきた。
「うわぁぁ........大きい」
大きい。その一言しか出てこないほど大きい。
「羅生門の何倍かな?」
無駄なことを考えながら歩いていくと門番らしき人が立っているのが見える。
「とりあえず声かけたほうがいいよな?......すいません」
「はい。ノエルス王国に何か御用ですか?」
見た目20前後の気の良さそうなお兄さんだな~。
「街に入りたいんですが..」
「旅の方ですか?何か身分証になるようなものをお持ちですか?」
「身分証ですか?う~ん、ちょっと持ってないですね」
そもそもどういったものが身分証になるのか私知らないし。
「そうですか。それなら通行料として銀貨4枚を頂くことになってるのですが」
「銀貨4枚ですか。」
ここでのお金の扱いは硬貨なのか。というか貨幣価値がわからないし、今調べるのも時間がかかる。あとで調べておくか。
「担保のようなものですよ。街で何か起こされたときにそれを以て弁償していただくと。まあ、街で身分証を発行するか、出ていくときにお返しできますので安心してください」
なるほど。とりあえずは良心的?かな。仕方ない、こういう時は、
「分かりました。銀貨4枚です」
幻想創造って便利です。といってもあとで返ってくるから使ったのであって、これからはもう使うことは無いだろう。だってインフレになる可能性があるから、これもあとで消しておかないと。
「...確かに。それでは、ようこそ!ノエルス王国へ!まずは入ってすぐの大通り突き当りにあるギルドに行ってみるといいですよ。身分証にもなるギルドカードを発行してくれます」
なるほどギルドか、それはいいことを聞いたな。
「ありがとうございます。そうですね、まずはギルドに行ってみることにします」
「いいんですよ。貴女のような美しい人が困ってるのは見過ごせません」
............
「.......あの、私男なんですが」
「.......はい?」
異世界でもこの行事は恒例になりそう.....。
「これは!大変失礼しました!気分を害されましたら申し訳ありません!」
「いえ、いいんですよ。もう慣れましたから。美しいや綺麗なんて他の女性に言ってあげてください。それにしても、この容姿も考え物ですね、あまり好きにはなれません」
ホント、この容姿のおかげでナンパはあとを絶たないわ、男子更衣室に入りづらいわ、女子に嫉妬されるわ、男子に告白されるわ.....はああぁぁ。
「ご自分の容姿、嫌いなんですか?」
「嫌い....というほどでもないのですが、よくトラブルに巻き込まれるので好きではないですね」
「自分は良いと思いますよ、その容姿。男性で美しいや綺麗なんて特別な気がして。でもその苦労が分からないわけじゃないんで一概には言えませんが、逆に考えたらどうですか?女性と勘違いされて良かったと思うことも確かにあるんだっていう感じに。ギルドなんかでは特にそういうのが多いですから。例えば盗賊討伐などでアジトに忍び込む時に女性の姿だと相手も油断するし侵入も容易です。他には情報を集めるときなども、酒場で酔ってるギルド員なんかは一発ですよ?後は...これ内緒なんですけどね?ギルドの横にレストランがあるんですけど、女性専用定食っていう裏メニューがあるんですよ。お値段も手ごろで味も申し分なし!他の料理とはレベルの違うメニューなんですが、これの注文条件が綺麗又は美しいなんですよ。それも基準が女性だから男性は食べられないんで女性専用定食なんて名前が付く始末です。でも貴方なら絶対いけますよ!......っとすいません!自分一人で喋ってましたね。でもいいこともちょっとはあると思いませんか?」
ぽかんとしてしまった。急に一人で喋りだしてしまったこともそうだが、そんな考え方したこともなかったから。
「........」
「あ!すいません!自分また気分を害すようなことを!」
「ふふふふふふ」
「え?」
「すいません...ふふふ、でも、そうですねそんな考え方もできたんですよね。ホント世界って広いです」
ああ、この人の言葉ってなんでスッと入って来るんだろう?
「お役に立てたなら光栄です!」
そっか、ホントのお兄ちゃんみたいな雰囲気だからだ。家族ってこんな感じだったのかな?
「そうだ!自分キース=グラファンっていいます!キースって呼んでください!」
「キースさん....私は八雲....いや、燎 八雲っていいます。燎でいいですよ。今度収入が入って懐が温かくなったら、お礼にレストラン一緒に行きましょう。女性専用定食を食べるチャンスですよ」
「いいんですか?!一度食べてみたかったんですよ!楽しみにしてます!っと、仕事に戻らないと。それじゃあ燎さん!また!」
そういってキースさんは仕事に戻っていった。
「さて、とりあえずギルドに行きますか!」
そういった私の足取りはどこか軽かった気がした。
街はとても賑わっていて圧倒された。大通りは一本道で突き当りがすぐに見える。
「ここがギルド...」
看板には(ギルド協会ノエルス支部)と書かれている
「さて、とりあえず受付に行こうか」
中は酒場と受付が一体化して独特の雰囲気を放っていた。
「いらっしゃいませ。ギルド協会にようこそ。今日はどういったご用件で?」
大体私と同い年くらいの女性が受付から顔を出した。ちなみに私は18だ。
「ギルド登録したいのですが」
「ギルド登録ですね。それではこちらを記入してください」
渡された紙には、
1名前
2性別
3現職業
4魔力量・属性
5身分証の有無
6契約内容
私はギルドに所属すると同時に一切の責任(例外を除く)を自分で持つことをここに制約します。
名前
と書いてあった。
「分からないところがあるのですが、私の魔力量と属性は調べたことが無いので」
「分かりました。それではこちらの紙に手を置いて魔力を流してください。一応教えておきますと、魔力の流し方は体の中心から手を伝って流し込む感じです」
さて、私の魔力量と属性なんだろう?わくわくしてきた。
「はい。っふ!」
瞬間!閃光が部屋に走った。
「こ、これは!こんなに綺麗な天色を見たの初めて!」
紙は蒼穹の如く澄み渡って、しかしハッキリとその色を濃くしている。
「魔力量はsss、属性は極めて強力な水。これは派生する可能性が大きいわね」
属性についてもあとで調べておこう。
「とりあえずこれで検査は終了よ。じゃあ残りの欄記入して」
「はい」
1名前 燎 八雲
2性別 男
3現職業 旅人
4魔力量・属性 SSS 水
5身分証の有無 無
6契約内容
私はギルドに所属すると同時に一切の責任(例外を除く)を自分で持つことをここに制約します。
名前 八雲 燎
「はい。確かに確認しました。こちら手数料として銅貨40枚かかりますが、よろしいですか?」
どうしよう、お金持ってない。さすがに今回は創るわけにもいかないし、ホントどうしよう。
「あの...今お金持ってないんですが、何とかなりませんかね?」
縋る思いで聞いてみると、
「そういうことなら登録後すぐに依頼を受けることによって報酬で清算でも構いませんよ?ただしその場合当日中に依頼を受ける必要がありますし、失敗は許されないです」
なるほど。そういうことなら。
「分かりました。それでお願いします。」
「では、発行しますね」
「そういえば貴女の名前伺ってもいいですか?」
「私ですか?私はエミリー=ラルエットです。エミリーでいいですよ?....あれ?燎さん性別間違ってますよ?きちんと確認してください」
あれ?おかしいな、確かに男って書いた気がするんだけど.....ああ、それでか。
「エミリーさん、間違ってませんよ?私は男です」
直後、エミリーさんの動きが硬直した。
「......冗談ですよね?男性なのにその容姿ってありえないですよ?絶世の美女じゃないですか!」
「よく言われますが正真正銘男です。なんなら確認してみますか?」
「/////結構です!」
エミリーさんは作業に戻ってしまった。いじりすぎたかな?
「はい、できましたよ。これがギルドカードです。身分証にもなりますから無くさないようにしてください。後その刻印は手数料を支払えば消えるの安心してください」
なるほど、踏み倒し防止策だな。
「ありがとうございます。さっそくなにか依頼を受けたいのですが、どうしたらいいのでしょうか?」
「ではまずこの依頼はどうでしょう?」
そういって差し出してきた依頼書には、
薬草探し
目的 薬草20個の納品
報酬 銀貨一枚
備考 最近ミルの森の奥地にハイエンドダークドラゴンが住み着いています。そのため報酬を少し高めに設定しています。決して奥地に行かないよう細心の注意を払ってください。
ミルの森っていうのは最初にいた場所か。だから他の敵に会わなかったのか。
これは結構危ないんじゃないのか?
「奥地に行かなければ何の問題もないので大丈夫です。この内容でこの報酬は破格ですからぜひ受けてみることをお勧めします。ただし、何度も言いますが奥地には踏み入らないように!入れば最後です。奥地は周りの草木の色が変わっているのですぐに気が付きます」
「分かりました。それではこの依頼受けます」
注意していれば大丈夫というなら割と安全なのだろう。それに何かあっても何とかなりそうな気がする。
「承りました。それではカードを」
「はい」
「受注しました。ギルドの細かな説明についてはギルドカードが正規のものになったら行いますので。では気を付けていってらっしゃいませ」
エミリーに見送られギルドを後にした。
「ふう、どうにかなってよかった。とりあえず森に行くために門に戻るか」
門には先ほど会ったキースさんが職務を全うしていた。
「あれ?燎さん!これから依頼ですか?」
「キースさん。...ええ、これから薬草集めです。あ、これ身分証です」
そういってギルドカードを差し出した。
「...はい、確かに確認しました。それではこちらお返しします」
創った銀貨4枚を返してもらってポケットに入れるふりをして消した。
「それでは行ってらっしゃいませ!聞いてると思いますが、奥地に行かないでくださいね!」
「はい、ありがとうございます。気を付けます」
そして私はキースさんを背に、ミルの森へと歩みを進めた。