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召喚術士と妖怪王  作者: 菅田原道則
邂逅編
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【30】墓荒し

 夜が明けると日が昇る。そんな当たり前の事を意識せずにボク達はようやくレジ・アダマの墓へと到着したのだった。


 天気は快晴でこのアビス岬から本当に小さくだけど魔大陸が見える。あそこがリンジの父親だったデュラハンがいる目的地だ。デュラハンがリンジの世界の同じなのかは行ってみないと解らない。


 レジ・アダマの墓は岬の先端にある。質素だが墓石がポツンとあるだけだ。その墓石にはこう刻まれている。


『異界の王、ここに眠れり』


 レジ・アダマは生前死霊術士であり。沢山の死霊を呼び出す事で当時から二つ名が異界の王だった。墓標には生誕日も生没日も書かれていない。本当にその文字だけが刻まれているだけだ。


 今はそうでもないが、何せ魔大陸出身ってだけで迫害される時代だったのだ、いくらオオ様でも大題的に大きな墓は作れなかったんだろう。だからこんな小さなお墓になったのだ。お墓一つで歴史を感じるね。


「んーあの依頼文にはさ、聖水を持って来いって書いていたけど。持ってきてどうするの?」


「聖水は普通お墓にかけるんだけど。レジ・アダマに対してそんな事をするって侮辱だよ」


「あー、やっぱりあの依頼文は俺に対しての挑発って事なのかな?いつでもお前に聖水をかけてやるよって言う意味とか」


「だとしたら何の為に・・・」


 ボクは考え込む。


「とにかく辺りを調べてみようじゃないか。もしかしたらミスターZが近くで見張っていたり、手掛かりが何かあるかもしれない」


 キサラギさんが言うと、ボク達は頷いて各自散開した。


 アビス岬は小さな林を抜けた所にあり、レジ・アダマの墓の奥は断崖絶壁となっている。脚を滑らせれば命はないだろう。


 ボクはまずレジ・アダマの墓を調べることにした。態々この場所に来たのだ、こいつが一番怪しいだろう。そう思うのはリンジも同じでマジマジと墓石を観察している。


 ルーミアは雑木林へキサラギさんは崖沿いを調べている。


 お墓の後ろ。には何もない。特に文字が刻まれている訳でもないな。


「ねぇヨシュア。このお墓の下ってレジ・アダマの骨が納骨されているの?」


「いや、されていないよ。レジ・アダマがいつどこで亡くなったのかは誰も知らない。でも異界にいる時点で死んだとされているんだ。異界の王レジ・アダマから死の真相が語られたこともないから誰も真実は知らない。だからこのお墓は形だけ」


「それじゃあ、ここが変なんだよ」


 リンジが指すのはレジ・アダマの墓標の前。特に変な様子は見た感じはないのだが。


 試しに触れてみると土の感触が柔らかかった。他の場所は硬いのに、ここだけやけに柔らかい。


「ね、そこに何もないないなら、何でそこが掘り起こしたように土が柔らかいの?」


 誰かがこの場所を掘り起こした、土が柔らかいと言う事はごく最近の出来事だ。ミスターZがここに何かを埋めた。そう考えるほかに答えが見つからない。


 ボクは離れている二人を呼ぶ。全員が集まったところで墓の下に何かがあるかもしれない事を伝える。


「だったら私に任せて。ほい、グラビティ」


 ルーミアは小さな杖を取り出してグラビティの魔術を使う。この魔術が使えるってことはルーミアは補助魔術師なのか?そういえばルーミアの職種をボクは知らないな。この場合は補助魔術師だと思っておこう。


 グラビティの能力で表面の土が浮き上がる。ボク達は何が入っているのかを確かめるために土の中を確認する。


「え・・・」


 目を疑った。


 土の中には一人の女性が横たわっていた。


 棺桶に入れられたように胸の前で手を交差させて直立で土の中で目を瞑っている。体全体に土埃がついているが腐敗している様子もない。女性は一体いつからこの土の下の中に居たのだろう。


「これってどうゆうこと・・・死んでるの?」


 キサラギさんが咄嗟に彼女の頸動脈を触る。


「いや生きている、ルーミア早くここから出すんだ」


「わかったわ」


 ボクは思考が停止しそうだった。この土の中にいる女性。彼女はミンフィリアなのだ。ボクが住む村、クルペン村での道具屋の看板娘。バルドレに人質に取られていて、リンジが助けた彼女が、レジ・アダマの墓の下にいた。


 リンジも見覚えがある顔なので怪訝な表情をしている。


 ミンフィリアはグラビティの魔術で土の中から出て来て、同じ態勢のまま地面に寝かされる。キサラギさんは今度は胸に耳を当てる。


「心臓の鼓動が弱まっているな。早急に近場の療養所へ行かなければ」


「だったらこれを使って、残り三つしかないけど」


 ルーミアが差し出したのはフェザントの翼。これならば大きな療養所がある王国までひとっ飛びできる。


「ならば私が王国まで行こう。すまないがルーミア付いて来てくれないか、君の魔術が必要なんだ」


「あんたに頼られるなんて明日は雨ね。ヨシュア様、私行ってきますね」


「あ、うん。ミンフィリアの事をよろしくね」


「知り合いなのですか?」


「ボクの村の人間だよ」


「そうなんですか、では私達が命に代えても助けてみせますわ」


「カーウィン君、リンジ君後の事は頼む」


 そう言ってキサラギさんがミンフィリアを抱き上げた後に三人は空高く飛び上がって行ってしまった。突然の出来事にまだボクは追いつけていない。この場にはボクとリンジだけになってしまった。


「これ、何だろう。さっきミンフィリアって娘の手から落ちたんだけど」


 リンジはちぎれたブレスレットと小さな石を拾い上げる。ブレスレットはクルペン村周辺で取れるシラサギの花で編まれたお手製のブレスレットだった。こっちの小石は何だろう、何かの破片のようにも思える。


「わからないけど、このブレスレットは彼女のものなのかな」


 考えても解る事はそれだけ。


「お前等が?」


 と、潮風と共に声が聞こえた。ボクは考えていた頭を上げるとそこには王国騎士団の制服を着たスレイブが立っていた。スレイブの視線はボク達を見ているようで違う何かを捉えているようだった。


「スレイブ?」


「貴様らああああああああ!」


 どうしてこの場所にスレイブが?ボクが疑問に思った時だ、いきなりスレイブが大声を上げて剣を抜き、斬りかかってきた。


 ボクは紙一重の所でスレイブの斬撃を避けて態勢を崩して尻餅をついた。


 避けたボクをスレイブは瞳孔が開いた瞳で睨み付けた。なんで、スレイブがボクを斬りつけているんだ?


 マヌケな事を考えているボクの真上に剣を翳して、そして躊躇なくスレイブは剣を振り下ろした。


術一覧

フライアウェイ

中級補助魔術。馬より早く目的地まで飛行することが出来る。魔術が施されているので人体に影響は出ない。

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