第7話
「カデンさんって、綺麗な人だね。ちょっと外国の人っぽいけど……、もしかして親御さんのどちらかが外国人とか?」
「え、えーと……、あ、どうだったかな……、名前が『カデン』で片仮名だから……、う、うん、そうだったかも」
「知らないの?」
「い、いやあ……、遠い遠い親戚でさ……、僕も小さい頃何回かしか会ったことがないもんだから、よく知らなくて……」
「ふーん……。そんな遠い親戚の人が、なんで挑夢のうちに?」
「ま、まあ、いろいろと……な」
「いろいろと……ね」
「……」
「カデンさんって、いくつ?」
な、なんだよ真咲のやつ……。
やたらカデンのことばっかり聞いてくるな。
こっちは、カデンの設定についてはほとんど心の準備をしていないというのに……。
こりゃあ口からの出まかせを言い続けるしかないな……。
もしなんかミスっても、カデンが未来の力でどうにか帳尻を合わせてくれるだろ、多分。
カデンは確か女子高生十六歳型ガイノイドだった。
「カデンは十六歳だよ」
「十六歳? なったばっかなら、あたしたちと同い年だね。じゃあ、高一なの?」
「え……、えーと」
そういえば、カデンは高校はどうするのだろう?
ここは、どうにか出まかせで取り繕わなければ――。
「越してきばかりなので……、落ち着いたら、僕らの高校に編入するって言ってたよ」
「へえ、同じ高校にいっしょに行くのか。じゃあ、同級生だね。同じクラスだといいね」
あれ? この反応……。
真咲ったら、カデンのことけっこう気に入ったのか。
「ねえ挑夢、先生に何贈るか考えた?」
ほ。
やっと今日出かけてきた本来の目的に関する話題になったぞ。
「一応、ネットとかで調べたんだけどさ……」
夕べ、カデンといろいろ話しながら、調べ物もしておいたのは事実だった。
「ふーん、で、どんなの?」
僕はいろいろな体験サイトで仕入れた情報を披露した。
「なんか、掃除ロボットとか、圧力鍋とか、除湿機とか貰って嬉しかったって、体験談のサイトに書いてあった」
「確かにそれは貰って嬉しいかもしれないけど、ちょっと高いじゃん。予算オーバーだよ」
「じゃあ、真咲はどうなんだよ」
そういう真咲は何か下調べしてきたのかな?
「あたしは、タオルとかいいんじゃないかと思って」
タオルとかは僕も考えたんだよね。
けど……。
「でもさ、貰ったタオルって家にしまいっ放しになっていたりしがちじゃないか? 僕んち結構そういうのがあるんだよね」
「うーん、言われてみるとそうだよね……。ペアのカップとかも考えたんだけど割れたりするといやだしね」
真咲もペアのカップとか夫婦茶碗とか考えたんだな。
やはり僕もそれ、考えたのだが――
「そうそう。一方だけ割れちゃったりすると縁起でもないってことになっちゃうし」
ということで却下したのであった。
「石鹸とか洗剤とかは?」
「うーん。まあ、こだわりのある人は、自分の選んだものしか使わないって話だし……」
特に女性はそうなんだろうな。
自分の肌に合う合わないという選別の基準が男より厳しいのだろう。
「難しいもんだな……」
「まあ、デパートに行ってみてさ、ゆっくり見て回ればいいよ」
心なしか真咲がはしゃいでいるように見える。
「あ、ああ、まあ、そうだな」
真咲がそう見えるのは、僕の気のせいだっただろうか。