第19話
「挑夢さん……、四番目の指令をさきほど受信しました」
幼方真咲と同じソフトクリームをなめる件。
助川佑と風呂に入る件。
愛藤姫乃と同じ映画を見る件。
これまでの無茶振り指令はどうにかクリアしてきた。
一番目も三番目は、女の子と出かけるというものだったし、後から振り返って考えてみればそんなに嫌なものでもなかった。
むしろ楽しかった。
佑とスーパー銭湯に行ったのだって、いい思い出になった。
僕はバタフライミッションクリアに対して、ちょっと自信を持ち始めていた。
これだったら、この後からやってくる指令だってどうにかクリアしていけることだろう。
「ふーん、で、カデン。次の指令はどんな内容なんだ」
「それが、その……」
「なんだよ、早く言いなよ」
「はい……。今度の日曜日。夕方五時まで女の子をナンパすることです」
「マジで!?」
「――はい……」
「女の子をナンパしろって……、これが本当に世界の滅亡と関係あるのか」
「はい、調査によりますと……」
「いや、いい。どうせそれらしい理由があるんだろ。聞こうが聞くまいがやらなきゃならないんだろ」
「おっしゃるとおりです」
「キツいなあ。ナンパなんかしたことないのに」
「じゃあ、挑夢さん、私相手に」
「練習ならしないぞ」
「まだ何も言ってません」
「じゃあ、何て言おうとしたんだ?」
「私相手に練習を……」
「却下」
「どうしてですか」
「だって、ナンパ相手がカデンだって分かってるんだもの。それにカデンは直ぐオーケーしてくれるから、現実性にとぼしいよ」
「じゃあ、絶対オーケーしません」
「だからあ! それはそれで、困るでしょ。いい! ともかく、やるだけやってみるから!




