異世界に転生した俺。~転生して職業がベビーシッターになった件~
異世界に転生した。
やべぇ、びっくりした。
こんなん小説の中でしかないと思ってたわ。ないわー。
だけど月とか二個あるんだよねぇ。マジか。
つか一番の違いは……ステータスが見えることなんだよなぁ。
で、俺のステータスはこんなん。
名前:レン
種族:人間
年齢:0才
性別:男
職業:【ベビーシッター】
技能:『料理』『子守唄』『掃除』『受けがいい』
初めは視界のど真ん中に見えてたんだけど、“邪魔”って思った瞬間に消えた。えー。
もっかい見たいと思ったら出てきた。
てか突っ込みどころしかないんだけど。
職業:【ベビーシッター】てなに。
説明書きがある……。
職業:【ベビーシッター】……あらゆる赤ん坊を育てられる。こども好きな貴方へ。そんな職業。
オイィィィ!!
突っ込みどころ満載だわ!
別に俺は特別こども好きってわけじゃないし、むしろ前世では苦手だった。
つか今は俺だって赤ん坊なのに、なんで職業【ベビーシッター】!?
ないないないないないわ!!
はぁー、はぁー。
だが、グチグチ言っても仕方ない。次いくぞ。次。
技能か……。
まぁ、『料理』『掃除』は、アレだ。
『料理』……料理したときに味にプラス補正。つまり、ご飯が美味しく作れる。
『掃除』……掃除したときにプラス補正。つまり綺麗になる。
『子守唄』には、どんな夜泣きが酷い子でも『子守唄』を歌えば、すぐにおねんねするって書いてあった。
そんで、一番気になるのは、技能『受けがいい』だな。
説明は……と。
『受けがいい』……全ての種族に好かれる。受けがいい。
へぇ! 結構いいんじゃね?コレ。
やっぱ、悪印象より、好印象をもってもらいたいからな。
まぁ、これからどうするとかは決まっていないが、焦ることはない。
なんせ、今の俺は赤ん坊だからな!
そうしてのんびりこいてたら、あっという間に十五年の月日が流れた。
この十五年で、俺の『料理』『掃除』の腕前はかなり上がった。
そんで折角なんで、俺はベビーシッターをすることにした……が、色々オカシイ。
まず、預かることになった赤ん坊の種族がオカシイ。
俺は人間なのに、何故か預けられた赤ん坊の種族は多種多様。
まさに多種。
俺が預かったのは、六名。
まず、人間の赤ん坊。これは普通。
次、エルフの赤ん坊。あれ? エルフって確か排他的な種族じゃなかったっけ?
次、何故か猫の魔獣。はい、ここから一気にオカシクなる。
次、天使の赤ん坊。は?ってなった。天族なんて滅多にお目にかかれないぞ?
次、悪魔の赤ん坊。一緒に預かって大丈夫なのか? 魔族と天族って超仲悪いだろ。……考えないことにしよう。
んで、最後は竜の赤ん坊。え、竜? いいの? 竜族は子竜をそれはそれは大事にして、絶対に里からは出さないって聞いたけど。
てか六名預かって、全部種族が違うってどうなの?
全国ベビーシッター協会に問い合わせたら、なんでも俺に色んな種族から赤ん坊を預けたいと打診があったんだと。
そんで、厳選に厳選を重ねた六名が選ばれたそうだ。
え……つまりそれって……高位……いやいや考えない。
これって絶対に『受けがいい』のせいだろうな……。
仕方ない。頑張るか……。
***
最初はてんてこ舞いだった。
種族が違えば、食べるものも違う。
ここで役に立ったのが『料理』だ
俺は今まで、美味しいご飯のために、料理を作りまくっていた。
だから大抵のものは作れた。
ちっこいコイツらが、まくまく食べてるのを見ると、かなり和んだ。
酷い夜泣きをしても『子守唄』を歌えば、安心したようにお休みなさいだ。
他の子もよちよちやって来て一緒に寝てるのをみたときは、ニヨニヨした。
人間の赤ん坊の名前はジークハルト。
銀髪紫眼の将来有望そうな子だ。
銀髪紫眼てどこかの王族の特ちょ……いやいや、そんなはずはないな。
うん。気のせい。
エルフの赤ん坊の名前はエアリシュ。
なんだか普通のエルフより耳が……これも気のせいだな。
金髪緑眼のこれまた将来が楽しみな美形だ。
猫の魔獣の赤ん坊の名前がベル。
黒い毛並みに蒼い瞳。手のひらに乗るくらいの大きさで、超可愛い。
今の時点でツンデレの片鱗がみえる。
超可愛い。俺デレデレ。
天使の赤ん坊の名前はウィリエル。
金髪碧眼の正統派な美形に育ちそう。
翼が三対六翼あるんですけど。
ミニな翼をパタパタさせて飛んでるのは……まぁ、可愛いがな。
悪魔の赤ん坊の名前はカルマ。
黒髪緋眼の将来は超美形に育ちそう。
側頭部に小さな角がちょこんと生えてるんですが。
普通の悪魔に角生えてるの見たことないんですが。
はい。俺が見たことないだけだね。うん。
竜の赤ん坊の名前がアルカンシエル。
七色に輝く鱗と黒い瞳の竜なんだけど……。
どっかの書物で七色に輝く虹竜は虹の字を変えて皇竜とも書かれるとか、書かれないとか読んだような。読んでないような……。
……あぁ、記憶違いの可能性が高いな。
以上六名が俺の初めて預かった赤ん坊。
この可愛い可愛い赤ん坊を立派に育てるのが俺の使命だ。
だが、数年後、六名が大人になってから初めて『受けがいい』の本当の意味を知ることになろうとは、今の俺には知るよしもないことだった……。
『受けがいい』の真の意味は、身をもって知ることになるだろう……(笑)
ここまで読んで頂きありがとうございました!