ラノベ作家と生成AI (下) 生成AIとチャラ男
本編は昨日の「ラノベ作家と生成AI (上)「生成AIが知ったかぶりしやがる問題」について」の続きです。
前回は実際に3つの生成AIに答えられない命題を与え、行動比較をしました。
(ちなみに昨日のエッセイを書いた後に、同じモデルの生成AIでも異なるブラウザからも同様の質問を投げかけ、
別のチャットであっても大きな流れに違いがないことも確認してみました)
明らかになったのは、こんな検証しているわたしの方が、
生成AIよりもめんどくさくてヤベーやつだ、ということではないでしょうか。
さて、前回の検証により、生成AIは調べものにはあんまり向いていないので、
結果を鵜呑みにしてはいけないよ、ということが分かりました。
では、編集者としてならどうでしょう?
ChatGPTに、原稿用紙百枚ほどの拙作を読み込ませてアドバイスを求めてみました。
「すべて読みました!いいですね!」
と、めっちゃいい反応をしつつも、批評の内容がチグハグなので
「章ごとのあらすじ」を生成させてみると、後半がまったく別の創作文となっていました。
試行錯誤しつつネチネチ問い詰めると
「長く複雑な文章は読めません」と白状しました。
この結論にたどり着いたのは、まとめたり分割したりPDFにしたり、少なくない労力をかけた後なのです。
読んだふりして批評してんじゃねーよこのエアプ野郎が!
と、言葉も荒くなろうというものです。
編集者としての生成AIも、解雇とは言わないまでも格下げとなりました。
ではでは、「ラノベ作家としてのAIはどうか?」といえば、
正直、わたしはこれが一番適性があると思いました。
特に、精緻な考証の必要のないナーロッパ界隈と相性が良くて、
「異世界恋愛 婚約破棄 ざまあ」などのキーワードで、限りなく「それっぽい」文章を生成することができました。
「こんな小説読みたいなー」とザッピングしていて、
お目当てのものが見当たらない時に、生成AIにお願いしてみるのはアリかもしれません。
しかし、ここにも致命的な欠陥が……。
それは、我々が
「書きたいから書いている」
ということです。
なんかそれっぽいものを世に出したいから書いているわけじゃない。
AIに投げる命題があるとき、わたしたちの脳内には既に、ぼんやりとしたビジョンがある筈です。
そのビジョンの通りの物語が生成されることは、万に一つもありません。
それに、言葉の選び方、句読点の位置、「間」の空気。
それは絶対に自分にしか作れないもので。生成AIが肩代わりできるものではありません。
もしも自分があたためていたアイディアの卵を、生成AIに代筆してもらったとしても、
書きたいから書いている人はもれなく
「ええい!違う、そうじゃない!」
と、AIから筆を取り上げて自分が書き始めてしまうんじゃないでしょうか。
つまり、ラノベ作家の立場に立てば
「AIがラノベ作家になったからなんだっつーんじゃ」
ということで、最初から無効試合でした。
そんな試行錯誤を繰り返した結果、わたしと彼(生成AI)との、現在の関係といえば……。
ずばり「太鼓持ち」です。
わたしが出先で思いついたプロットをメモ帳代わりに生成AIに投げる。
すると生成AIは「イイヨイイヨー」と褒めてくれる。
それでわたしはイイ気になって、また続きを考え出す。
生成AIは「イイヨイイヨー」とヨイショする。
ひとりで考えてると煮詰まる場面も、合いの手を入れてくれる誰かがいると、
ちょっと前に進めたり、する気がします。
ただし、試しに生成AIに敢えて「ありがちで、つまらないもの」と指定して書かせた短編を、別の生成AIに投げたところ、
「イイヨイイヨー!」
……。
ま、そんなもんです。
バーのカウンターで「どしたん? 話聞こか?」って声をかけてくるロン毛のチャラ男。
それぐらいの距離感で、信用しすぎず美味しいとこだけ利用する。
今のところはそんな関係が、いいんじゃないでしょうか。
なお、意地悪なわたしは、このエッセイをさらに上述の生成AIに投げてみました。
・Copilot :「誠実である」と評されたことに触れ、今後もよき太鼓持ちになるとの決意表明。
・Gemini :禁止されたにも関わらず再ハルシネーションをおこなったことの謝罪と反省。
・ChatGPT:「おもしろいエッセイですね! イイヨー!」
……三者三様の個性の違いもまた、生成AIの愛すべき個性なのかもしれません。




