青春という名の
ひたすらに歩き、休憩をして、歩いて
を繰り返していると時計の針は既に7:30を指していた。みんなが学校へ向かっているこの時間俺達はサボっているのだ。
(謎に罪悪感湧かないんだよな、昔からしてるせいかな…)
「おおーかわいいかわいい」
琴音はというと公園の鳩にパンを与えていた
「へへ、んふかわいい」
「はあ…」
正直疲れた。
昔より行動範囲が広まった事で歩く距離も増えた。
「琴音、次は何処に行く予定なんだー」
地図アプリを眺めながら琴音へ問う
「えっとねえ」
鳩にパンを与え終わったのか此方へ来て俺の携帯を覗く
(近いんだよ、)
「うーんとねえ、この川の近くとか行ってみたい」
「ん、分かった」
バッグの中にあるサンドウィッチを食べ腹を満たす
「よし、行くぞー」
「はあーい」
杉崎は田舎寄りの町で琴音の大好物だった。しばらく道なりをす住んでいくと脇道が見えてきて、その道へ入る。
「迷子にならないようにな」
「まっかせてよ〜」
しばらく進んでいくと川の音がしてきた。脇道を抜けると開けた場所に出た。
「おお、実に綺麗ですなあ〜」
カシャ
この脇道は川の端に出る道だったみたいだった。
(道と言うよりけもの道だったが、)
川のおかげで涼しい風が流れている。腰をかけれるスペースがあったのでここで休憩する事にした。
地図アプリで目的地を探しているとまた琴音が覗き込んできた。
「ん、次海!この先にある海に行きたい!」
「はいはい、分かったから。今は休め」
「はーい」
さっき余らせたサンドイッチを琴音が食べる
「おいそれ、俺の食べかけ」
「んえ、んあ……。ごめん、食べたかった?」
「え、いや…はあ、何もないよ」
「んん?」
(コイツのこういう所昔っから嫌いだわ)
時計を見るともう9時になろうとしていた。
「そろそろ行くか」
「りょうかいでーす」
来た道を戻り海へ辿り着き”そうな”道を歩いていく。基本この旅は当てずっぽうだ。
住宅街を抜け、木が大量に生えた公園を抜けると波の音が少しづつ聞こえてきた
「そろそろかも!」
と期待を高め走り出す琴音
「おい!あんま先行くなよ!」
急いで伸ばした手は届く筈なくただ小さくなっていく琴音に呆れながら追いかける
「はあっ、はあ…おまっ、ほんと…」
息を整え顔を上げると目の前には水平線が広がっていた。琴音は肩を揺らしながらただそれを静かに見つめていた。
「ほら、水」
「ん、あ…ありがとう」
ただ、ただ水平線のその先を見つめていた。
「……来てよかったな」
「え、あ、うん!めっちゃ綺麗!」
カシャ
「ふう…、つかれたあー」
砂浜へ座り込む。
「よーし、やるっきゃないっしょ!」
「え?」
琴音は靴を脱ぎ膝下まで伸びたスカートを太ももまでたくし上げる
「おまっ、」
そして海へ1歩、1歩と足をつける
「つめっ、た…ははっ、あはは」
目を細め頬を上げ大笑いしてはしゃぐ琴音
(海如きで、海なんかで、子供だな…)
笑っている琴音を見て呆れと安堵と何処か羨ましさがあった。
「ははっ…、気をつけろよー」
「はーーい!!」
海を蹴っては跳ねる水飛沫と戯れる琴音
カシャ
何枚も何枚も残した。
「はあっ、はあ…」
暫くすると疲れたのか息を整えている琴音の肩が揺れている。
「清水くん…」
「ん?」
「ありがとうねっ、めっちゃ楽しい!」
(そういう顔も、すぐ…)
今日一と言える程の笑顔で此方に笑いかける。
「良かったよ、歩いた甲斐があるよ」
「ほら、清水くんも、来てよ」
「いや、俺は…」
(いや、)
靴を脱ぎ、ズボンの裾を巻く
「ははっ、清水くんが海で遊ぶー!」
「なんだよっ、おかしいかよ!」
「ぜんっぜん!!!これぞ青春だよ!」
「ははっ…変なの、ばっかみてえ!」
(馬鹿だなあ、俺達。学校サボってこんなのではしゃいで。楽しいなあ)
「いつか行ってみたい。あの水平線の先に」
琴音が水平線を、その先を指差す
「連れて行ってやる」とは、言えなかった。
「いつか行こうね」
「え、」
「ね!」
(すぐ、そういう事を言う、)
「ああ、いつかな」
「うん、連れてって!全部清水くん持ちで!」
「自分でいけえ!」
「あははっ」
その後俺達は足がふやける程はしゃいだ。サボるなんて、そんなの。こんなの。