僕の家、そして僕の家族
寝てたみたい。
起きたら僕だけだったんだ。
⦅あれっ? ここ、どこ? どこなの?
パパ……ママ……ひろ………どこに居るの?⦆
「あら! 起きたのね。」
⦅あれっ? お姉ちゃんみたいな人だっ!
ねぇ、パパは? ママは?⦆
「先生、呼んでくるからね。待っててね。」
⦅あ―――っ! 行かないでよぉ~。
先生って誰?
パパぁ~。ママぁ~。ひろぉ~。
どこに居るの?⦆
ドアが開いて入って来た!
「起きたんだね。診察するね。」
僕を抱っこしてくれた。
そして、僕を台の上に乗せたんだ。
「うん。大丈夫だね。
暫く様子を見て。
舐めるかどうかを見ておいて。」
「はい。分かりました。」
「舐めるようだったらエリザベスカラーを着けるから……。」
「はい。先生。」
「うん?」
「ご家族に連絡は?」
「終わったことだけ連絡して、それから、暫く様子を見ることも…。」
「はい。分かりました。」
「じゃあ、頼むね。」
「はい。」
⦅僕を抱っこした人、せんせいって名前なんだ。
僕の名前はね。ONEだよ。⦆
僕は帰られなかったんだ。
その部屋から出ることも出来なかったんだ。
⦅もしかしたら、もう会えないのかな?
だって……お母さんと会えなくなった時………
また、会えなくなるのかな………。
会いたいよぉ~。パパ、ママ、ひろ……に会いたいよ。⦆
どの位経ったのかな……。
僕を呼ぶ声がしたんだ。
「ONE君、お迎えよ。」
そして、僕を抱っこして連れて行ってくれたんだ。
⦅パパ! ママ! ひろ!
会えたぁ~! 嬉しいよぉ~。⦆
「無事に終わりました。」
「ありがとうございました。」
「この子は舐めなかったのでエリザベスカラーを着けていません。
ですが、これから舐めるかもしれませんので、一応エリザベスカラーを購入して
お持ち帰りください。」
「はい。分かりました。」
「とってもお利口さんでしたよ。」
「そうですか!」
「少し寂しそうに見えました。
ドアを見つめている姿が……
お家の方を待っていたんです。」
「………はい。」
「捨てられた子なので、不安だったと思います。」
「……はい。」
「安心させてあげてください。」
「はい。」
僕をパパが抱っこして、来た時と同じ人たちと一緒に車に乗った。
今度はどこに行くのか……僕はとっても不安だった。
でもね、着いた先がパパ、ママ、ひろの家だったんだよ!
僕、嬉しかった。とっても嬉しかったんだ。
僕はもう置いて行かれたくないって思ったんだ。