どっちが兄?
僕、「ONE」って名前になったんだ。
それから、バスの人は「パパ」って呼ばれてて、お姉さんみたいな人は「ママ」って呼ばれてること分かったんだ。
そして、小さな人は「大翔」!
座れ!も、待て!も、伏せ!も出来るようになったんだ。
⦅覚えたよ!
いっぱい褒めてぇ~⦆
皆でお散歩に行った時に、大翔が転んだんだ。
僕、ビックリしたよ。
大翔は大きな声で泣いてた。
僕、慰めるために顔を舐めたんだ。
すると、大翔を抱き上げながらママに僕は怒られた。
「駄目!」
⦅なんで? 慰めたら駄目なの?⦆
「ママ……わんわん、だめなの?」
「お顔を舐めちゃ駄目なのよ。」
「おかお、だめ!」
「そうよ。大翔も教えてあげてね。」
「うん!」
それから、僕は歯が抜けて新しい歯が生えるようになったんだ。
何だか分かんないけれども……
大翔に⦅行っちゃ駄目!⦆って止めようとして服を噛んだら、大翔の服……穴が開いちゃった。
何回も……パパの服も……ママの服も……。
「ONE、甘噛み出来るんだけどね。
乳歯だから穴が開くのかな?」
「そうかも……。永久歯になったら開かなくなるかもしれないわね。」
「それを期待しよう!」
「でも、見てくれてるわね。大翔のこと……。」
「うん。そうだね。」
「自分も子犬なのに!」
「大翔のこと弟みたいに思ってたりして……。」
「本当ね。」
僕、ガムってのが大好きなんだ。
パパが買ってきてくれたんだよ。
玩具もいっぱい買ってきてくれたんだ。
それをカジカジしていると、歯が痒いの楽になるんだ。
遊んでくれるし、お散歩にも連れて行って貰えるし……
いっぱいナデナデして貰えるから……
僕、今のパパもママも……それから大翔も大好きだよ!