新しい家族
バスの人達が色んな所にポスターっていうのを貼って!ってお願いしたんだって……。
なんで?
分かんないや。
僕たちは楽しいよ。
お母さんに会えないのは……寂しい……。
けどね、バスの人達みんな可愛いってナデナデしてくれるよ。
ごはんも貰って食べてるよ。
僕、ここが好きになったんだ。
バスの人達、とっても優しいから大好き!
「おい、みんな!」
「はい。」
「何ですか?」
「問い合わせがあったぞ。」
「子犬の?」
「そうだ。」
「やったぁーっ!」
「で、どんな人なんですか?」
「問い合わせは2件だ。
1件は夫婦だけの家。もう1件は夫婦と小学生の子ども4人家族。」
「そうなんだ。」
「先ずは見に来て貰うことになったから、よろしくな。」
「はい!」
僕たちが遊んでいる時にバスの人達でない……知らない人が来たんだ。
⦅だれぇ? 誰なんだろう?⦆
気になって僕は走って行ったんだ。
クンクン……やっぱり知らない匂いだ。
「可愛い~♡ 可愛いわぁ~♡ 」
「うん。めっちゃ可愛いね。」
ナデナデして!って言う前に、いっぱいナデナデしてくれたよ。
うっとりしちゃう。ナデナデ……気持ちいい。
僕たちはお腹を見せて、⦅ナデナデしてぇ~。⦆って……。
そしたら、めっちゃナデナデしてくれた。
もう嬉しい!
なんか眠いや………。
寝てしまってた僕。
気が付いたら、居ないんだ。妹が……。
うん? 妹だったかな? 分かんないや。
でも、居なくなってたんだ。一緒だった女の子……。
気が付いたら、僕と弟だけになっていたんだ。
なんでなんだろう? 分かんないや。
うん? 弟? 弟だったのかな? 分かんないや。
その次の日にバスの人じゃない人達が来たんだよ。
今度はなんか小っちゃい人が2人。
初めて見るよぉ~。
何、なに? 小っちゃい人が気になるぅ~。
クンクン……やっぱ違う匂いだぁ~。
めっちゃナデナデ……
めっちゃ楽しい~。
「この子にします。」
⦅うん? 何?⦆
「そうですか。ありがとうございます。
どうか、最期まで見てあげてください。
お願いします。」
「はい。最期まで一緒です。」
「ありがとうございます。これは今食べている餌です。
少ないですが、お渡しします。」
「ありがとうございます。」
「それから、これが予防接種をした後で貰った物です。」
「はい。ありがとうございます。」
「良かったな。いい子に…な。」
「元気でいろよ。」
「楽しかったぞ。ありがとう。」
「バイバイ。」
⦅何? なんなの? どうして? どうして連れて行っちゃうの?
僕、一人になっちゃうよ。嫌だよ。
なんで? 連れてかないでよぉ~!⦆
いっぱい鳴いてしまったんだ。
寂しくて鳴いてしまったんだ。
もう僕だけになっちゃった。
「どうする?」
「この子だけになったな。」
「もう少し、待ってみます?」
「そうだな。待ってみようか……。」
「あの……一応、俺、妻に聞いてみます。
それで、妻がOKしてくれて……飼い主さんが見つからなかったら俺が連れて帰り
ます。」
「おう……そうだったな。
奥さんがOKしてくれたら教えてくれ。」
「はい。」
「取り敢えず、期日を定めて待ってみよう。
一週間、待ってみるのはどうだ?」
「はい。それがいいです。」
僕一人になっちゃった。
寂しいけど……バスの人達は優しい。
ご飯も美味しい。
お散歩も楽しい。
「一週間経ったけど、問い合わせはゼロだ。
君のお宅はどう? 飼ってもいいって?」
「はい。妻も飼いたいって言ってくれてます。」
「じゃあ、お願いするよ。」
「はい!」
僕、今からお散歩!
めっちゃ嬉しいな♡
お姉ちゃんみたいな人だ!
「うわぁ~。可愛い♡ 今日から一緒よ。」
ナデナデいっぱいしてくれる。
めっちゃ、嬉しい!
「おい、うれションしてるぞ。」
「やっぱり、男の子だな。美人が好きなんだ。」
「……美人だなんて……。」
「この子を頼みます。」
「はい。大切に育てます。」
「おい、時々連れて来いよ。 会いたいからな。」
「勿論です。」
「元気で居ろよ。」
お散歩に行って帰って……
あれっ? 違う。
なに? どこに行くの? 僕、どうなっちゃうの?
「怖いのかな? 車の隅っこに居るわ。」
「そうだろうな。どこに連れて行かれるかか分からなくて不安なんだろうな。」
「大丈夫よ。今日から私たち家族だからね。」
⦅家族って何? おかあさぁ~ん。
僕、どうなるの?⦆
僕はどこかに連れて行かれたんだ。