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わんわん  作者: yukko
3/13

予防接種

お母さんはどこにも居ない。

探しても居ない。

僕たち兄妹三匹だけになっちゃった。


⦅おかあさぁ~ん。会いたいよぉ~。

 もう会えないの? どうして?

 もう会えないの?

 おかあさぁ~ん。⦆


お母さんには会えないけれど、楽しいよ。毎日………

人が一杯で、いつも誰かが遊んでくれて楽しい!

ご飯も美味しい!

動物病院ってとこに連れてってもらったんだ。


⦅うわぁ~~い! 新しい人だっ!

 お姉ちゃんみたいな人も居るっ!

 嬉しいなぁ~。 ナデナデして貰えるかな?⦆


台の上に乗せられた。


「じゃあ、診させて貰いますね。」

「ゴールデンレトリバーの子犬、男の子ですね。

 推定ですが、生後2ヶ月くらいでしょうか?」

「そうですか。」

「純血種ですよ。」

「そうですか! じゃあ、貰い手は見つかりやすいですよね。」

「それは、難しいと思います。」

「どうしてですか? 純血種なのに……。」

「先ず、血統書がありません。」

「血統書……。」

「それに、今は小型犬が主流になりつつありますので、大型犬は貰い手を見つける

 のは困難だと思います。」

「そんな………。」

「うちの動物病院で飼い主を求めるポスターを貼って探す協力は出来ます。」

「お願いします。」

「取り敢えず、今日は健康診断と予防接種をしましょう。」

「お願いします。」


「おい、注射だぞ。頑張れよな。」


⦅ちゅうしゃ? 何? それっ………

 美味しいのかな? 楽しみぃ~。⦆


何かを持った人が僕をナデナデしてくれた!

嬉しい! お尻尾ブンブン!


「この子はゴールデンレトリバーの子犬らしさが溢れてますね。

 人が大好きだよね。」

「はい。そうなんです。」


お姉ちゃんみたいな人が僕を撫で?

なんか、ちょっと、違うみたいな……

でも、いいやっ!

ナデナデみたいだから……


「はい! 終わったよ。

 気付いてないみたいだったね。」

「鳴きませんでしたね。」

「酷く鳴いてしまう子、怖がり過ぎて歯をむき出しにする子……

 色々いるんですけどね。

 この子は楽だなぁ……。」

「偉かったなぁ~。」

「じゃあ、次の子……。」

「はい。」


テーブルから僕、下ろされちゃった。


⦅ねぇ、僕、ここに居るんだよ。

 ねぇ、ナデナデして!

 ここに居るよ。僕……放っておかないでよ。お願い……。⦆


三匹とも予防接種ってのをしたんだ。

バスの人の所に帰ってからも、代わる代わるに褒めてくれて嬉しかったなぁ~。

夜になったら、誰も居なくなるから、僕たちを連れて帰ってくれる人が居るんだ。

夜だけ、その人の家で寝るんだ。


お母さんには、もう会えないのかな?

パパさん、ママさん、お兄ちゃん、お姉ちゃんにも、もう会えないのかな?

会いたいなぁ………。

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