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わんわん  作者: yukko
2/13

バスの中

⦅暗いよぉ~。怖いよぉ~。どこなの?

 おかあさぁ~ん。おかあさぁ~ん。

 どこに居るの?

 おかあさぁ~ん。⦆


僕は鳴いて……鳴いて……

兄妹も鳴いて……。


でも、お母さんは来てくれない。

暗くて、怖い。

出られなくて、怖い。

ずっと鳴いてるのにお母さんは来てくれない。

鳴いていたら疲れちゃって……お腹も空いて来た。


⦅お腹空いたよぉ~。おかあさぁ~ん。

 おっぱい飲みたいよぉ~。⦆


いっぱい鳴いてもお母さんは来てくれない。


⦅僕たち、どうなるの?⦆


鳴いてて疲れちゃって……寝てしまった。

どのくらい寝たのか分かんないや。

寝てたら、人の声がした。

パパさんみたいな声だった。


「なんだ? この段ボール箱?」


その声の後、直ぐに明るくなった。


⦅眩しいよ……朝?⦆


「嘘だろ……。

 なんで? なんで犬が居るんだ?」


⦅僕たちのこと?⦆


「おい! みんなぁ~!」


その人は僕たちが入った段ボール箱という物を抱っこするみたいにして、どこかへ僕たちを連れて行った。


⦅ねぇ、ここ、どこなの?

 お母さんはどこに居るの?

 パパさん、ママさん、お兄ちゃん、お姉ちゃんは?

 ねぇ、どこに居るの?⦆


どっかへ僕たちを抱っこして連れて行った人。

どっかに僕たちが入った箱を置いたみたいだった。

見上げたら人が一杯……居た。


⦅誰? 誰なの?⦆


「ほら、犬が入ってたんだよ。」

「ほんとだ!」

「捨てたのか?」

「そうだな……。」

「無責任だな。」

「どこにあった?」

「バスの後部座席に置いてあった。」

「誰が置いたか分からないよな。」

「分からん。」

「どうする?」

「子犬だろ?」

「子犬? こんなに大きいのに?」

「これ、ゴールデンレトリバーの子犬だぜ。」

「俺、動物病院へ連れて行くわ。」

「お前、飼うのか?」

「まさか……三匹も無理だよ。」

「俺、引き取り手が無かったら一匹飼います。犬、飼ったことあるんで!」

「お前が飼ってくれても、二匹残るからな。」

「あの……学校に張り紙出して飼ってくれる人を探すとか……は、どうですか?」

「それ! いいな!」

「じゃあ、写真を撮ってポスターを作るか。俺が作るから……。」

「学校は…… 役所を通して頼んでみるかっ。」

「ありがとうございます!」

「お前に礼を言われるのは……。」

「いいえ、嬉しいです。このままだったら殺処分なんで……

 それ、俺は嫌です。」

「じゃあ、先ずは動物病院だな。お金は俺達で寄付ということで!」

「はい!」

「それから、飼い主が見つかるまで、ここで育てるから!」

「はい!」

「じゃあ、お金を出し合おうか……。」

「はい!」


ここは、バスの運転手さんたちが居る場所って言ってた。

この日から、僕たち三匹はこの人たちと一緒……でも………お母さんは居ない。

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