時代最後の魔物と最強勇者
灰になった生まれ故郷で18歳の誕生日を迎えた。
別に、悲しいだとかそんなことは思わない。親しい人間なんて1人も居なかったから。
でも、故郷に帰ってきて1つ感じていることがある。いや、1人だろうか。小さい誰かがこちらを窺っているようだ。
「出てこい」
茂みから出てきたのは、3頭身の少年だった。
ただの子供だ。害はなく栄養もないただの子供のはずだ。
なのに、どうして俺は奴に剣を構えた。違う、構えさせられたのか。
「来ないのか? 魔族よ」
っ!? 見た目だけで判断すればまだハイハイから2本足でやっと立てた赤ん坊の見た目をしているというのに、なんて声の低さだ。
それになんだこの膨大なオーラは、反則だろう。しかもあれは聖のオーラも纏っている。これは間違いない。奴は勇者だ。
「勇者様に手合わせいただけるとは、これほど有り難いことはない」
「そんな肩書はすでに捨てた」
勇者という肩書を捨てただと? そうかやはり北方での噂は本当だったか。北方に存在していた9割の魔族を表情1つ変えず殺戮の限りを尽くしたと、言うなれば。
「殺戮マシーン」
「その肩書も捨てた」
この肩書も捨てただと? こんなものでは足りなかったと言うのか? ま、まさかこの世界を牛耳っていた魔王の4柱を真っ向から完膚なきまでに叩き潰しついでに細切れにしたことで復活すらさせないという魔族への強い殺意を感じ近くで隠れていた側近らしき魔族がこう呼んでいた。
「スライサー」
「その肩書はダサいから捨てた」
何だと魔王4柱でも物足りないと言うのか!?。
「ならば貴様は一体」
「俺はそうだな。名も肩書もいらない平和な時代の剣士だよ。これで終わりだ」
「まさか、そんなはずはあるわけがない!」
「そのまさかだ。お前がこの時代最後の魔物だよ」
まだ道はあるはずだ。奴の攻撃を避けれる可能性はゼロじゃない。後ろにバックステップか? いや駄目だ。奴の速度が速過ぎて間に合わない。ならばいっそ奴の攻撃を受け止めるか? これも駄目だ。体制を変えるだけで奴の攻撃は俺の核に届きうる。
「これで終わりだ。……やったか?」
「残念だったな。俺はまだ死んでいないぞ。お前の攻撃が避けれないなら、避けなければいい。核をずらせば俺は死なん」
簡単であり最も有効的な戦い方だ。相手の油断を誘いそこに攻撃を仕掛ける。必ずしも成功する訳では無いがな。
っ! 何故だ体が動かない。まさか。
「これは聖剣だ」
「そうか……この時代最後の魔物である俺の負けか。フッ悪くない人生だった。思い返してみれば……」
「あっけない最後だったな」




