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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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094 ルチルの証言


 「ありがとう、続きをお願い。」


 「あ、はい。えーと、それで警備隊がやって来て、いきなり私を取り囲むと、『ルチルミナ・ファーライドだな!連続爆発事件の犯人として、お前を拘束する!』って言ってきたんです。」


 「ん?」


 ルチルが警備隊に言われた言葉に引っかかりを覚える。


 「いきなり来てルチルの事をルチルだって断定したのか?本人かどうか確認は?」


 ルチルの説明では、警備隊が言った言葉は『ルチルミナ・ファーライドか?』ではなく、『ルチルミナ・ファーライドだな。』だった。


 ルチルの記憶が間違っていないのであれば、警備隊は最初からルチルが犯人だと考えており、容姿なんかも把握している事になる。


 「私がルチルミナだってわかっているように感じました。それと確認とかは無かったです。」


 ならばなぜ警備隊は爆発が起きてからルチルを捕まえに来たのだろうか。


 パッと思いつくのは、ルチルが犯人だと判明したが今まで見つからなかった。もしくは直前で犯人だと判明した。


 他にも理由はあるのかもしれないが、今はちょっと思いつかない。


 「そうか、教えてくれてありがとう。ごめんね、遮って。」


 「いえ、大丈夫です。」


 「その後はどういうやりとりがあったの?」


 メイがルチルに話の続きを促す。


 「えっと、確か、目撃者がいるって言ってました。」


 「目撃者?」


 証拠があると警備隊員が言っているのは聞こえていたが、目撃者がいると言っていたのは知らなかった。


 たぶん聞こえていなかった部分で言っていたのだろう。


 「はい。警備隊の人が言うには、私が爆裂魔法を使って人を爆破していたのを見た人がいるらしいです。」


 爆裂魔法か。確か、炎魔法スキルから派生進化するのだったかな。


 因みにルチルが使っていた重力魔法は、地魔法スキルからの派生進化だ。通常進化の場合は大地魔法となる。


 「でも私、爆裂魔法のスキル持ってないんですよ。というより、そもそも炎魔法スキルすら持ってません。取得したことも無いんです。だから絶対に違うんですよ・・・。」


 ルチルが捲し立てる様に己の潔白理由を口にした。


 確かに、それが本当になら目撃者の証言が嘘という事になる。


 「その後は?」


 「・・・目撃者がいるって言われて、私じゃないって答えたら、証拠が出ていると言われました。それに対して私は、違います、私じゃないですって答えたら、抵抗するなと言われて・・・。」


 言われのない犯人扱いを思い出し、ルチルが少し落ち込んでしまった。それでもゆっくりと続きを語ってくれた。


 「それでも私じゃないと否定したんですけど、警備隊の人が、領主様から逮捕の命令が出てるって言ってきて、全然話を聞いてくれなくて・・・。」


 ふむ、僕達が爆発現場に着いた時のやりとりだ。内容に聞き覚えがある。


 「それで・・・、その、あの・・・。」


 ルチルがモジモジしながら続きを言い淀む。何かそんなに言いにくい事なのだろうか。


 うん?あれ?この後って・・・。


 ルチルのモジモジがさらに激しくなっていき、そっと両手で顔を隠した。


 そして、手の隙間から小さな声が溢れる。


 「えっと、ものすごく腹が立ってしまって、思わず、・・・重力魔法を使いました。」


 どうやらあの魔法は逃げるためではなかったようだ。

次回は木曜日です。

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