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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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092 追跡


 警備隊5人が地面に倒れている。というより磔にされている。


 動かず、声すらあげないのは重力魔法の影響だろう。もしかしたらもう意識が無いかもしれない。死んだのだろうか?


 「はぁ、はぁ。と、とりあえず逃げないと・・・。」


 いきなりの状況にナイン達が固まっていると緑ローブの女性がその場から逃走し始めた。


 瞬く間にリュックを背負った女性の後ろ姿が遠ざかっていく。


 「あ、やばい!追わなきゃ!」


 ナイン達は角から飛び出すと女性が逃げていった方向に走り出す。


 「びっくりしてる場合じゃなかったね。」


 「逃げるかもしれねえとは思ったが、まさか重力魔法をぶっ放すとは思わねえからな。」


 倒れ伏す警備隊員達を避けながら奥へと走る。ちょっと邪魔くさいと思ったのは許してほしい。


 「それにしても、本当にあの女の人が犯人なのか?」


 「違う!って言ってたもんね。」


 「かなりキレてたな。だが警備隊は証拠があるっつってたぞ。」


 気配を辿って追いかけながら先ほどの女性と警備隊のやりとりを思い出す。


 証拠が出ている。領主から逮捕の命令が出ている。普通であれば緑ローブの女性が犯人として確定だろう。


 だが先ほど状況を見ていたナインは、どうしても彼女が犯人だと思えなかった。


 「でも僕はあの女性が犯人だと思えないんだよなぁ・・・。何というか、否定している姿が演技じゃなさそうだった。」


 「私も思った。何か冤罪をかけられてブチギレてるって感じに見えたかな。」


 「あ、やっぱりメイもそう思った?」


 「うん。グレンは?」


 「俺も思った。」


 メイとグレンも同じように感じたようだった。ナインは自分だけ自分だけがそう感じた訳ではなかったことに少しだけ安心する。


 「それにしても追いつかねえな。全然距離が縮まらねえ。純魔法使いじゃねえのか?」


 横を走るグレンが愚痴るように溢す。


 ナインも気配感知で緑ローブの女性の位置を常に把握しているが、確かに距離が縮まっていない。むしろ離されている。


 「風魔法使ってるね。逃げ出す時に見えたよ。」


 「追い風にしてるのか。そりゃ速い訳だ。」


 緑ローブの女性は重力魔法だけじゃなく、風魔法のスキルも持っているようだ。それで走る速度を上げているのだろう。それともしかしたら重力魔法で体重を軽くしてるかもしれない。


 とにかく出来る限り離されないようにしようと全員が一生懸命に走る。ただメイが能力制限を受けているのでどうしてもこれ以上速度が上げられなかった。


 それでも右に左にと分かれ道を曲がり追いかける。


 「この先は確か古い倉庫街だな。」


 「古いってことは人があまりいなさそうだね。止まるかな?」


 「たぶん止まるな。」


 「それじゃあ追いついたらメイに話しかけてもらおう。」


 もうすぐ逃げた女性が足を止めるだろうと予想を立て、追いついた際の対応を決める。


 怖がらせたり警戒されたら話が進まない。なので同じ女性であり見た目が幼いメイが妥当だろうと判断する。


 「わかったよ。私が前に出るから2人は後ろにいてね。」


 メイの提案にナインとグレンは了承する。


 そうして追いついた際の対応を決め、追いかけ続ける事数分。


 「ッ!止まった。」


 倉庫街のかなり奥で先行する女性の気配が止まった。


 「よし、予定通りに行こう。メイ。」


 「はーい。」


 「僕らは後ろに。」


 「ああ。」


 メイが先頭に行き、ナインとグレンが少しだけ距離を開けて追走する。


 そして女性の気配が動きを止めてから30秒後、ナイン達は女性が隠れた倉庫街の奥に辿り着いた。


 気配を辿り、女性の位置を確かめる。すると地面に積み重ねられた木箱と木箱の間から気配がした。


 ナインとグレンは足を止め、メイだけが女性に近づいていく。


 「大丈夫?追いかけてごめんね。」

また明日。

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