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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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091 爆発現場


 ドガアァァーーーンッ!!!!!


 「うわっ!!」


 「きゃっ!!」


 「うおっ!?」


 いきなりの轟音に三者三様の驚きが声になって出る。完全に不意打ちのようなものだったのでかなり驚いた。


 それより今のは。


 「爆発か!?」


 「近えな。」


 グレンの視線の先を追うと大きな黒煙が上がっているのが見えた。彼の言う通りかなり近い。ここから50メートルも離れていなさそうだ。


 ナインは空に上がっていく黒煙をじっと見つめ、決心するように立ち上がる。


 「・・・行こう。」


 「は?あそこにか?」


 「ああ、もしかしたら犯人がまだいるかもしれない。それに怪我人も。」


 時間が惜しいとばかりに早口でグレンに捲し立てる。正直、ナイン1人であったら一目散に向かっていただろう。


 「いいよ、行こう。」


 焦っているのが伝わったのかメイがすぐに賛同してくれた。そしてすぐに立ち上がるとテーブルから移動し始める。


 ナインもそれに続き、テーブルから離れるとメイと一緒に黒煙が上がる方へ走り出す。


 行くかどうか悩んでいるような感じに見えるグレンは置いていく。答えを待つ時間がもったいない。


 だが走り始めてすぐに後ろから声がした。


 「おい待て、俺を置いてくな!」


 グレンが急いで追いかけて来ていた。どうやら一緒に現場に向かうようだ。


 グレンが合流し、改めてナイン達はいまだ黒煙が上がる爆発現場に向かう。


 ほんの少し、嫌な予感を感じながら。












 「・・ぞ!・・・ろ!!」


 爆発現場まであとT字路一つというところまで来た時、目的地付近から何やら男性の怒鳴り声のような音が聞こえて来た。


 距離があるので何を言っているのかはわからない。


 ナイン達は一度足を止め、それからゆっくりと音を立てずに進む。もしかしたら犯人がいるかもしれないからだ。


 そうして少しずつ歩を進め、曲がり角に近づいていく。


 「ち・・・す!・・・じゃ・いです!」


 すると次は女性の声が聞こえてきた。こちらも何を喋っているのかはわからない。そして男性と女性の声が途切れ途切れに聞こえてくる。


 静かに進みながら耳をそばだてる。どうやら女性が1人と男性が複数人いるようだ。そして何やら大きな声で言いあいをしている。


 ナイン達がT字路に到着してもいまだ言いあいが聞こえてくる。何が起きているのか確認するため、3人で角からこっそりと顔を出し、爆発現場を覗き見る。


 まず真っ先に視界に入ったのは真っ黒に焦げた路地裏だ。地面だけでなく壁まで黒く染まっている。ところどころにひび割れも見える。


 そしてその次に目に入ったのは槍を持った警備隊5人と、壁際に追い込まれ囲まれた状態になっている緑色のローブ姿の女性だった。


 警備隊は町中でよく見かける装いだ。揃いの革鎧に一般的なものより少し短めにした長槍を持っている。


 対して女性の方は、肩までの焦茶色の髪に大人しめな顔立ちだ。


 装いは新緑色のローブに女性の身長よりも長い長杖、そして商人以外ではあまり見かけないリュック型のマジックバッグを背負っている。


 見た目から推測するにたぶん純魔法使いだろう。


 「待て!抵抗するな!」


 大きな声をあげ、警備隊員が緑ローブの女性に槍を向ける。


 状況からしてあの女性が爆発事件の犯人なのかもしれない。


 そう思って様子を伺っていると。


 「だから違います!私じゃないんです!」


 緑ローブの女性が大きな声をあげて必死ひ否定していた。まあ本当に犯人だったとしても否定するだろうが。


 「証拠も出ていると言っているだろう!それに領主様より逮捕の命令が出ている!大人しく捕まれ!」


 警備隊員の1人が槍を構えたまま一歩進み、緑ローブの女性に怒鳴るような声で通告する。


 なんと領主からの逮捕命令に証拠まであるようだ。となればもう犯人は彼女で確定だろう。だが。


 うーん・・・。


 犯人だと思うのと同時に何だか納得いかない感じもしている。理由はわからないが何というか、本当か?と思ってしまう。

 

 「だから・・・」


 介入する訳にもいかないので成り行きを見守っていると、視線の先で女性が俯くように下を向いた。パッと見では諦めたように見える。


 ん?諦めた?いや違うな、堪えてるような・・・。あれ?あの人、魔力を貯めてる・・・?


 緑ローブの女性の様子を伺っていると体内で少しずつ魔力が溜まっていくのが感じられる。


 まさか魔法を、と思った瞬間。


 「違うって言ってるじゃないですかッ!!グラビティフィールド!!!」


 ドンッ!!!


 「んぐぅ!?」「ぐあっ!」「ぐえっ!?」「ぎゃっ!」「ぐふぅ!」


 大量の怒りを込めた絶叫と共に、緑ローブの女性が警備隊に向かって重力魔法をぶっ放した。

また明日。

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