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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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089 1週間の成果


 今日は10月20日。乗船資金を集めようと決めてから8日目の朝だ。


 いつもは早朝から行動を開始しているが、今日は少し遅めに宿を出た。休息日である。


 「久しぶりに凄い寝た。正直まだ眠い。」


 「私も。」


 「俺もだ。」


 祭りの日まで休み無しだと決めたが、昨夜急遽休みにした。理由は単純に疲れたからだ。


 何せやるならとことんやろうと考えたバカ3人が、町の門が開く時間から閉まる時間まで手分けして魔物を狩りまくったからだ。正直もう少し自重すればよかったと思った。


 「今日はやれてなかった観光だ!海!僕は海を見るぞ!」


 「わかったわかった。」


 より詳しく言えば、門が開く前にギルドで依頼を受けられるだけ受ける。門が開くと同時に魔物が出現する場所まで走る。目的地に着くと手分けして討伐対象だけではなく、出会った魔物全てを狩る。昼に一度合流し、昼食と出来る限りの解体をする。そしてまた手分けして魔物狩りをする。門が閉まるギリギリに町に戻りギルドで達成報告と素材売却、解体依頼をする。


 この7日間ずっとこの繰り返しだった。


 そして全員が疲れきった。その結果が今日の休みである。


 「ちょっとくらいお金使ってもいいよね?」


 「高くなければいいんじゃない?」


 「さすがに高い物は買わないよ。食べ歩きとかしたいだけだよ。屋台飯とか。」


 「なら大丈夫だよ。それにもしグレンが何か言ってきても私がしばくから。」


 「やめろ、言わねえよ。」


 いつも通り軽口を言ったりしながら大きい通りを進む。


 この7日間の狩りでお金がかなり増えた。何と40万トリアである。僕達がどれだけ魔物を倒しまくったのかこの金額でもわかるだろう。


 それにレベルもスキルもかなり上がり、僕のレベルは27に。グレンは38になった。


 そして無属性魔法の幅も広がった。狩りの休憩時などのタイミングでメイにアドバイスを貰い、自分なりの技や魔法を何個か作り出した。ただ魔力制御がまだまだ甘いので結構失敗したりする。


 「とりあえず港の方に向かおう。何かあるかも、ってあれ何だ?」


 声をかけながらメイとグレンの方を向くと視界に入った出店によくわからない物が売っていた。


 気になったので近づいてよく見てみる。


 「ん?カード?ちょっと厚みがある。」


 「何だろうこれ。」


 「店主、これは何だ?」


 僕とメイが小指の太さほどの厚みがあるカード状のものを手に取り、裏返したりしながら見ているとグレンが直接店主に聞いていた。


 「ああ、そりゃ豊漁祭の入場券だよ。」


 「ん?入場券?そんなもん必要だったか?」


 店主の説明にグレンが首を傾げる。


 どういう事だろう。グレンの言い方からして今までそんなものは無かったのか?


 「いや、今年からだよ。なんでも豊漁祭に参加する人数が年々増えていった結果、警備が追いつかなくて犯罪が多発したからって理由みたいだぞ。」


 「うーん?何でそれで入場券なんですか?」


 店主が理由を教えてくれたがいまいちわからない。それと入場券に何の繋がりが?

 

 「会場を分けるんだとさ。入場券が必要な港側と、必要無い大通り側って感じだな。そんで港側の方は壁で囲んで入場券のみで出入り可能にするらしい。そうする事によって警備が楽になるし、中で何か起きても犯人が容易に出られないからって聞かされたぞ。まあ俺にはよくわからんけどな。」


 「はあ、なるほど。」


 頑張って説明してもらったが、それでも正直よくわかんなかった。


 とりあえず、祭り参加者が多くなった。警備が間に合わなくなり犯罪が増えた。会場を分け、壁で隔てた有料区間を作ることで警備範囲を限定した。という事だろう。たぶん。


 「んで、買うのか?1個2000トリアだぞ。あ、それと1人1個必要だからな。」


 「2000トリア、意外としますね。」


 「それ、一応魔道具だからな。入場者を識別するためらしいが俺にゃあ詳しい事はわからん。」


 何と高いと思ったら魔道具だった。なるほど。どうりでちょっと厚みがあるわけだ。


 「そうだ。それ抽選券にもなってるからな。」


 「抽選券?」


 唐突に付け加えられた説明に疑問符が浮かぶ。抽選とは何だ?


 「ああ、今年から祭りの最後の方に抽選会をやるらしくてな。そんでその入場券自体が抽選券になってるんだと。」


 「そういう事でしたか。ちなみにその抽選会では何が当たるんですか?」


 「1等が何と100万トリアだとさ。領主様も大盤振る舞いだよなぁ。」


 「100万・・・。」


 あまりの金額にうまく反応できない。


 「あとは2等30万が2つで3等10万3つとかだったはずだぞ。」


 「30万・・・、10万・・・。」


 1等だけじゃなくまだあったようだ。そりゃあるよな。


 「そんで?もう一回聞くが買うのか?」


 「あ、えっと3個ください。」


 呆気に取られて反応が遅れたが、もともと祭りには参加する予定だったので人数分購入する。


 購入せずに大通りだけでも祭りは楽しめるだろうが、せっかくならとことん楽しみたい。抽選会もあるし。


 6000トリアを支払い、入場券をメイとグレンに手渡すと各々自分のバッグにしまった。


 「よし、寄り道しちゃったけど港の方に行こう!海見るぞ!」


 ナイン達は店を離れ大通りを海に向かって移動する。


 途中途中、魚介や何だかよくわからない海の魔物の死骸などを載せた台車と沢山すれ違いながらカルヴァースの町を観光する。


 「そういえばこの辺に浜辺って無いのか?」

完全週休2日制を導入します。

4月は火曜、水曜がお休みです。

よろしくお願いします。


次回は木曜日です。

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