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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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082 ボス戦2


 「邪魔だ!今練習中なんだよ!」


 水虎の長剣の水纏を発動し、飛びかかってきたエアーウルフの首を狙って下から斬り上げる。


 「ッ!ギャン!!」


 狙いが少しずれて顔に当たったが、深く斬りつけた事で一撃で絶命したようだった。


 倒した事を確認し、2体目のエアーウルフを見据えながら視界の端でウインドウルフの様子を確認する。


 魔力が切れた事で消滅していく魔力剣と、その奥にいるウインドウルフが見えた。どうやら回避されたようだ。まあ足止め目的なので問題は無い。


 因みに2度目の魔力剣は、撃ち出したと同時に縦に回転していた。そう簡単にメイがやった時のようにはいかないようだ。


 「そらもう一発だ!!今度は真っ直ぐ飛んでくれ!!」


 2回発動してかなり慣れたのか、3度目の発動はだいぶ早かった。1度目の半分くらいの時間だろうか。ただ出来ればもっと早くしたい。


 3度目の魔力剣も縦に回転していたが、1度目よりは回転がゆっくりだった。


 ゆっくりと見ていたいところだが、ウインドウルフに向けて魔力剣を撃ち出すと同時に、残り1体のエアーウルフがエアーカッターを撃ってきた。


 「シールド!」


 僕はすぐにマジックシールドを発動し、迫るエアーカッターを防ぐと思い付きの魔法を使うことにした。


 右手に持つ剣に魔力を纏わせ、魔力の刃を飛ばすイメージをする。そしてそのイメージが固まるように魔法名を設定し、言葉にしながら剣を左から右に振り抜いた。


 「お返しだ!マジックエッジ!!」


 ビュッ!!


 「ギャウンッ!!」


 振り抜いた剣から飛び出した魔力の刃が、魔法を撃ち終えたエアーウルフの前脚を切り落とした。本当は顔を狙ったのだが、少しずれたようだ。まあだが当たったので結果オーライだ。


 「おお!上手くいった。この魔法は使えるな。」


 思った以上に上手くいったことに喜びながら、動けなくなったエアーウルフに近づき、頭部に剣を突き刺してトドメを刺す。


 「先行くぞ!」


 それと同時にウインドウルフの方からグレンの声が聞こえた。どうやら僕より先にエアーウルフ3体を片付けたらしく、作戦通りウインドウルフの注意を引きに行ったようだ。


 「僕も行くよ!」


 剣を引き抜きウインドウルフに向かって走り出す。前方では先に到着したグレンが大剣から炎を出して戦い始めていた。炎魔法も使用しているのかかなり炎の量が多い。


 どうやらウインドウルフの注目を集めつつ目眩しをしているようだ。


 ならば正面ではなく横から行こうと考え、僕は右から回り込むようにウインドウルフに接近する。


 グレンは僕が回り込んでいるのに気がついたのか、さらに炎を大きくしてより注意を引きだした。それによってウインドウルフの意識が完全にグレンに向く。


 今だ!!


 前傾姿勢になり剣先をウインドウルフに向けながら全速力で突っ込む。


 そして同時にマジックソードを発動し、ウインドウルフの横っ腹に向けて撃ち出した。走りながらの魔法だったが、何度かの使用でイメージが固まっていたからか問題無く発動出来た。


 シュンッ!!


 少しずつ修正したおかげで4度目の魔力剣はブレずに剣先を前方に向け、真っ直ぐに飛翔していた。上手くいったこの感覚を忘れないようにとしっかり自分に言い聞かせる。


 ドシュッ!!!


 「ッガルゥア!?」


 先行して飛んでいった魔力剣がウインドウルフの無防備な横っ腹に深く突き刺さる。完全な意識外からの攻撃にかなり驚いているようだ。だがこれで終わりでは無い。


 「もう一発!!スラスト!!」


 ズドッ!!


 スラストの武技を使用し、突進の勢いも乗せた刺突を魔力剣が刺さった隣に力一杯突き込む。


 腹部に刺突2発はかなりの大ダメージだろう。だがウインドウルフの体は大きいので、これでもまだ致命傷では無い。


 だからトドメを刺してもらう。


 「グレン!!」


 僕は無理矢理剣を引き抜き、後ろに跳びすさりながらグレンの名を呼ぶ。最後は任せたと。


 ウインドウルフはグレンが目の前にいるにも関わらず、驚きと大ダメージを与えた僕に顔を向け、大きな隙を晒した。


 「任せろやっ!!」


 そんな隙を逃す筈がないグレンは叫ぶように応じると、即座に上段に構えた大剣に炎を収束させ、隙だらけになったウインドウルフの首筋に向けて振り下ろす。


 ズバンッ!!!ブワッ!!


 熱っ!!熱いよ!


 振り下ろしによる剣風で大剣の熱と炎が離れていた僕にまで襲いかかってきた。離れる距離が足りなかったようだ。


 「グッ!ガウッ・・・。」


 首筋を深く焼き斬られたウインドウルフが絶命の声を上げ、その場に崩れ落ちていく。


 「・・・。」


 倒したと確信しているが、まだ構えは解かない。


 そのまま2人でじっと倒れたウインドウルフに視線を向けていると、その体が薄っすらと光出した。


 それから数秒で光と共にウインドウルフが消えさると、その場に毛皮と牙、緑色の魔石だけが残されていた。


 [レベルアップしました]


 そして僕の前に久々のレベルアップ表示が現れた。

また明日。

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