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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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078 4階層終了


 現在僕たちは、4階層のセーフティエリアにて野営をしている。


 「まさかの被りとはね。」


 あれから4階層の探索を進め、無事に5階層のボスの間へ降りる階段まで探索を終えた。そしてその道中に宝箱を1つ見つけることが出来た。


 「そんなこともあんだろ。バッグ用にするんだったか?」


 グレンが言うバッグ用という言葉の意味は、宝箱から出てきた物が理由だ。


 全員でワクワクしながら開けた結果、なんと出てきた物はDランクの無属性魔石だった。


 「その予定。2つあるから僕とメイのバッグに使うよ。」


 一番最初に開けた宝箱からDランク魔石は手に入れている。これは自分のマジックバッグの強化に使う予定だった。


 だが今回、もう1つ手に入ってしまった。そしてその時に、そういえばメイ用のマジックバッグが必要だったと気付いた。なので追加で手に入ったこれを使おうと決めた。


 「ごめんね。売ったらお金になるのに。でも私もマジックバッグ欲しいんだ。」


 「わかってるさ。ただでさえナインのバッグは容量少ねえんだ。それなのに1人で2人分持てなんて言わねえよ。金は別で稼げばいいんだ。」


 そう言うグレンの耳がちょっとだけ赤くなっていた。照れてまで言わなくていいよ。


 Dランク無属性魔石の販売価格が大体3万以上だから、確かに売れば良い金額にはなるだろう。だがグレンは特に迷いもせず、メイ用に使っていいと言ってくれた。


 「ありがとう。」


 「気にすんな。」


 お礼を言うとグレンの頬まで赤くなってしまった。この辺にしておこう。


 それから僕たちはこの先のボスについてだったり、今までの戦闘の連携についてだったりと色々な話をしながら食事を摂った。


 「そういや、聞いてみてえ事があったんだがよ。」


 「ん?なんだ?」


 唐突にグレンが話を変えてきた。何かあったのだろうか?


 「メイが戦闘後に、今のMPの量だとマジックソードは2本しか出せない。って言ってたろ?じゃあMPがあったら最大何本まで出せるんだ?」


 僕ではなく、メイに対しての質問だったようだ。そういえばそんな事を言っていた。色々驚く事が多くて流してしまっていた。


 それは確かに気になるな。それはそうと。


 「ちゃんと聞いてたんだな。」


 口半開きで固まってたから聞こえてないと思ってたよ。


 「聞こえてはいたんだよ。反応できなかっただけで。」


 グレンが少しだけ拗ねたような態度で返してきた。


 そうだったのか。ただ聞いたはいいけど、メイは答えてくれるかな?自分の強さに関してあまり言わないようにして隠してるし。


 「そうだったんだ。で、メイ。どうなの?」


 答えてくれるの?


 「うーん、隠し続けるのもアレだよね。」


 アレというのがよくわからないが不義理的なものだろうか?そして教えるかどうか悩んでいるみたいだ。


 「まあこれだけならいいかな。普段は8本出して戦ってたよ。」


 「8本!?」


 答えてくれるとは思わなかったのか、グレンはセーフティエリアに響き渡る程の声をあげて驚いていた。


 それに対して僕は意外と冷静に聞いていた。もちろん8本という数字に驚いてはいる。だが、今までのメイの口ぶりや、Xという魔石のランク。それに2000年くらい生きている事を踏まえて考えれば然もありなんと納得できた。


 「8本、8本か・・・。そいつはすげえな。」


 グレンは驚きが抜けずにただそれしか言えてなかった。一応彼には、僕の魔石が元々はメイのものであり、高ランクの魔石である事しか伝えてない。流石にXランクだとは言えなかった。


 それともう1つ、メイが言った言葉で僕は気付いてしまった。


 彼女は普段は8本と言った。最大で8本では無い。つまり本気を出せばもっと出せるという事だ。


 いやいや、いつの間にか出来た嫁さんは中々に底がしれないね。本当に喧嘩しないようにしよう。


 「あれ?ナインは驚いてないね?」


 「ちゃんと驚いたよ。でもメイだからな。そのくらいは出来るだろうって普通に納得出来た。」


 「流石。よくわかってるね。」


 付き合いが長・・・。まだ1ヶ月だったわ。


 どうももっと長い期間一緒に居たように感じてしまう。眠っていた期間も含めれば500年くらい一緒だったんだけどな。ただ僕の意識が無かったのでノーカンだ。


 「・・・強いってのが改めてよくわかったぜ。答えてくれてありがとよ。」


 今回はすぐに元に戻ったようだ。慣れたのかな?


 「んじゃ、次な。2人には何か旅の目的とかあんのか?」


 「ん?旅の目的?」


 もっと僕たちの秘密に迫るような質問をされるとばかり思っていたので、少しだけ面食らってしまった。


 そういえばその辺は話してなかったな。


 「特に無いよ。」


 僕が答えようと思っていると、横に座っているメイがさっさと答えてしまった。


 確かに明確な目的は無い。だが見聞を深めるとかもっと言い方があっただろうと思った。


 「無えのか?」


 「あー、無い。強いて言えば世界を見てまわるって感じかな。」


 そうすればその内メイが秘密にしている事を教えてもらえるからな。


 「そうなのか。もっと何かあんのかと思ったぜ。」


 予想と違ったのかグレンはわかりやすく肩を落としていた。ごめんよ。そもそも記憶無いからさ。


 「あ、でもラグナロクは気になるかな。」


 話が終わったと思ったらメイがそんな事を言い出した。


 「ラグナロクって、グレンが教えてくれた魔人がいる物騒な国だったっけ?」


 「うん。ナインには言ったと思うけど、そもそも魔人って私とナインだけ。厳密に言えば大元の私しかいないはずなんだよ。」


 「そう言ってたね。」


 「うん。だけどラグナロクには沢山の魔人がいる。という事は、たぶんその国には魔人を生み出した存在がいるんじゃないかと思うんだよ。」


 確かに気になるな。何せいるはずがない者がいるのだ。


 であるならば、ラグナロクの魔人について知る。というのが僕とメイの目的と言ってもいいのかもしれないな。


 「なるほど。じゃあそれが目的って感じだね。」


 「そうだね。たぶん関わる事が多くなると思うし、少しずつわかるんじゃないかな?」


 何でだ?僕たちが魔人だからか?


 「何で?」


 「絶対ナインが首突っ込むから。」


 どうやらラグナロクの魔人が関わる事態に僕が介入すると思われてるらしい。


 失敬な、そんなすぐに首突っ込むと思われてるのか?


 「俺もそう思うな。」


 グレンにもそう思われているようだ。


 「そんな事・・・ないよ。」


 否定しようとしたが、言葉に詰まった。


 グレンの話では、奴らは世界中で暗躍しているらしい。ではもし、ラグナロクの魔人が何かしようとしているところに出会したら、僕はどうするか。間違いなく止めに入るだろう。


 話でしか聞いてないが、良いことなんてしなさそうだしな。でも会って話はしてみたいかな。彼らの目的は何なのか。それは知りたいと思う。


 これもまた旅の目的、かな。


 返事をしつつ、僕は僕自身の目的を定める。


 「お前ら、ノースト大陸に行ったら何すんだ?」

また明日。

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