074 所持スキルと探索再開
「流石ナイン、わかってるね。そういう事だから諦めてね。」
「ちっ、わかったよ。使えるようになったら教えてくれ。」
メイはそう言って強制的にこの話を終わりにし、グレンは渋々だが一応は納得した。
エクストラスキルに関しては僕もよく知らないので何を持っているかじゃなくても、どんな物があるか知りたかったが、話しが終わってしまったので聞けずじまいだ。
まあ今度聞いてみるか。そうだ、これも聞きたかったんだ。
「エクストラスキルに関しては納得したけど、メイのスキルについての説明はしてくれないのか?」
僕の知らないスキルが沢山あるので、出来れば教えてもらって今後の参考にしたいのだ。
「別にしてもいいよ。」
いいらしい。なら教えてもらおう。
「それじゃあ頼む。」
「はーい。まずはそうだな、思考加速かな。これは戦闘とか魔力制御の時に思考速度が上がってやりやすくなるからセットしてるよ。因みに思考強化が進化元ね。」
「なるほど思考速度を上げるスキルか。あとで僕も取ってみよう。」
メイの言うように魔力制御がやりやすくなるならあった方が良さそうだ。そして教えてもらってなかったのはいつものメイのいい忘れだろう。
「いいかもね。それじゃあ次ね。MP回復UPをセットしてる理由は、大量に魔力があっても足りない時があるからだよ。」
は?3200万もあって足りない時があるのか?
「足りないって・・・。どんな戦い方してるんだよ。」
「まあ、色々だよ。今は魔力が足りなくて出来ないからその内教えてあげるね。」
これもまた今度っと。今度がいっぱい増えてくな。覚えきれるかなぁ・・・。
「わかったよ。そうだ、この後ろに付いたⅡって言うのは何だ?進化したって意味?」
「そうだよ。」
「やっぱりそうか。名前が変わるやつどⅡが付くやつがあるんだな。」
全部統一すればいいのにと思ったが、世界に文句を言っても仕方ないので飲み込んでおく。
「ちょっとややこしいよね。じゃあ次は瞬歩かな。瞬歩はナインも持ってる疾走が進化したスキルだよ。疾走と同じように移動速度が上昇して、スキル名と同じ瞬歩っていう一瞬だけ移動速度が大きく上昇するアーツが使えるようになるのが特徴だね。」
次に説明された瞬歩は僕が持つ疾走の進化後のスキルとの事。名前が変わり、アーツが増えるという内容のようだ。瞬歩というアーツを使うとどのくらい早くなるのかが気になるところだ。
「進化後のスキルか。うーむ、僕の疾走は16レベルだから、使えるようになるのはまだまだ先か。残念。」
「走り回ってれば結構早く上がるよ。」
「嫌だよ。」
疲れるだろ。
「ほら、次々。」
「はーい。と言っても最後の双剣と投擲に関しては私の戦い方にとって必要だから付けてるんだけどね。」
戦い方?魔力を大量に使うやつとは違うのか?
先程その内と言われたが、わからないので素直に聞く事にする。
「さっき言ってた魔力を大量に使う戦い方とは違うのか?」
「一応は違うよ。ただこのスキルを使った戦い方でも魔力は結構使うけどね。」
一応とついているが違うみたいだ。ただ魔力消費は多いようだ。
どうやらメイの戦い方では魔力を沢山消費するのが基本らしい。だからMP回復UPをセットしているのだろう。
「次魔物が出たら見せてあげるね。双剣と投擲に関してもその時に説明してあげるよ。見た方が理解しやすいからね。」
どうやらメイは次の戦闘時にスキルを使って戦ってくれるようだ。
確かに口で説明されるだけより、見た上での説明の方がわかりやすい。それにメイの戦闘は普通に見たい。
「わかったよ。その時にまた頼む。」
「まかせて!」
お願いするとメイは自信満々な笑顔で大きくうなづいた。よっぽど僕に見せたいらしい。
するとここで横で黙って聞くだけになっていたグレンが口を開く。
「俺はステータス見えねえから聞いてるだけだったが、戦い方って部分は気になるな。楽しみにしてるぜ。」
戦闘が好きそうなグレンらしい言葉だった。ただ僕も気になるので同じように楽しみではある。
「楽しみにしてて。それじゃあもう聞きたい事は無いかな?」
メイに聞かれて何かあったかなと考えてみる。だが色々な事を聞いた気がするので他に何を聞いてなかったのか、何を聞こうと思ってたのかがよくわからなかった。
まあ時間は沢山あるし思いついた時でいいか。
「たぶん大丈夫。」
「俺も無えな。つか何聞いたらいいのかわかんねえや。」
グレンの言葉に僕は思わず頷いてしまう。
わかる。わかるよその気持ち。だって僕もそうだから。
「思いついたら聞いてね。答えるかは別だけど。」
「答えられる事だけでいいよ。それより、そろそろ移動しようか。」
こうしてる間にも少しずつ今日の探索時間が無くなってしまっている。魔石は手に入れたが、もう宝箱を開けない訳ではないのだ。
それに早く探索を終わらせてメイの服を買いに行かなければいけないしな。流石に女の子が下着無しの状態でサイズの合わない僕の着替えを着ているのはかわいそうだ。
「そうだな、行くか。」
「はーい。」
いつも通りなグレンと元気なメイの返事を聞き、僕たちは宝箱の前から移動を開始する。
何だかんだとそれなりの時間ここにいたが、まだ4階層は6、7分の1しか探索が終わっていない。
出来れば今日中に4階層を終わらせて明日にはアルトの町に戻りたいなぁと思いながら、メイと初めて顔を合わせた場所を後にした。
また明日。