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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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066 四足ダンジョン4


 力の腕輪を手に入れた後、僕たちは残り2割となった2階を早々に終わらせた。


 その後、2階ではもう宝箱は見つからなかった。2つで終了だったようだ。


 「結局3階でも魔石は出なかったな。」


 そして今僕たちは3階のセーフティエリアで野営をしているところだ。


 「だがよ、宝箱2つあったじゃねえか。」


 グレンの言う通り、3階では宝箱が2つ見つかった。隈なく探したのでこれで全部だろう。


 実は3階の探索は終わっているのだ。


 「アクセサリーしか出なかったけどな。」


 Eランクだけじゃなく、Dランクの魔物も現れるようになったので戦闘が中々大変になったが、何とか慣れてきた。だけど魔法を使ってくるのがいたのには結構驚いた。


 「敏捷の腕輪と体力の腕輪だな。また見事に持ってねえのだったな。」


 グレンの言う通り3階で手に入れたのは敏捷の腕輪と体力の腕輪の2つだ。敏捷はAGIを、体力はVITの値が上昇する。上昇値は前に手に入れた力の腕輪と同じく+5だ。


 「でもいいのか?僕が敏捷の腕輪貰っちゃって。」


 「構わねえよ。それにお前が体力の腕輪着けてもあんま意味無えだろ。」


 確かにその通りだ。僕の場合、ダメージを受けても魔力で再生出来るので、HPや防御力を上げても効果としては微妙なのだ。まぁスタミナは必要だけど。


 その点AGIなら恩恵がしっかりある。移動や攻撃速度が上昇するので手数で攻める僕にはちょうどいい。


 「まぁそれもそうか。それにしてももう3階終了か。あと1階しか無いな。」


 事前にギルドで聞いた通りこの四足のダンジョンは全5階層だ。そして5階層目がボスの間なので、探索出来るのはあと1階層のみとなる。


 一応ボスを倒すと宝箱が出るらしいのだが、果たして魔石が出るかはわからない。


 「2階と3階で見つかった宝箱は2個づつだったな。3個はあんじゃねえか?」


 特に根拠の無い予想をグレンが立てている。


 何でそんな自信満々な顔出来るんだよ。


 「根拠無いだろ。あったらいいとは思うけど、期待したらダメだと思うんだよ。だから僕は過度な期待はしない。」


 宝箱がいっぱいあると思って少なかったら落ち込むだろ。


 「お前、毎回開ける時鬼気迫るような顔してんぞ。」


 「・・・してないよ。」


 うんうん、と自分の言葉に頷いているとグレンから容赦の無い言葉が投げられた。そんなに余裕無い顔してたのか?してないだろ。


 「まぁいいや。もっと気楽に考えとけ。4階は魔物もDランクしか出ねえんだから気張り過ぎんなよ。」


 『そうだよ。いくら治るって言っても余裕無くて怪我するとかダメだからね。・・・私のためなのはわかってるけど。』


 「はい・・・。気をつけます。」


 先輩達からの忠告はしっかり聞こう。実践出来るかはわからないけど。


 それにしても、そんなに余裕無かったかな?自分では普通のつもりだったんだけだなあ。


 その後はずっと、寝床に横になってもダンジョンに入ってからの自分を振り返り続け、気付けば眠りに落ちていた。


 明日からはもう少し余裕を持って行こう。












 「あっぶな!!」


 走り込もうとした僕の足元から突然石の槍が飛び出してきた。どうやら奥にいるアースラットが発動した地魔法のようだ。


 僕は急いで後ろに跳び、とっさに回避する。かなり驚いたので心臓がドクンドクン鳴っている。


 4階層に降りて早1時間、何度かの魔物との戦闘をしながら探索を続け、現在は2体の魔物と戦闘中だ。


 「ファイアボアが来んぞ!」


 驚きで少し足が止まっているとグレンの大きな声が聞こえてきた。その声に反応してアースラットの前にいる赤いイノシシを見ると、最初には無かった炎を纏った状態で地面をガツガツと掻いている。


 (突進か!)


 『シールドで止めてカウンター!』


 僕がファイアボアの状態から次の攻撃を判断する。するとメイがすかさず指示を出してきた。


 「了解!」


 すぐに2人に返事を返すとファイアボアが突進を開始した。


 ドドドドッ!!っと鈍い音を立てて突っ込んでくる。鼻の向きからして狙いは僕のようだ。


 思ったよりも突進速度が速い。炎を推進力にでもしているのかもしれない。だが問題無い。


 来い、来い。今だ。


 「シールド!!」


 ドガッ!!


 「プギィッ!?」


 タイミングを見計らい、突進してくるファイアボアの眼前にマジックシールドを出現させた。


 いきなり現れたシールドに狙い通り直撃し、ファイアボアの動きが止まる。


 「よし!はああっ!!」


 「プギャ!!」


 その隙を逃さずに近づき、首を狙って一刀のもとにファイアボアを切り捨てる。


 (僕たちの場合魔物相手だと、この倒し方が鉄板になりそうだな。)


 『そうだね。でも下位の魔物ならこれでいいだろうけど、Bランク以上になると回避してくるかもしれないから注意だよ。』


 いい倒し方だなと思っていたが、どうやらCランクまでのようだ。まぁでもまったく使えない訳じゃないようなので、回避された後の対処だけ考えておけば大丈夫だろう。


 (りょーかい。さてもう1体は。)


 メイに返事をし、アースラットの方を見る。


 「おらぁ!!」


 「ギキュウッ!!」


 視線を向けるとちょうどグレンがアースラットを叩き斬っていたところだった。


 あっちも終わったようだ。ただ一応最低限の警戒は解かないでおく。この4階層に降りてから魔物のステータスも上がっているので、戦闘音を聴いて近づいてくるやつがたまにいるからだ。というか実際に2度ほどいた。


 「・・・終わりだな。そっちは問題無えか?」


 グレンが剣を払い、背に戻すとこちらを振り返り確認してきた。


 「大丈夫。」


 どうやら近づいてくる魔物はいないようだ。


 周囲への警戒をゆっくりと解くと、腰に剣を戻して返事をする。


 「今どのくらいまで進んでるんだ?」


 1時間は経ってるはずだからそこそこ探索も進んでいるはずだ。いや、まだ宝箱が見つかってないから進んでない方がいいのか?


 どっちが良いのかよくわからないままとりあえずグレンに進捗を確認する。


 「まだ6、7分の1だな。たぶん今日じゃ終わんねえだろうな。」


 僕の質問にグレンは地図を取り出して確認し、進捗と予想を述べた。


 どうやらあまり進んでいないらしい。


 「そっか。まぁまだ宝箱見つかってないから、良かったと言えば良かったのかな。」


 「目的の大半が宝箱探しだからな。そう考えたら良い方じゃねえか?それにそろそろ1個目が見つかんじゃねえかな。」


 グレンが僕の考えに同意すると、宝箱の予想をしだした。


 根拠あるのか?でも確かに、1時間探索してもまだ見つかってないんだからそろそろあってもおかしくないか。


 「なら早く見つかってほしいな。昨日もうすこし余裕を持とうって言ったけど、そろそろ無くなりそう。」


 『が、頑張って!』


 正直1発目に出たのDランク魔石のせいで頭おかしくなりそうだ。なんだよ1個下って。


 「なら余裕ある内にさっさと進もうぜ。とりあえず次は真っ直ぐ行って左だ。ほら行くぞ。」


 脳みそがやられそうになっている僕を放置してグレンは先に進み出した。


 待て待て。


 「先行くなって。グレンは罠感知持ってないだろ。」


 トラップ踏んで大怪我とかやめてくれよ。


 僕は急いでグレンを追いかけて追い抜くとダンジョンの探索を再開した。


 出来ればすぐに宝箱が見つかりますように。

また明日。

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