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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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065 四足ダンジョン3


 「よし、準備完了。グレン君。準備はいいかな?」


 ダンジョン2階層の2日目。

 

 昨日はセーフティエリアで食事を取り、寝床の準備をしてから翌日の準備と方針を決めてすぐに就寝した。


 「何だよそれ・・・。俺も準備できたぞ。」


 現在時刻は恐らく早朝の6時前くらいだ。恐らくというのは時計も無く、町で鳴るような鐘も無いため感覚でしかわからないからだ。


 「では出発だ。まずは昨日の宝箱のとこからだな。」


 寝る前に決めた通り、今日は昨日宝箱を開けた場所から探索を再開する予定なのでまずはそこまで向かう事にする。


 といってもすぐに到着するのでもう探索を再開したと言っても過言じゃないのだが。


 今日は出来れば3階層まで終わらせたいので、急ぎつつもしっかりと探索しようと思う。


 宝箱はどのくらいあるんだろうなぁ。












 「うおっ!?びっくりした。」


探索を再開して3時間。2階も残り2割を残すのみとなった。三又の分岐を右に曲がると目の前に宝箱があった。


 来た道からは陰になっていたので全く見えなかった。


 『2つ目だね!何が入ってるかな?』


 (Cランク魔石だといいんだけど。)


 『魔石も欲しいけど、せっかくだから色んな物が出た方がいいでしょ?』


 色んな物か。確かに欲しいな。武器や防具、アクセサリーに魔道具などが出るとギルドでも言っていた。


 僕としては昨日メイとも話していたが武器が欲しい。欲を言えば属性魔法みたいなアビリティが付いた剣だ。


 (欲しいけど。欲しいのは武器だからなぁ。まず出ないだろうし・・・。まぁここであれが欲しいこれが欲しいって言ってても仕方ないか。)


 『それもそうだね。』


 さっさと開けてしまおう。


 「開けねえのか?」


 あ、ごめん。メイと話しててグレン忘れてた。


 「ごめんごめん。メイと話してた。今開けるよ。」


 グレンに謝ると宝箱に近づき、今回は一気に開ける。ゆっくり開けたとこで意味ないし。ってトラップがある可能性はあったわ。


 キィッ。


 小さく軋むような音を立てて上蓋が開く。トラップは無かったようだ。良かった。


 「・・・これは、腕輪か?」


 宝箱に入っていたのは装飾の無い銀色の腕輪だった。


 『これ、アクセサリーだね。』


 「力の腕輪じゃねえか。」


 メイとグレンは腕輪を見ただけですぐわかったようだ。そういえばグレンの右腕に着いてる腕輪と同じだな。


力の腕輪

等級:D

種別:アクセサリー

効果:STR+5

耐久値:200/200


 鑑定を使って腕輪を見てみると名前と効果がわかった。


 「おー。これがアクセサリーか。これはSTRが上がるんだな。」


 鑑定画面にはSTR+5と表記されているのでこの腕輪を着ければステータスが増加するのだろう。ふむ、お手軽だな。


 「ああ、俺も着けてるが+5でも結構変わるぞ。何せレベル換算したら2レベル分くらいだからな。」


 「確かにそう聞くと結構増加する感じがするな。これはどっちが装備する?」


 正直僕が欲しいけど、大剣持ちのグレンの方がSTRの数値は重要だ。グレンが装備したいならその時は快く譲ろう。


 「お前でいいぞ。別に同じの2つ装備出来ないって訳じゃねえが、俺は力の腕輪と魔力の腕輪持ってっからな。」


 だからまだアクセサリーを持っていない僕が装備しろ。


 言葉にはしていないがグレンの目がそう言っているような気がした。


 「いいのか?」


 「構わねえよ。お前だって剣で戦うんだ。STR増えた方が良いだろ。」


 確かにその通りだ。数値が高ければ攻撃の威力も上がる。そうすればこの間のアクアタイガーの時みたいに、攻撃が通らないなんて事も減るだろう。


 ここはお言葉に甘える事にしよう。


 「・・・わかった。ありがとう。」


 僕はグレンに礼を言うと力の腕輪を右腕に着けた。すると装備効果が発揮されたのだろう。レベルアップした時のような少しだけ力が増えた感覚があった。


 「おお、こんな感じなのか。面白いなアクセサリー。」


 お手軽にステータスが増やせるならもっと欲しいぞ。


 一応ステータスを確認すると56から61に上がっている。1割アップだ。


 「一応言っとくが、アクセサリーは4つまでしか効果が反映されねえぞ。」


 え?


 『あれ?知らなかったの?』


 知りませんよメイさん。


 「やっぱり知らねえんだな。アクセサリーは4つまでしか効果が有効化されねえんだよ。それ以上は装備しても反映されねえから邪魔になるだけだ。」


 マジ?いっぱい着けてステータス大量アップとか出来ないの?


 期待していただけに普通に落ち込んでしまう。


 「そうか・・・。残念だ。」


 「まぁ誰もが考える事だけどな。俺も考えたし。」


 グレンが少しだけ照れながらフォローしてきた。照れてまでフォローしてくれてありがとう。そしてすまない。


 グレンの身を、というより精神を削ったフォローのお陰で気持ちの切り替えもすんなり済んだ。


 『因みに4つ装備した状態で着け変える場合は、先に着けてる物を外してから新しいのを着けないと効果が有効化されないから気をつけてね。』


 メイがアクセサリーに関しての注意事項を教えてくれた。


 なるほど。先に5つ目を着けてから外して4つにしても意味がないと。了解です。


 (気をつけるよ。)


 まぁこれに関しては4つ以上着けないようにすれば大丈夫か。そういえば。


 「グレンの着けてる魔力の腕輪ってどんな効果なんだ?」


 鑑定すればわかるのだがいくら仲間とはいえ他人が装備している物勝手に鑑定するのは憚られた。なので素直に聞いてしまうのがいいだろう。


 「ああ、鑑定しないようにしてたのか。別に見ていいぞ。」


 グレンが鑑定の許可をくれたので早速確認してみる。


 「じゃあ失礼して。」


魔力の腕輪

等級:D

種別:アクセサリー

効果:MGI+5

耐久値:196/200


 ほう、予想通りMGIが上がるアクセサリーか。等級と上昇値も力の腕輪と同じだ。


 炎剣と炎魔法を使う剣士だからな。上昇するとMPが増えるMGIはグレンにとって重要なステータスだろう。


 一応言うと僕が装備してもMGI上昇の恩恵はほぼ無かったりする。魔力は3千万以上ある上に、魔法威力に関しても上げたければ魔力を多く込めればいいだけだからだ。


 「グレンに合った効果だな。」


 「まあな。出来れば特殊効果が付いたアクセサリーが欲しいんだが、あれはもっと高ランクのダンジョンじゃねえとほぼ出ねえからよ。」


 特殊効果?


 「特殊効果って何だ?アビリティと違うのか?」


 会話の中に聞き覚えのない単語が出てきた。わからないので素直に聞いてみる。


 「アビリティは武器と防具に付くやつで、特殊効果はアクセサリーに付くやつだ。まあ言葉は違うだけでほとんど同じようなもんだけどな。」


 「そうなのか。」


 同じようなものなら別にいいか。それにグレンが言っていたがほぼ出ないらしいので当分見る事もないだろう。アビリティ付きの武器と同じだな。


 「さて、それじゃそろそろ再開すんぞ。2階も残り2割なんだ。さっさと終わらせて3階に行こうぜ。」


 おっとそうだった。アクセサリーに頭を持ってかれて肝心のダンジョン探索の時間を余計に使ってしまった。


 「だね。昨日グレンが下に行く方が良い物が出やすいって言ってたし。行こうか。」


 そう言って宝箱の前から離れ、残りのルートを埋める作業を再開する。


 魔石は出なかったがアクセサリーは手に入った。ダンジョンとは結構、いや、かなり面白い場所のようだ。


 今後も旅をしている最中近くにダンジョンがあれば是非とも入るとしよう。

また明日。

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