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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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064 四足ダンジョン2

お待たせしたかはわかりませんが

今日からまた再開します。


よろしくお願いします。


 「結局無かったね。宝箱。」


 今僕たちは2階層に降りる階段の前にいる。


 「マジで時間の無駄だった気分だな。まぁ1階はあったり無かったりすっから、無かったんだと思おうぜ。2階にあれば誰か入った可能性は下がるしよ。」


 グレンがフォローを入れてくるが正直本当かよと思ってしまう。


 (本当なのか?)


 『本当だよ。1階は割とあったり無かったりするね。2階に期待だね。』


 メイに確認したらどうやら本当だったようだ。なら信じよう。


 「それじゃあ2階にはちゃんとある事を願おう。で、どうする?降りる?」


 何故降りるか確認したかと言えば、結局1階の探索に5時間程かかったので現在時刻が大体17時くらいだからだ。もうすぐ夕飯の時間である。ちょっとお腹空いたわ。


 「降りようぜ。地図で見たが2階にもセーフティエリアがあるみたいだしよ。」


 1階の探索中にメイに教えてもらったが、セーフティエリアとは魔物が寄り付かず、トラップなども無い安全地帯の事だ。ダンジョンには1階層につき1箇所あるらしい。


 正直聞いた時は何だそれ?と思った。本当にダンジョンはよくわからない。


 「それじゃあ降りてセーフティエリア側を探索していくか。後はお腹と体の調子をみて考えよう。」


 「そうだな。俺としても腹の減り具合が一番わかりやすい。」


 腹時計かな?


 ふわっとした方針を決めながら階段を降りていく。一応事前に7日分の用意をしているので何とかなるだろう。ダメなら戻るさ。


 数十秒程で階段を降りきり、2階層に到着した。だが見た目は変化が無く全く同じだ。


 「1階と変わんないんだな。」


 「変わるのは6階層からだな。ダンジョンってのは5階層毎に中が変化するんだよ。」


 「ほー、なるほど。てことはここは5階層までしかないから変わんないのか。」


 残念。ちょっとだけ見たかったし体験したかった。


 「そういう事だ。それじゃあ行くぞ。まずは真っ直ぐ行って左だ。」


 進行方向を確認し、2階層の探索を開始する。地図の確認は後ろを歩くグレンが担当している。先頭の僕が地図を持つと余所見ばかりになるからな。


 因みに1階では余所見で投石のトラップに2度引っかかった。踏んだら何か起こるという物凄くわかりやすいトラップなのに引っかかったので、グレンに地図を没収された。


 そういえば2階層に来たから魔物の種類は変化してるな。


 「なぁグレン。2階の魔物って何だ?」


 前方と周囲を警戒しながら振り返らずに後ろのグレンに聞いてみる。するとすぐに地図を取り出すガサゴソという音が聞こえて来た。


 「2階だとウルフ、ボア、ファングラクーン、フォックスだな。1階に出たビッグラットとホーンラビットは出ねえみてえだ。」


 「Eランクのみか。油断しなければ大丈夫だな。」


 ウルフしか戦った事ないけど。まぁダンジョン内は思った以上に魔物が出現するので他の魔物とも戦う機会があるだろう。












 「あ!!」


 ダンジョン2階を探索して2時間。十数体の魔物を倒して疲れたのでそろそろセーフティエリアに行こうと思っていた矢先の事。


 「気持ちはわかるがでけえ声出すな。魔物が寄ってくるだろうが。」


 グレンに怒られてしまった。でも仕方ないだろう。何せ。


 「ごめん。でも、あれ、宝箱が。」


 そう、宝箱があったのだ。


 もしかしたら無いと思っていた宝箱がついに見つかった。何度も言うが声が大きくなってしまっても仕方ないのだ。


 「・・・魔物は来てねえな。ほら、開けてこいよ。」


 「う、うん。」


 『ま、魔石出るかな?』


 周囲を確認したグレンに促され、僕は宝箱に恐る恐る近づく。僕と同じようにメイも緊張しているみたいだ。


 見た目は宝箱の形をしているが材質は木材オンリーで作られた箱だった。


 もっと高ランクのダンジョンだと宝箱の見た目も変わるのだろうか。などと緊張し過ぎているのか余計な考え事をしてしまう。そんなことよりまずは開けよう。


 キィッ・・・。


 宝箱の上蓋に手をかけ、ゆっくりと持ち上げると小さな音を立てて蓋が開いた。


 「・・・え。」


 『・・・あ。』


 中を見た僕とメイは言葉が出なかった。何故なら宝箱の中には色のない半透明の魔石が、つまりは無属性魔石が入っていたからだ。


 だが言葉が出なかった理由はそれだけではない。












魔石

等級:D

属性:無

魔力値:9552/9552


 鑑定が示す通りDランクだったからだ。


 「・・・おしい。」


 『もう一個ランク上だよぉ・・・』


 僕とメイはかなりがっくりときた。


 仕方ないだろう。やっとの思いで宝箱を見つけて、ワクワクドキドキしながら開けたら熱望する無属性魔石があった。でもランクが1個下でした。なのだから。


 「そりゃ、ないよ・・・。」


 あまりの衝撃でその場に座り込んでしまう。


 「どうした?ん?・・・Dランク?あ。」


 何が起きたのかと後ろで見守っていたグレンが近づき、宝箱の中身を確認した。鑑定もしたのかDランクだった事に気づき彼も言葉を失う。


 『「「・・・。」」』


 そのまま数分。3人とも無言のまま動くこともなかった。












 「とりあえずセーフティエリアに行こうか。今日はもう疲れたよ。」


 時間が経って少し落ち着いたので、宝箱の中の魔石をバッグにしまい、グレンにそう提案した。


 早くご飯食べて休みたい。


 「そうすっか。続きはまた明日だな。でもここに宝箱があったって事はよ、たぶん誰も入ってないのは確定じゃねえかな。」


 グレンは提案に同意するとフォローも入れてきた。


 「なんでだ?」


 「ここ、セーフティエリアの近くだぞ?もし誰か入ってたらまず間違いなく通ってるはずだ。なのに宝箱がある。て事は誰も通ってねえって事になるだろ?」


 「ああ、なるほど確かに。て事はこの先にも宝箱がまず間違いなくあると。」


 誰も入っていない可能性がかなり高くなった。これはまだまだチャンスがあると言えるな。


 「よし。少し気持ちも楽になったぞ。」


 『私も!』


 メイも復活したようだ。よかった。


 「それにまだ2階層なんだ。ダンジョンの宝箱ってのは下に行けば行くだけ入ってる物も良くなるからな。手に入る可能性ももっと上がんだろ。」


 そんな気はしてたけど、やっぱり深い階層の方が良い物出やすいのか。


 グレンの追加フォローで更に気持ちが軽くなった気がした。


 「なら明日も頑張るとしますか。とごめん。話してないで行くか。」


 「そうだな。」


 周囲に忘れ物が無いか確認し、宝箱があった場所から離れて近くにあるセーフティエリアに向かう。


 分岐を2つ曲がり、進むことものの1分でセーフティエリアに到着した。特に魔物が現れたりトラップがあったりすることもなかったので疲れなくてすんだのはかなり助かった。


 「近っ。本当にすぐ側だな。」


 「地図を見てた俺もそう思うわ。・・・ふむ。やっぱり直近で使われた形跡は無えな。」


 「ん?わかるのか?」


 「ああ、最低でも数日は残る焚き火や野営の跡が無えからな。」


 そう言ってグレンはセーフティエリアの床や壁を指差しながら教えてくれた。


 確かに何も無い。と思う。いや、正直わかんないや。


 「なるほど。僕には全然わかんないけど、グレンがそう言うなら本当に誰も来てないっぽいね。」


 「まず間違いないと思うが、鵜呑みにすんなよ。」


 「じゃあ9割くらいで信じとく。」


 「ほとんどじゃねえか。まあいいや。とりあえずまずは飯食おうぜ。腹減った。」


 そう言ってグレンはセーフティエリアの端に向かった。


 僕もお腹が減っているのでグレンの後を追う。肉体よりも精神的にかなり疲れているので、さっさと食べて早くゆっくり休みたい。


 明日は今日のように昼からのダンジョン探索では無いので時間はたっぷりある。


 だからこそしっかり寝て休み、長時間動けるようにしなくてはいけない。


 僕はグレンの向かいに座るとマジックバッグから携帯食料と水の魔道具を取り出し、微妙な顔で美味しくない夕食を取り始めた。

また明日。

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