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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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060 アルトの町


 始原都市アルメガを出発しておよそ1時間。


 南門を出て街壁沿いに進み、現在はアルメガ北の街道を進んでいる。


 「港町のカルヴァースまでは真っ直ぐ行けば徒歩で大体7日らしい。」


 隣を歩くグレンが目的地までの日にちを教えてくれた。意外と近いらしい。僕も地図を出して確認してみる。


 「ふむふむ、アルメガってイース大陸の北寄りにあるんだな。えーと、カルヴァースまでの間には村、町、村か。」


 大体同じくらいの距離ずつにあるようだ。徒歩で1日半くらいの距離かな?野営からは逃げられないらしい。ベッドで寝られないのは残念だ。


 『カルヴァースまでの間は流石に昔とは違うねぇ。』


 まぁ500年経ってるからな。寧ろ残ってるアルメガとカルヴァースが凄いのだ。というか2000年前からあるアルメガは普通に変だろ。


 「ああ、村2つに町1つだな。急いでる訳じゃねえから着いたら宿に泊まろうぜ。」


 「賛成。ついでに美味しいご飯だな。」


 何か特産とかあるかな?






 「町の近くにダンジョンもあるぞ。」


 大事な情報をグレンが何でもない事のように言ってきた。


 ダンジョン!?あるの!?言ってよ!ていうか地図に描いてないぞ!町ってこの地図にあるアルトの町か?


 驚きで開いた口が塞がらない。たぶん今僕はアホな顔をしているだろう。


 「何だよその顔・・・。ダンジョンあるぞ。Cランクの固定ダンジョンだけどな。」


 グレンは呆れた顔をしながら僕が知らない情報を追加してきた。Cランクは敵の強さとかだろうけど、固定ダンジョン?それは知らないな。


 「地図に描いてなかったから知らなかった。ていうか固定ダンジョンって何だ?」


 わからないので大人しく聞きます。


 「それ安い地図だろ。固定ダンジョンってのは最奥のボスを倒しても、一定時間でボスが復活して残り続けるダンジョンの事だ。」


 確かに安かったよ。1000トリアだったもん。まぁ買い直せばいいか。それよりボスが復活して残り続ける?


 「残らないダンジョンもあるのか?」


 ダンジョンに関しては最低限の知識に一応ある。ただ知っているのは階層がある事。中は広くて森とか洞窟とか遺跡みたいになっている事。迷宮と呼ばれる迷路になっている事。宝箱がある事。中にいる魔物を倒すと死体ではなく、素材と魔石が残される事。ボスがいる事。このくらいだ。


 「残らないのはランダムダンジョンだな。このタイプはいきなり何処かに現れて、中のボスを倒すとダンジョンごと消える。現れるダンジョンも毎回違うらしい。」


 「何だそれ?てことはいきなり近くに高ランクダンジョンが現れたりもするのか?」


 怖いわ。


 「あるぞ。過去にどっかの街のすぐ近くにSランクダンジョンが現れた事があるって聞いた事あるぜ。」


 Sランク!?ヤバイじゃん!


 『あー、何度かあるね。2000年前とかにあったのだと、中の魔物が全然倒せなくてスタンピードが起きそうになった事もあったよ。あれ?スタンピード起きたんだっけ?』


 ちょっと曖昧な部分はあるが、メイの記憶にもあるので事実なようだ。



 それにしてもスタンピードか・・・。


 スタンピードと言うのは、ダンジョン内の魔物が増え過ぎて外に溢れてしまう事だ。そうなれば近隣の町や村が壊滅したりしてしまう。なので冒険者や騎士などがダンジョン内に入り、出来る限り魔物の数を減らさなければならなかったりする。


 「うーむ、怖いなぁ。でもまぁそれはそれとして、近くにあるっていうダンジョンは行きたい。」


 レベル上げもしたいしな。


 「お!じゃあ行こうぜ!実は俺も行きたかったんだよ。」


 グレンが嬉しそうにしている。うん、そうじゃないかと思ったよ。じゃないと態々言ってこないだろ。


 「だと思ったよ。それじゃあまずはアルトに行かないとな。」


 とりあえず3、4日くらい先にあるアルトの近くだからまだ先だ。


 楽しみだけどゆっくり向かうとしよう。












 アルメガを出てから4日目の昼過ぎ。


 村を一つ過ぎ、宿で休んだり野営をしたりしながら街道を進み、アルトの町に到着した。


 「やっと着いたな。それじゃあまずは宿に行くか。それからギルドでダンジョンの情報聞こうぜ。」


 ちょっとだけ何かあるか期待した村では特に何も無かった。正直普通の村だった。


 「さっき門番さんに聞いてたおすすめの宿。金の羽亭だったっけ?」


 それとこの道中、街道では魔物が現れなかったため、せっかく作ってもらった水虎の長剣を使う事は無かった。ダンジョンまでお預けのようだ。


 「ああ、通りを真っ直ぐ行くとすぐ見えるらしい。鳥の絵が描いてある黄色い看板が目印だったな。お、あった。マジで近いな。」


 グレンの視線を追うと黄色い看板が見えた。本当に近い。門から1分くらいだぞ。


 『近いね。でもこんなに近いなら部屋空いてないんじゃない?』


 (僕も思った。大丈夫かな?)


 他のおすすめも聞いておけばよかったかな?


 「部屋空いてるかな?とりあえず入って聞いてみよっか。」


 悩んでても仕方ないので中に入る。アルメガで利用した夕月亭よりは大きいので大丈夫だと思いたい。


 だが正面の受付には誰もいなかった。奥に行ってるのかな?まぁ呼べば来るか。


 「あのー!すいませーん!2人なんですが部屋空いてますか?」


 少し大きめの声で受付奥に呼びかけると、ドタバタと音がした後、謝罪の言葉をくちにしながら中年の女性が出てきた。


 「あらー、ごめんなさいね。いらっしゃい。2人部屋でいいなら空いてるよ。」


 お、空いてる!助かった。


 「よかった。それじゃあ2人部屋で1日お願いします。」


 明日はダンジョンに行くのでとりあえず今日だけだ。流石に1日で戻っては来れないだろう。


 そうして僕たちは宿を取ると部屋には行かず、ギルドでダンジョンの情報を得るために宿を出た。






 「ギルドの中はあんまり変わらないね。ちょっと狭いくらいかな?」


 冒険者ギルド内を見回し、アルメガのギルドとの違いを探してみた。だが内装はほぼ変わらず、少し狭くなったくらいだった。


 「確か配置を変えたりなんかすると初めて来た奴とかが、どこに何があるかわからなくなるから変えてない。とかだったはずだ。」


 なるほど。でも今の説明だと全部のギルドがそうだと聞こえるが。


 「世界中の冒険者ギルドがそうなのか?」


 「ああ、俺はそう聞いたぜ。それに確かに今まで行ったギルドの内装は同じだったな。」


 本当に世界中同じのようだ。確かに困らなくて助かるが、それはそれでちょっとつまらないなぁ。


 「ほー。本当に同じなのか。世界中で同じとか凄いな冒険者ギルド。」

また明日。

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