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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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057 水虎の装備

再開です。


 「だから落ち着けっての。ほらこれだ。」


 声しか落ち着いていなかった僕に呆れ顔を向けながら1本の剣をカウンターに置いた。


 黒い鞘に握り、そして青い鍔の長剣だ。


 「おお・・・。これが。」


 「抜いてみな。」


 僕が感動しているとアジャンが抜けと言ってきた。


 ゆっくりと右手で柄を握り、持ち上げる。鋼鉄の長剣よりずっしりとした重さを感じる。


 それから左手で鞘を掴んで抜くとシャラッ、と綺麗な音を立てて薄青い刀身が現れた。


 「すごい・・・。」


 『綺麗だね。』


 真っ直ぐな薄青い刀身に飾りなど無い青い鍔。そして黒い握り。シンプルだがとても綺麗だった。


 「中々良いだろ?ここ数年で1番の出来だ。」


 「はい!僕、剣の事はよくわかんないですけど、この真っ直ぐな刀身は凄く綺麗ですね。とても切れ味が良さそうに見えます。」


 アジャンのドヤ顔に納得出来るほどの出来に思う。この剣ならズバッ!ではなくスパッと切れそうだ。


 「ああ、白坊主の感じた通り切れ味もいいぞ。それじゃあその剣、水虎の長剣について説明するぞ。」


 水虎の長剣か。わかりやすい良い名前だ。


 「お願いします。」


 「まずそいつは水属性剣でアビリティが付いてる。」


 おお!アビリティ!よしよし、ちゃんとついてくれて良かった。それより水属性剣?って何だろう。


 「水属性剣って何ですか?」


 「あ?知らねえのか?・・・仕方ねえな。水属性剣、属性剣ってのは剣自体が属性魔力を持っている剣の事だ。これがあると物理が効かない霊体魔物とかにダメージが与えられるようになったり、水属性剣なら炎属性の魔物に与えられるダメージが増えたりって効果がある。わかったか?」


 ははぁー。なるほど。


 「水属性の魔物に与えられるダメージが減ったりしないんですか?」


 「弱点属性だとダメージがプラスされるって感じだからな。剣自体で与えたダメージは減らねえよ。」


 ということはデメリットは特に無いと。


 「わかりました。」


 「んじゃ、次はアビリティな。そいつには<水纏>っつうアビリティが付いてる。発動すると魔力を流している間、刀身に魔力で出来た水を纏って威力を上げるってもんだ。魔力操作である程度形なんかも変えられるぞ。これもわかったか?」


 あれか、アクアタイガーの水爪撃みたいな感じか。


 「アクアタイガーが似たような攻撃してきたので、何となくわかりました。」


 正直早く使ってみたいが、ここで使ったら絶対怒られるので我慢する。


 「使うなら外でやれよ。」


 アジャンにジトっとした目で見られた。


 「も、もちろんです。」


 バレていた。でも問題無い。我慢しようって思ってたから。


 「・・・まぁいい。剣の説明は終わりだ。何か質問はあるか?」


 「いえ、大丈夫です。」


 答えながら鋼鉄の長剣をマジックバッグにしまい、水虎の長剣を腰に下げる。見た目も重さも違うがしっくりくる。鑑定もしておこう。


水虎の長剣

等級:C

種別:長剣

属性:水

耐久値:300/300


 おお。等級もCだし耐久値も高い。いいねいいね。鑑定のレベルが足りなくてアビリティが見れないけど。


 「ありがとうございました。それじゃあこの後防具を受け取りに行かなきゃ行けないのでもう行きますね。」


 ヴァインのところも今日から受け取り出来るのでこの後伺うつもりだ。


 「あ?防具?ああ、そりゃ皮もあるか。どこで頼んだんだ?」


 「ヴァイン防具屋です。そういえば製作依頼したときにヴァインさんが兄弟だって言ってましたね。」


 「あいつのところか!なら大丈夫だな。良いものになるだろうさ。」


 おおー!流石兄弟。


 『どっちも相手の腕を信頼してるんだね。面白い。』


 「ヴァインさんも同じようなこと言ってましたよ。そうだ。僕、明日でアルメガ出るのでまた来た時はよろしくお願いします。」


 「何だそうなのか?急だな。まぁわかった。整備はちゃんとすれよ。それと気をつけて行け。あと弟によろしく言っといてくれ。」


 「わかりましたー。」













 「ヴァインさーん。防具受け取りに来ましたー。」


 歩いて5分。アジャン武器屋から1本裏のヴァイン防具屋にやってきた。近くて楽だな。


 「おう、来たな。ん?先に兄貴のとこに行ってきたのか?」


 ヴァインは返事をしながら僕の腰に下がる新しい剣に目敏く気付いたようだ。


 「はい。今さっき受け取ってきました。これです。」


 見たいかもしれないと思い、剣を腰から外してヴァインに手渡した。


 剣を受け取ったヴァインは鞘から抜いて確認しだした。そして刀身を眺めると2度程頷く。


 「・・・ほう。やるな兄貴。見せてくれてありがとよ。大事に使えよ。」


 兄の腕を称賛する言葉を口にすると鞘に戻し、僕に返してきた。


 「もちろんです。」


 ちゃんと大事に使います。


 「じゃあ持ってくるから、ちょっと待ってろ。」


 ヴァインは立ち上がるとカウンターの奥に歩いていった。


 作ってもらったのは上着と皮鎧と手袋とブーツの4つなので数が多い。案の定、奥から戻ってきたヴァインの両手には制作品が抱えられている。1個か2個ずつ持ってくればいいのでは?


 「ほらよ。まずこれだな。」


 そう言って抱えた物をカウンター脇に置くとその内の1つを僕の前に移動させてきた。


 深い青色をした皮鎧だ。かっこいいが目立ちそうだ。


 「綺麗な青色だ。素材の時より色がちょっと明るい感じがしますね。目立ちそうです。」


 「加工の時に薬液に浸したりするからな。これは強度を上げる薬液に浸けた結果だな。それと目立つなんてのは今更だろう?」


 なるほど、加工の仕方で色の変化もあるのか。


 「名前は水虎の皮鎧だ。アビリティなんかは付かなかったがDランクの水耐性は付いたぞ。」


 言われて鑑定を使用して確認してみる。


水虎の皮鎧

等級:C

種別:皮鎧

耐性:水(D)

耐久値:300/300


 「この耐性のランクって高ければ効果も上がるって認識で合ってます?」


 「ああ、それで合ってる。さっきも言ったが加工時に薬液に浸けて強度を上げてるから防御力は高いぞ。」


 防御力が高いと言われたので触ってみる。おお!確かに毛皮の時より硬い。何というか形がしっかりしているような感じがする。型崩れとかしなさそうだ。


 「それじゃあ次だな。次はこの水虎のジャケットだ。」


 ヴァインは皮鎧を反対側の脇に寄せると、黒っぽいジャケットを目の前に移動させてきた。


 「これにも水耐性が付いた。だがジャケット用に加工してっから若干下がったがな。色に関して毛皮の裏を表にしてんのと加工時の薬液の影響だ。」


 毛皮の表は青かったが裏側は確かに黒っぽかった。こっちも色が少し濃くなった気がする。それに耐性が若干下がった?とりあえずこれも見てみるか。


水虎のジャケット

等級:C

種別:上着

耐性:水(E)

耐久値:300/300


 鑑定してみると水耐性がEになっていた。


 「確かにEになってますね。皮の裏を使ってるということですが防御力はどうなんですか?」


 「皮鎧とは逆で柔軟さを出す加工をしてるからそりゃ皮鎧より低いが、それでも元の素材がいいからな。Dランクの皮鎧と同等以上にあるぞ。」


 ふむふむ。ならば全然問題ないな。


 「そうですか。他の手袋とショートブーツも同じ感じですか?」


 ちらとまだしっかり確認していない黒いグローブとショートブーツに目を向けながら聞いてみる。


 「ああ。この2つもジャケットと同じ加工方法だから耐性も防御力も同じだ。」


 ヴァインは言いながらジャケットを脇に置くとグローブとショートブーツを前に移動させた。


 黒い指抜きグローブと黒いショートブーツだ。一応鑑定だけしておこう。


水虎のグローブ

等級:C

種別:手袋

耐性:水(E)

耐久値:300/300


水虎のショートブーツ

等級:C

種別:靴

耐性:水(E)

耐久値:300/300


 うん。名前と種別以外ジャケットと同じだな。わかりやすくていい。


 「確認しました。ここで着ていっても大丈夫ですか?」

引っ越しの荷解きも8割くらい終わりました。

はやくゆっくりしたいです。


また明日。

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