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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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056 皮鎧製作依頼

ブックマークが増えた。

嬉しい。


 「はい。僕用の皮鎧でお願いします。」


 グレンはいらないって言ってたし、メイはまだ体がないから僕の分だけだ。


 「なるほど、わかった。だが毛皮の量が多い。必要な分の倍以上あるぞ。」


 ヴァインに言われてカウンターに置かれた巻かれた毛皮を見る。確かに多いな。


 「どうする?余った分は持って帰るか?売却するか?それとも皮鎧以外にも作るか?」


 皮鎧以外?


 「皮鎧以外ってどんな物ですか?」


 何だろう膝当てとか?


 「上着とかズボンとかブーツとか、ああ、後は手袋とかだな。」


 予想とは違いヴァインが挙げた物は服に分類されるような物だった。確かに防具でもあるな。


 「上着は良さそうですね。余った分でどのくらい作れそうなんですか?」


 上着はちょっと欲しいかも。皮鎧の着けた上から着られるし。


 「皮鎧と上着作った残りで考えると、後は手袋を作ったらズボンかブーツだな。ブーツならショートブーツになる。」


 なるほど、意外と作れるな。それなら。


 「それじゃあ皮鎧と上着と手袋、それとブーツでお願いします。いくらになりますか?」


 残り1つはブーツに決めた。ブーツなら足元の防御力も上がるし、頑丈になれば蹴りもしやすくなる。それと出来上がった装備を着た姿を想像してみたが、ズボンよりもブーツの方が見た目のバランスが良さそうだった。


 「制作費か・・・。兄貴のとこはいくらだった?」


 アジャンのところ?


 「長剣の制作費ですか?3万でしたけど。」


 参考にするのかな?それとももしかして。


 「そうか。じゃあ俺のとこも3万でいい。」


 マジか!いや待てよ?


 「1つにつき3万・・・ですか?」


 1つ3万だと12万になってしまう。もしそうだとしたら財布の中身の大半が吹っ飛んでしまうぞ。


 「ああ?そんなわけねぇだろ。全部で3万だ。」


 「バカなっ!?」


 「バカなって・・・。なんだ?もっと払いたいのか?」


 「いえ、全部で3万でお願いします。」


 危ない。ふざけてる場合じゃなかった。


 『何やってるの・・・?怒るよ?』


 (何でもないです・・・。ごめんなさい。)


 メイに怒られそうになってしまった。ワクワクし過ぎて変なテンションになっているみたいだ。落ち着こう。


 後ろからも呆れたような視線を感じる。グレンにも怒られる前に落ち着こう。


 「はぁー・・・。まぁいいか。3日後には出来上がる。それ以降に取りに来い。」


 ヴァインは長いため息を吐くと僕のアホな行動を流して完成予定日を伝えてきた。


 「わかりました。あ、これ制作費です。」


 上げられることはないと思うが万が一があるのでさっさと払ってしまおう。


 そう思って急いでマジックバッグから3万トリアを取り出してカウンターに置いた。


 「おう、確かに。それじゃあ素材預かるぞ。余った端材はどうする?売却でいいか?」


 お金と毛皮を持つとヴァインが聞いてきた。端材か。まぁいいか。


 「端材はそのままヴァインさんにあげます。制作費安してもらった分には足りないですけど。」


 「そうか。じゃあ貰っとくな。」


 僕には端材の使い道がわからないが、少しだけヴァインが嬉しそうにしていたので何かに使えるのだろう。


 「それじゃあ体のサイズ測るぞ。その場で立ってるだけでいいからな。」


 奥に素材を持っていったヴァインは戻ってくると手に巻き尺を持っていた。


 そうかサイズ測らないと作れないよな。


 「わかりました。」


 大人しくその場で立っていると手慣れた様子で僕の体を測っていく。メモはしないようだ。


 「よし。もういいぞ。」


 早いな。1分くらいで終わったぞ。もっとかかると思ってたよ。


 「それじゃあ3日後に受け取りに来ますね。」


 「おう。」


 ヴァインの短い返事を聞き、僕は出口に向かった。ちょいちょい居る事を忘れてしまうグレンもついてきた。


 剣に防具と、3日後が楽しみだな。


 「失礼しましたー。」


 一言言って扉を開け、僕たちは店を後にした。






 「そんじゃあ4日後にアルメガを出るって事でいいか?」


 大通りに戻ってきたタイミングでグレンがいつ出発するかと確認してきた。なのでほちらはとりあえず剣と防具が出来たらすぐでいいよと伝えると4日後を提案された。


 「いいよ。じゃあ4日後の朝8時にギルド前でどう?」


 下手な場所を待ち合わせにされると迷う可能性があるのでわかりやすいギルドを提案する。


 「いいぜ。じゃあお互い準備して、また4日後に会おうぜ。」


 「ああ。また4日後に。」


 そう約束して大通りで別れる。


 とりあえず必要な買い物は明日以降にして今日はもう宿に帰ろう。


 『準備しなきゃね。でもお金に余裕あるし大丈夫かな?あ、バッグの容量が少ないや。』


 (少し大きめの皮袋でも買って背負えば大丈夫だろ?無くなっても問題ないものじゃないとダメだけど。)


 着替えとかなら最悪無くなっても我慢できるかな?


 『荷物になるけどいいの?』


 (仕方ないさ。バッグがDランクになるまで我慢我慢。)


 マジックバッグ用とメイの体用にDとCの無属性魔石が必要だ。でも全然売ってないんだよなぁ・・・。


 (とりあえず今日の予定も終わったし、宿戻ろうか。)


 午前中に買い物して午後からギルドと武器屋と防具屋だったのでちょっと疲れたからな。











 「おはようございます!剣受け取りに来ました!」


 お昼前。勢いよくアジャン武器屋の扉を開け、大きな声で挨拶と用件を口にする。近所迷惑になっていそうだが待ちに待った日なのでどうしようもない。


 剣と防具の製作依頼を出してから3日が経過した。


 「うるせぇ白坊主!!静かに入れ!!」


 僕より大きい声でアジャンが叫び返してきた。


 製作依頼をした次の日。整備をお願いした剣を朝1番で受け取るとそのまま街の外に出てビッグスネーク討伐の続きをした。


 5体以上の依頼だったが、アクアタイガーと戦うまでに3体討伐済みだったのですぐに終わった。寧ろ解体に時間がかかった。


 「ごめんなさい!でも仕方ないんです!楽しみだったんで!」


 その次の日は街の中を色々と見て回り、DとCの無属性魔石を探した。だが数時間歩き回ったかが見つからなかった。やはり外に探しに行く方が早そうだ。


 「はあー・・・。気持ちはわかるが落ち着け。とりあえずドア閉めてこっち来い。」


 そして待ちに待った今日。剣と防具が完成したので受け取りに来たのだ。


 「はい。それで?出来ましたか?」


 思わずカウンターに身を乗り出し、アジャンに詰め寄る。


 「だから落ち着けっての。ほらこれだ。」

本日引っ越しのため

21日と22日はお休みをさせて頂きます。

ごめんなさい。


それではまた23日に。

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