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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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055 長剣製作依頼


 「あぁ、はいそうです。この牙と爪と魔石で長剣をお願いします。」


 物凄く興奮しているアジャンに若干腰が引けながらお願いをする。


 「おお・・・。Cランク上位のボス素材か。それに魔石もある。よし、いいだろう。引き受けた。おい白坊主、手を出せ。」


 少しだけ落ち着いたアジャンに言われた通り手を出す。特に指定されていないので両手でいいかな?


 「ふむ・・・。よしわかった。もういいぞ。今装備してるような両刃の長剣でいいんだな?柄の形とか長さとか、何か要望はあるか?」


 アジャンは僕の手をにぎにぎするだけで何かわかったようだ。何がわかるんだろう?職人の感覚はわからんなぁ。


 「特にないです。アジャンさんにお任せします。」


 あまりにも変じゃなきゃ大丈夫だ。


 「そうか。話が早くて助かるぞ。何か要望を出してきていたら殴っていたところだ。」


 怖っ!じゃあ言わないでよ。


 「あはは・・・。それで、どのくらいで出来ますか?それと制作費はいくらになります?」


 「ふむ、そうだな・・・。3日後に取りに来い。それまでには出来上がる。それと制作費は3万トリアだ。先払いだぞ。」


 愛想笑いをしながら大事な事を聞いてみる。すると意外にも出来上がるまでが早かった。料金はなかなかするが。


 「3万?随分安いな?」


 高いなぁと思っているとグレンが横から少し驚いた声を上げた。


 「え?3万で安いの?」


 今の鋼鉄の長剣の倍するけど?


 「Cランク上位の素材使ったオーダーメイドだぞ?普通なら安くても10万はするぞ。」


 グレンの説明に開いた口が塞がらなくなった。


 高いよ。お金半分くらい吹っ飛ぶじゃん。


 「そりゃ普通だったら確かにそんくらいするが、今回は特別だ。アルメガじゃ手に入らないアクアタイガーの素材で、その上ユニーク個体なんだぞ?寧ろタダにしてやるから俺にやらせろと言いたいくらいだ。・・・まぁそんな事したらカミさんに殺されるから出来ねぇんだけどよ。」


 なるほどな。最後に何か付け加えてだけど、アジャンさんもこの素材で作りたいから安いのか。というかアジャンさんの顔青いな。自分で言って想像したのかな?


 「まぁ安くしてくれるならありがたいです。それじゃあこれでお願いします。」


 バッグから皮袋を取り出し、その中から3万トリアを取ってカウンターの上に置いた。青い顔をしたアジャンを元に戻すためにもさっさとお金を払ってしまう。


 「お、おう。んじゃ素材預かってくな。それと剣の整備もだったか?」


 「あ、そうでした。」


 お金を目にして元に戻ったアジャンはアクアタイガーの素材を奥に運ぶともう一つの用件について聞いてきた。すっかり忘れてた。


 「そんじゃ、こいつ頼むぜ。」


 「僕もこの剣をお願いします。」


 グレンは背負っていた大剣を、僕は腰に付けていた長剣を外して素材が無くなったカウンターに置く。


 「あいよ。整備はどっちも明日だ。明日以降に取りに来い。料金は赤小僧が1万で白坊主が1000だ。先に払ってけよ。」


 1日で終わるようだ。助かった。明日はまだ終わっていないビッグスネーク狩りをする予定なのだ。これで魔法と素手で頑張る必要は無さそうだ。


 それにしても僕とグレンで整備費10倍も違うのか。流石魔剣だな。


 「それじゃあお願いしますね。明日取りに来ます。」


 そう言って僕とグレンは料金をカウンターの上に置いた。


 そしていつの間にかグレンの背には別の大剣が背負われていた。予備かな?


 「おう。剣は期待しておけ。良いもの作ってやる。」


 アジャンはカウンターの上の武器を奥に運びながら自信満々な声で僕に伝えてきた。


 「期待してます。それじゃあ失礼します。」


 「俺も明日取りに来るわ。それじゃ。」


 奥に行ったアジャンにそう声をかけ、僕たちは店を後にした。












 「そういえばその大剣って予備?」


 1本隣の路地にあるヴァイン防具屋に向かう道中。気になるのでグレンに聞いてみた。


 「ああ。今回みたいに整備に出してる間とか、万が一ってこともあっからな。1本は用意してる。黒鋼製のだからアビリティとか付いてねぇけどな。」


 確かにそうだよなぁ。というかそう考えたら今の僕って武器持ってないじゃん。ナイフしかないわ。


 「やっぱりか。僕も予備あったんだけどなぁ。アクアタイガーと戦った時に折っちゃったから今ナイフしかないや。」


 さようなら。初めて手に入れた落とし物の剣。結局あの剣は午前中にゴミ捨て場に捨てた。刀身が3分の1しかなかったし。


 「アルメガは治安もいいし、別に今日は街の外に出ねえんだから大丈夫だろ?」


 「防具屋行ったら今日は大人しく帰るかな。僕は明日から頑張ることにするよ。」


 怠け者みたいな発言になってしまった。


 『怠け者みたいだよ』


 (やめて下さい。僕も言ってからそう思っちゃったので。)


 「アホな事言ってねえで行くぞ。つか着いたぞ。」


 メイの言葉に文句を言っているとグレンからはアホ呼ばわりされてしまった。それにもう防具屋に着いてた。


 「よし、入ろうか。」


 さっきまでの事は無かったことにしてさっさとヴァイン防具屋の扉を開けて潜る。


 「こんにちはー。防具の製作依頼に来ました。」


 中には客が居なかったので入り口からカウンターにいるヴァインに声をかける。


 「おう。何の防具だ?」


 ヴァインの様子は相変わらずのようだ。それに何だかアジャンに似ている気がする。


 「皮鎧です。素材はこれで。」


 カウンターの前に行き、マジックバッグからアクアタイガーの毛皮を取り出す。


 「ああ!?これどうしたんだ!?」


 おお!アジャンと同じような反応だ。


 「昨日僕とグレンで倒しました。」


 「倒しましたって、お前・・・。」


 僕の軽い発言にヴァインは若干困惑してしまったようだ。しきりに僕とグレンを交互に見ている。


 「えーと、まず昨日ですね。森に行くと・・・。」


 とりあえず端折りながら昨日の事を説明する。グレンも途中で加わってくれた。






 「なるほど。それでこの毛皮か・・・。魔石はどうしたんだ?」


 「ここに来る前に行った武器屋で、長剣の素材に出しちゃいました。」


 すみません。どうしても剣にアビリティが付いた物が欲しくて。


 「そうか・・・。何処の武器屋だ?」


 ん?気になるのか?


 「アジャン武器屋です。ここの1本裏の。」


 「あー!兄貴のとこか!なら仕方ねえな。」


 「兄貴?仕方ない?」


 似てるなぁと思ってたけどマジで兄弟なのか?それに仕方ないって何だ?


 「ああ、アジャンは俺の兄貴だ。それと仕方ねえってのは、他の武器屋に持ってたなら不満があったが兄貴のとこならまぁいいかって意味だ。腕は確かだからな。」


 なるほど、そう言う意味か。それと本当に兄弟なんだな。店の雰囲気も似てたし、色々似てるもんだな。


 というか他の武器屋なら不満って・・・。


 「そうだったんですね。アジャンさんのとこでは牙と爪と魔石で長剣をお願いしてきました。」


 「なら良いもんが出来るだろうよ。期待しときな。それで?俺のところでは皮鎧だったか?」


 ヴァインのお墨付きか。期待が膨らむなぁ。


 「はい。僕用の皮鎧でお願いします。」

また明日。

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