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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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054 素材確認と武器屋


 「かしこまりました。グレンさんがリーダーで受理しますね。それではギルドカードはお返しします。以上でパーティー申請は終了ですが何かご質問はございますか?」


 置かれたギルドカードをバックしまう。これで無事終わりのようだ。とりあえず質問は無いと思う。思いつかない。


 「僕は大丈夫です。」


 「俺も大丈夫だ。」


 グレンも特に無いようだ。まぁわかんなくなってから聞けばいいだろう。


 「かしこまりました。それでは最後の素材受取は解体室でお願いします。もう準備は出来ておりますのですぐ受け取れますよ。」


 そうだ素材!パーティー名に頭持ってかれすぎた。


 「わかりました。ありがとうございます。」


 「わかった。」


 「それではこれで以上となります。本日はありがとうございました。またお越しください。」


 アミラは受付内でゆっくりと頭を下げた。






 ナインたちが離れた受付ではアミラがゆっくりと頭を上げた。そして解体室に向かうナインとグレンに。いや、ナインの方に顔を向ける。


 「綺麗な髪ねぇ・・・。ちょっとだけ触らせてくれないかしら。」


 その視線はナインの揺れる髪のみに向けられていた。












 「失礼します。アクアタイガーの素材を受け取りに来ました。」


 ノックをしてから扉を開け、解体室の中に入ると用件を口にした。


 「おお来たな。待ってたぞ。ちょっと待ってな。」


 僕の声に何か作業していた解体員のおじさんが気付き、振り向く。そして手に持っていたナイフのようなものを置くと奥に走って行った。


 たぶんアクアタイガーの素材を取りに行ったんだろう。


 待ってる間暇なので解体室を見回す。


 (色々な道具があるな。あれとか何に使うんだろう。)


 『あれはねぇ・・・。何だろうね?』


 壁にかかっているよくわからない道具に目を向けながらメイと時間を潰す。君も知らんのか。


 「おーい、待たせたな。これだこれ。」


 素材を乗せたワゴンを押しながらおじさんが戻ってきた。


 押してきたワゴンの上を確認する。


 大きい毛皮、牙2本、爪5本、そして拳より少し小さいサイズの青い魔石。


 「一個ずつ説明するから確認してくれな。まず毛皮だ。そっちの白い髪の子が皮鎧に使う分ってことで伺ってる。このくらいあれば十分足りるだろう。ちなみにこれは1番強度のある背中側の毛皮だ。」


 おじさんはその場で毛皮を広げて見せてくれた。それにしても白い髪の子って・・・。子供に見えるのか?


 「ふむ、サイズも問題無えな。」


 僕がちょっと落ち込んでるとグレンが代わりに確認してくれた。


 「じゃあ次だ。牙が2本な。これは剣を作るのに使うって聞いてるから犬歯2本だ。持つ時は気をつけろよ。手が切れるからな。」


 おじさんは毛皮を纏めると横に置き、次に牙2本を持った。その手は自分で言った注意通り手袋を着けている。


 「犬歯だと剣の素材には最適って事ですか?」


 どう違うのだろうか?


 「ああその通りだ。素材としての強度が違うからな。切れ味と耐久度が高くなるぞ。」


 なるほどなぁ。剣をどうやって作るのか知らないから何がどうしてなのかわかんないけど、強くなるなら大歓迎だ。


 「そんじゃあ次な。次は爪が5本だ。これも剣の素材だな。強度の高い前脚の爪だ。」


 牙を横に置き、僕たちの前に爪を5個置いた。


 黒の中にうっすら青が混じった爪だ。僕の胸を何度か抉った爪だ。マントと皮鎧、服をボロ切れにした爪だ。


 「確認終わったな。じゃあ最後は魔石だ。水属性Cランクだな。ただユニーク個体だったから、剣の素材にしたらほぼ間違いなくアビリティが付くだろうな。」


 おお!アビリティ!昨日聞いたばかりのあれか!!


 「本当に!?アビリティ付くの!?」


 あまりの驚きと嬉しさに言葉も崩れてしまった。


 「あ、ああ・・・。魔石だけじゃなくてこの牙と爪も使えばさらにアビリティが付く確率も上がるぞ。」


 なるほど!よし!間違いなく全部使おう!


 「わかりました!うへへ・・・。」


 『変な笑い方してるよ・・・。』


 おっと、これは失礼。急いで顔を戻す。


 「はぁー・・・。じゃあ素材はこれで全部だな。貰ってくぜ。ほら早くしまえ。」


 「ごめんごめん。よいしょ。あ・・・。ごめんバッグの容量いっぱいだわ。グレンのに入れといて。」


 毛皮と魔石しか入らなかったや。午前中に買った服とか宿の部屋に置いてくればよかった。


 「はあ?ったく、まだランク低いんだから整理しとけよ・・・。」


 グレンは呆れながらも自分のバッグに仕舞ってくれた。助かります。


 「よし、これで全部だな。そんじゃあ行くか。」


 「ああ。武器屋に行こう。」












 「ここだ。炎剣の整備なんかはここによく頼んでる。」


 アジャン武器屋。大通りを北に向かい、途中で右に曲がると店があった。

というか僕がよく行くヴァイン防具屋の一本裏だ。店構えもどこか似てる。


 「魔剣の整備が出来るから腕も確かだろう。行くぞ。」


 グレンが僕のまだ見ぬ店主をそう評して中に入って行った。


 確かにそれもそうかと思いながら、遅れて僕も中に入る。


 壁や壁際にずらっと武器が並んでいる。パッと見ただけでも僕が今装備している鋼鉄の長剣を買った店より品揃えが良さそうだ。


 「おう、赤小僧。何しに来た?」


 奥のカウンターでタバコをふかす男がグレンを変な呼び方で呼んだ。


 「グレンだ。今日は炎剣と長剣の整備とこいつの剣の作成依頼だ。」


 いつも通りの会話なのだろう。とりあえずで名前を言った後に用件を伝えていた。


 「ああ?3日前に整備したばかりだろ?何と戦ったんだ?」


 訝しむように店主が聞いてくる。


 「ユニークのアクアタイガーだ。」


 「はあ!?そりゃあ昨日話題になってたやつか?お前が倒したのか?」


 流石に驚いたのか店主はカウンターから身を乗り出すようにして確認してきた。


 「そうだ。俺とこいつの2人で倒した。だから俺らの武器の整備が必要なんだよ。」


 僕の剣も耐久値が3分の1まで減ってしまっている。剣を作る予定とはいえ予備の剣は必要なので整備予定だ。


 「ああ?こいつと2人でだぁ?冗談だろ?」


 店主が物凄く懐疑的な目で僕を見てきた。


 「本当だ。ぶっちゃけ俺1人だったらマジで死んでたぜ。」


 グレンがフォローするように店主に言う。顔も真面目だ。


 「・・・本当なのか。そうか。わかった。白坊主、俺はアジャンだ。それで整備だったな。あ、いや先に剣の作成か。」


 グレンの言葉と顔を見て事実だと理解してくれたようだ。そして僕は白坊主なようだ。


 『白坊主・・・。ふふふ。』


 (うるさいぞ。それに僕が白坊主ならメイは白少女だろ。)


 笑うメイに言い返し、アジャンに挨拶する。ついでに素材も出そう。


 「ナインです。よろしくお願いしますアジャンさん。作成して欲しいのは僕の長剣です。素材はこれです。あ、グレンも出して。」


 「ああ、俺が持ってたな。ほい。」


 僕とグレンはカウンターの上にアクアタイガーの素材を置いた。


 「おお!!お前らこれ、今言ってたユニークのアクアタイガーのか!?」


 素材を置くとアジャンが興奮気味に立ち上がり、ほぼ絶叫のような声を上げた。絶対外に聞こえてるな。


 「あぁ、はいそうです。この牙と爪と魔石で長剣をお願いします。」

また明日。

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