表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
54/251

053 報酬とパーティー

いつも通りだと思ったら

1000文字くらい多かった。


 「お、わりぃ。またせたか?」


 大通りを歩いてきたグレンが僕を見つけると謝罪を口にしながら小走りで走り寄ってきた。


 「大丈夫。僕もさっき来たところだから。というか時間通りだろ。」


 グレンが来たのはちょうど昼になったタイミングだった。僕が早く来ただけだ。


 「そうか。じゃあ行こうぜ。さっさと終わらせて武器屋だ。」


 言うや否やグレンはギルドに入って行った。


 僕も後を追ってギルドに入る。


 「・・・なんか少し落ち着いてない?」


 ギルド内は昨日より人も声も減っていた。元凶が討伐されたからだろうか。


 でも原因もわかってないからまだ早いと思うんだけどなぁ。アクアタイガー以外にもいるかもしれないのに。


 「アルメガ周辺は魔物が弱えからな。それに比例して冒険者のレベルも心構えも低い。仕方ねぇさ。」


 先を歩いていたグレンが足を止め、そこそこ大きい声ではっきり言い出した。おい、周りに聞こえちゃうだろ。絡まれるわ。


 「・・・ん?」


 そう思っていたがギルド内の冒険者が絡んでくる様子は全くなかった。というか目だけでなく顔をごと逸らしてる奴までいるし。


 『たった2人でユニークのアクアタイガー倒す人に絡む人はアルメガにはいないと思うよ。』


 (ああ、それもそうか。)


 絡んだら逆にボコボコにされるとでも思われているんだろう。失敬な。


 「ほらこっち来い。入り口で止まんな。」


 「はーい。」


 いつのまにか受付カウンター近くにいたグレンに声をかけられ、生返事でかけよる。


 「こんにちは。昨日はありがとうございました。本日は報酬と素材、それと素材買取金の受け取りですね?」


 昨日と同じく受付にはアミラがいた。この人よくいるな。


 「はい。あ、あとパーティー申請もお願いします。」


 グレンは言葉が荒っぽいので僕が対応する。だが、冒険者ギルドの受付嬢をしているんだからアミラも慣れてるかと気づいた。


 僕の言葉にアミラが少しだけ眼を見開く。それから僕とグレンを交互に見始めた。


 意外に思われたのかな?


 「・・・失礼しました。それではパーティー申請につきましては最後にご案内させていただきます。まずは報酬金からお支払いしますね。ギルドカードのご提示をお願いします。」


 表情を戻したアミラは一言謝罪すると案内を再開した。


 「わかりました。」


 「はいよ。」


 バッグからギルドカードを出して受付に置く。


 「ありがとうございます。・・・はい、確認しました。ギルドカードはパーティー申請時にも使用しますので預からせて頂きますね。それでは少々お待ち下さい。」


 そう言うとアミラは後ろを向いて何かを漁り出した。


 「・・・よいしょ、と。それでは報酬金はこちらです。」


 こちらに向き直ったアミラはカウンター上に皮袋を2つと紙を1枚置いた。そしてアミラは紙に記載された数字に手を向けた。


 数字が金額だろうと僕たちは視線を向ける。


 「んぐっ!?」


 「お。太っ腹だな。」


 僕は変な声を。グレンは素直な感想を小さく漏らした。


 紙には15万トリアと記載されていた。


 多いな。こんなに貰えるの?あ、2人で15万か?


 「はい。お一人につきこの金額でございます。お受け取りの前に金額の確認をお願いします。」


 1人15万だった。マジか。


 アミラに金額の確認をしろと言われたので皮袋の中身を確認する。袋を開けると中には金色に輝く1万トリア硬貨が15枚入っていた。


 「おおー・・・。」


 『いっぱいあるね。』


 これでまだ素材の買取金もあるんだろ?金持ちじゃん。


 「か、確認しました。」


 ちょっとドキドキしながら中身の確認を終え、皮袋をマジックバッグにしまう。隣でグレンもバッグにしまっていた。その顔は少し嬉しそうだ。


 「それでは次に素材の買取金ですね。こちらもお受け取り前に金額の確認をお願いします。」


 そう言ってアミラは別の皮袋を1つと紙を1枚カウンターに置いた。


 僕たちは紙に記載された数字に目を向ける。


 紙には毛皮、牙、爪、肉など色々な項目が書かれていた。そしてその項目の横には金額も。


 「えーと、合計が・・・。7万トリアと。」


 「まぁ魔石は売らねえし妥当だな。」


 これでも高額なのだが15万の後だと少なく感じてしまう。いかんいかん。金銭感覚が狂ってしまう。


 「じゃあ、配分はどうする?」


 魔石が高額なら僕は別に0でもいいんだけど。


 「2万と5万でいいんじゃねえか?」


 「え?2万もいいのか?」


 めっちゃくれるじゃん。


 「お前長剣と皮鎧作んだろ?Cランク素材で作る場合、製作費そこそこすんぞ。」


 なるほど。


 『くれるって言ってるんだから貰っときなよ。グレンだってCランクの先輩なんだからプライドだってあるでしょ。パーティーも組むんだし。』


 (あー、そっちの方が納得する。)


 口調は荒っぽいけど根は優しい面倒見のいいタイプな感じだし。まぁさっき思いっきり毒吐いてたけど。


 「じゃあ貰うね。ありがとう。」


 「気にすんな。」


 ふむ、これはわかったぞ。照れているな。ただ触れるのはやめておこう。怒られそうだ。


 向かいからアミラの生暖かい視線も感じる。だがそれを無視して皮袋の中身を確認する。


 ちゃんと1万トリア硬貨が7枚入っていた。


 「確認しました。」


 アミラに伝えながら袋の中から硬貨を2枚取り出し、残りを袋ごとグレンに渡す。


 グレンは受け取ると確認せずにさっさもマジックバッグにしまった。


 「はい。それでは次はパーティー申請ですね。こちらの申請書にパーティー名とお名前をお書きください。」


 パーティー申請用紙と上に書かれた紙が僕たちの前に置かれた。


 「ナイン・ウォーカー・・・っと。はい。」


 横にあったペンを取って名前を書き込み、グレンに渡す。


 「おう。・・・さて。難問だな。」


 グレンは紙に名前を書き込むと難しい顔をしてそう言った。


 まぁ、難問だな。パーティー名。


 「何か良さげなのないの?」


 「無いな。」


 一応聞いてみたが食い気味に答えられた。じゃあもう1人にも聞いてみよう。


 (メイも何かない?)


 『ふえっ!?い、いや。ない、かな。私、パーティー組んだ事ないし・・・。』


 何とも悲しい独白がされた。すまん。


 (何か過去にいたパーティーの名前とかは?同じ名前でも今だったら別に問題ないだろ?)


 2000年前のパーティーとかなら大丈夫だと思うんだが。流石にもう記録にも残ってないだろう。たぶん。


 『うーん。昔はパーティーに名前なんか無かったからちょっとわかんないかな。』


 なに、そうだったの?


 『パーティーじゃないけど昔あったクランの名前とかどうかな?』


 (お?何か良さげなのある?て言うかクランって何だ?)


 また知らない単語が出てきた。


 『クランって言うのはパーティーとは違う、冒険者が作る集団のことだよ。人数は少ないところで10人とかで、多いところだと100人とか200人はいるかな。クランメンバーでパーティーを組んで活動したりしてるよ。』


 あー、なるほど。


 (例えで言えば商会みたいなものか?商会がクランで従業員がクランメンバー。支店がパーティーみたいな。)


 『そうそう。』


 合っていたようだ。というか毎回思うんだがメイは説明したりするのが得意ではなさそうだ。一生懸命説明してくれてるところ悪いが微妙にわかりにくい。


 (なるほどね。それで、その昔のクランの名前ってのは?)


 横でグレンも紙を前に悩んでいるのだ。早くしなければ。


 『自由なる庭園(フリーダムガーデン)だよ。』


 (おお!良さそうじゃん。)


 『でしょ?2000年前にあったクランの名前なんだけど、このクランにいた人たち、人数は少なかったけど全員が凄い強かったんだよ。それに個性も強かったね。クラン名も、この庭園では各々が自由である。好きに生きろ。って意味合いを込めてつけたらしいよ。』


 おおー。そんな人たちがいたのか。それにメイが強いって言うくらいだから本当に強かったんだろうな。


 (いいね。魔人である僕とメイ。人間であるグレン。それにこれから仲間も増えると考えるとある意味僕たちにも合うだろ。)


 この先増えるかもしれない仲間がどんな人なのかわかんないし。


 『そうだね。グレンは思い付いてないみたいだしこれにしよっか。』


 メイと2人で勝手に決め、紙にパーティー名を書き込む。


 「ん?決めたのか?」


 「ああ。パーティー名は、自由なる庭園だ。」


 書き込んだ紙をグレンに見せながら宣言する。


 「ほう。いいんじゃねぇか?俺たちらしい。」


 グレンはニヤッと笑うと僕の決めた名前に賛成してくれた。


 「僕もそう思う。じゃあこれでお願いします。」


 パーティー名と僕たちの名前を書き込んだ紙をアミラに渡す。


 「はい。パーティー名は自由なる庭園。パーティーメンバーはナインさん。グレンさんですね。リーダーはどうされますか?」


 ん?そんなのあるのか?じゃあ。


 「ランクも上なのでグレンで。」


 「おい!ってまぁそうなるわな。俺で。」


 グレンが勝手に決めるなとでも言いそうになっていたが、Eランクの僕がリーダーは変だろうと思ったのかすぐに納得してくれた。


 「かしこまりました。グレンさんがリーダーで受理しますね。以上でパーティー申請は終了ですが何かご質問はございますか?」

また明日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ