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レゾンデートル  作者: 星街海音
第一章 紺碧と炎の剣
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039 力と水


 「俺がたぶん勝てねえって言った理由がこれだ。炎属性を使う俺とは相性が悪過ぎる。」


 炎消されっからな。自嘲気味にグレンがそう溢した。


 「それでもよ。」


 「そうですね。」


 そう、それでも。


 「「引くわけにはいかない。」」


 2人同時にそう呟いた。


 そもそも2人同時に逃げることは不可能だ。それに時間も稼げていない。

グレンを生かす為にも僕だけ逃げるわけにはいかない。


 「来るぞ!!」


 アクアタイガーの周りに浮かぶ水が動き出し、グレンが叫ぶ。

動き出した水が大量の球体に変わり、打ち出された。


 「マジックシールド!!」


 咄嗟にグレンの前に立ち、シールドと自分の体でガードする。


 「ぐうぅぅッ!!」


 シールドは数発耐えたがすぐに壊れ、水球が全身に直撃する。

まるで拳で殴られているかのような衝撃だ。

だが全て受けきった。


 「ナイン!?」


 「ぐっ!!今です!!」


 グレンが後ろから驚きの声を上げる。

元々盾の役くらいしか出来ない。これが僕の役割だ。


 「ちっ!おらぁ!!」


 僕の言葉にグレンは舌打ちしながらもすぐに動き出した。

そして炎の大剣でアクアタイガーに上段から斬りかかる。


 「グルァッ!!」


 だがアクアタイガーが吼えるとその体の前に水の盾が出現した。

そしてグレンの大剣が水の盾に衝突すると大剣が纏っていた炎が掻き消え、剣の勢いも無くなった。


 「くっそ!本当に相性が悪過ぎる!!」


 そう言いながら追撃をするためグレンは剣を引き戻す。


 だがアクアタイガーの方が動きが早かった。

グレンが剣を引き戻すとほぼ同時にアクアタイガーは前脚を振り下ろした。


 「マズ、ぐはっ!!」


 「グレンさん!!」


 グレンが吹き飛ばされ、治療を終えた僕の目の前を通り過ぎると木に激突した。


 「く、問題ないっ!!」


 そう言ってグレンは腰に付けたマジックバッグから液体の入った瓶を取り出し、中身を頭からぶっかけた。


 ポーションか!


 「マジックショット!マジックショット!!うごぁ!?」


 グレンが回復する時間を稼ぐためマジックショットを連射するが、避けるついでとばかりに突進を喰らい、ぶっ飛ばされた。


 痛みに耐えてすぐに立ち上がると、アクアタイガーの周りには先ほど見たものより大きな水球が大量に浮いていた。


 やばい。


 回復を終えたグレンが視界の端にいた。

そのグレンの顔にも焦りの色が見える。


 「マジックシールド!」


 僕もグレンもその場で即座に防御体勢をとる。


 「ゴアァァアアア!!!」


 アクアタイガーが空に向かって吼える。

すると水球が一度空に上がり、雨のように僕とグレンに降り注いだ。


 ドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!












 森の中に広い空間が生まれた。


 木は薙ぎ倒され、地面は吹き飛ばされ、土埃が舞う。

そこにはもはや元の緑がほとんど見えなくなっていた。


 そしてその空間の中央に、この光景を生み出した紺碧が存在した。


 「ぐふ・・・。ごぶぉ・・・。」


 僕は地に倒れ伏しながら大量の血を吐いた。


 (一瞬気を失った・・・。)


 魔力で治療しながら痛む体に鞭打ち、起きあがろうと力を入れる。


 『大丈夫・・・?』


 止めないと決めたメイにはただそれしか言えなかった。


 (僕はな・・・。グレンさんは?)


 『わかんない・・・。ナインの視界しか見えないから。』


 (そうだったな・・・。)


 どうなった?グレンさんは?


 立ち上がり、土埃が薄れてきた周りを確認する。

離れたところにアクアタイガーがいた。

そしてその視線の先。


 大剣を地に突き、立ち上がろうとしているグレンがいた。






 ダメだ。


 アクアタイガーが体をグレンに向け、前傾した。


 待て。


 グレンがアクアタイガーの様子に気づき、歯を食いしばる。


 やめろ。


 僕は動き出す。


 遅れてアクアタイガーも動き出す。


 「や゛め゛ろ゛ぉおおおおおッ!!!!」


 何故そんな速度が出たかわからない。だが僕は間に合った。


 「ガアアアァァァッ!!!」


 グレンの前に立ち塞がるとアクアタイガーの水を纏った爪撃を胸に受けた。

凄まじい衝撃と痛みが全身を駆け抜ける。


 『ナイン!!!』


 メイの声が聞こえた気がした。


 僕は大量の血を撒き散らせながら弾き飛ばされ。


 意識を手放した。

今日は原神アプデだ。

ガチャ引かねば。


また明日。

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