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レゾンデートル  作者: 星街海音
序章
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003 メイと僕1

 『私の名前はメイ。メイ・ウォーカーだよ。これからよろしくね。』


 なるほど、彼女はメイというのか。


 などと納得していたが気になるところがあった。


 「あぁ、よろしく・・・。ん?これから?」


 まずは話を聞こうと思っていたが気になって口に出してしまった。


 『大丈夫。その辺の事もちゃんと説明してあげるから。だから安心してね。』


 メイはそう言うとゆっくり現状を話し始めた。


 『話さなきゃいけないことは三つだね。あなたの事、私のこと、そしてこれからの事。まずは・・・、えーと、そうだなぁ。あなたの事から話そうかな。』


 話す内容がたくさんあるみたいなので時間がかかりそうだ。

とりあえず僕はゆっくり集中して聞くために建物の入り口に座った。

全裸だからお尻が石の床に直乗りだが仕方ない。


 そうして聞ける状態になったと思ったメイが説明を開始した。


 『まずあなたは最低でも百年くらい前。うーんと、私の予想では四、五百年くらい前に心だけの状態でここにやってきたの。』


 四、五百年!?そんなに前からの話なのか?

というか僕は四、五百年くらい前の人なの?

それと心だけの状態って何だ?


 思った以上の始まり方で混乱しかける。


 『あなたを見つけた私は、あなたの心を私の核である魔石に受け入れたの。そしてまず百年かけてあなたの心を魔石に馴染ませたの。』


 混乱しかけていてもメイの説明は続いた。

まずは現在までの流れを話すようだ。


 『そうして百年かけて馴染んだあなたに核の優先権を渡して、あなた自身の肉体の作成を始めたの。ちなみに後ろの建物は私の家だよ。あなたに核の優先権を渡した時に今の形に変えちゃったけどね。』


 な、なるほど。

えーと、話を聞きながら整理しなければ。

なんか家の話が混ざってたけど。


 『肉体の作成と同時に私も核の中で眠りについてたの。そして三、四百年をかけて肉体を完成させて今日、目覚めた。というわけだよ。』


 ふむ・・・

とりあえず整理だ。

こういう時は口に出そう。


 「えーと、合ってなかったら教えてくれ。今から四、五百年前に僕は心だけでメイの元にやってきた。メイは僕の心を核である魔石に受け入れて、百年かけて馴染ませた。そして完全に馴染んだところで核の優先権を僕に渡し、僕自身の肉体の作成を開始。それと同時にメイも核の中で眠りにつく。三、四百年後の今日、肉体が完成した僕が目覚め、少ししてメイも目覚めた、と。合ってる?」


 口に出してみたが、訳がわからないなぁ・・・


 『うんうん、合ってるよ。』


 よし、大丈夫だった。

では気になっていることを質問していこう。


 「それじゃあ心だけでやってきたって言ってたけどどういうことなんだ?」


 そもそも心だけとか言われてもわからない。

なのでまずはこれから聞いてみることにする。


 『えっと、それに答えるためにまず、人と魂についてざっくり説明するね。』


 ふむ、予備知識が必要なようだ。


 『まず人についてね。人は肉体である物質体があって、それに寄り添うように魔力で作られた精神体というのがあるの。そしてその中に魂があるのね。』


 ふむふむ。


 『それで魂っていうのは、記憶や感情を司る星辰体と、その中に意志の源である心でできているの。』


 ふむふむふむ。


 『今のを踏まえて説明すると、おそらくだけど元々のあなたは死んでいて、魂が肉体から抜けたんだと思うの。』


 ふむふむふむふむ。


 『で、普通なら魂だけになるとすぐに星辰体は魔力となって空間に溶けて、心は世界の輪廻に行っちゃうはずなんだけど。何故かあなたは少しずつ星辰体を削ってこの世界を漂って、ほとんど心だけの状態になって私のところに辿り着いた。ってことだと思うの。』


 ふむふ・・・え?


 「なんで僕はその、星辰体?を削って漂っていられたんだ?」


 普通は~、とか言われると不安になるんだけど。


 『うーん・・・。正直わからないかな。だから私もあなたを見た時びっくりしたもの。』


 そうか、わからないか。

まぁわからないことで悩んでも仕方ないか。


 「そっか。いや、わかんないならいいや。さっきの説明から僕の記憶が無いのは星辰体がほぼ無かったから。ということ?」


 『意外とあっさりしてるね。記憶についてはその認識で合ってるよ。ただ全く記憶が無い状態だと精神が歪んで赤ん坊みたいになっちゃうから、肉体を作成する時に最低限の知識は入れておいたよ。本当に最低限だけどね。』


 合ってた。これでやっと記憶については理解出来た。

だが最低限の知識?


 「最低限の知識ってどういうこと?」


 『それはね、例えば今目の前の景色を見て森とか、木とか、草とかはわかると思うけど、それがどんな種類で名前が何ていうのかわからないでしょ?。本当にそのくらいの最低限って意味だよ。』


 なるほど、よくわかった。

確かに最低限だ。だけど正直かなり助かる。

周りの風景を見てとにかく混乱とか怖すぎるし。


 「そうか、いや正直助かるよ。ありがとう。』


 感謝はしっかり伝えておこう。


 『気にしないで。あなたと私は運命共同体だからね。』


 運命共同体か・・・。

なんでメイは僕を受け入れたんだろう。

これについてはちょっと怖くて聞きにくい。

今度聞いてみよう。


 「さて、次の質問いいかな?」

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