表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レゾンデートル  作者: 星街海音
第一章 紺碧と炎の剣
38/251

037 グレン


 「おい!大丈夫か!?」


 アクアタイガーは炎を避け、噴き出した方を警戒する。


 (何だ・・・?誰だ?)


 僕は炎に驚き、そしてその後に聞こえた声にも驚く。

誰かが助けに来たのか?そう思い声のした方に顔ごと視線を向ける。


 そこにいたのは暗赤色の短い髪をした、赤い大剣を持った男だった。


 あの人、確か前にギルドでぶつかった。


 「おい!!生きてんのか!?」


 「はっ!くうッ、はぁ、はぁ、」


 過去に飛んでいた思考が男の声で戻された。

治療が完了すると荒く息を吐きながら立ち上がる。

 

 「よし生きてんな!!お前が逃した冒険者は無事だ!!お前も逃げろ!!」


 男の言葉に安心する。


 そうか、間に合ったのか。


 「はぁ、はぁ、貴方はどうするんですか!?」


 息を整えながら男に問いかける。

まさかとは思うがこいつと戦うつもりなのだろうか?


 「時間稼ぎするさ。たぶん勝てないからな。それに時間さえ稼げればお前が逃した冒険者がギルドに状況を伝える。そうすりゃ援軍が来てくれるはずだ。」


 そう言って男は大剣を握り直し、無理矢理に笑った。


 無茶だ。

言っている事はわかるが援軍が来てもそれはまだまだ先だ。

どう考えても間に合わない。


 結末が見えてしまう。


 この男が死んでしまう。






 それは許容出来ない。


 『残るんでしょ?』


 メイは気づいていた。


 (ああ。)


 僕はこのままこの男と一緒に戦い、時間を稼ぐ。

僕は弱いが盾くらいにはなれる。

その結果体について気づかれるだろうが、そんなものは些事だ。


 「ふうぅーー・・・。じゃあ2人で時間稼ぎですね。」


 深く息を吐き呼吸を整えると、剣を構えると男に告げる。


 防具はもはやボロボロだ。

皮鎧はほぼ無くなった。マントも消えた。服も上半身が穴まみれだ。

それでもまだ戦える。


 「馬鹿野郎!!死ぬぞ!!」


 「僕はナイン・ウォーカーです。じゃあ、よろしくお願いします。」


 男の言葉を無視して自分の名前を言い、そして引く気がないことを伝える。


 「ちっ!仕方ねぇ!!俺はグレンだ!!ちゃんと合わせろよナイン!!」


 男はグレンと名乗ると赤い大剣を横に構えてアクアタイガーに走り出した。












Side グレン


 「ふうぅーー・・・。じゃあ2人で時間稼ぎですね。」


 ボロボロの男は深く息を吐くと剣を構えてそう言った。


 何言ってんだこいつ?


 防具が無くなり血と土で汚れた穴だらけの服。

元は真っ白だったのだろう、服と同じように血と土で汚れた髪。


 「馬鹿野郎!!死ぬぞ!!」


 俺は咄嗟にそう叫ぶ。だが


 まて。何でこいつ、この状態で生きてる?ありえねぇだろ。

それにあの白髪、前に。あの魔力の。


 「僕はナイン・ウォーカーです。じゃあ、よろしくお願いします。」


 俺が少し混乱しているとこちらの言葉を無視して自己紹介をしてきた。


 訳わかんねぇ。何なんだこいつ。


 唯一わかったのは、こいつが一切引く気がなく、説得しても無駄だという事だった。


 くそ、助けに入ったのは俺なんだが!?


 何故か俺が助力を受けるような形になっているような気がした。


 つっても俺1人だとあのユニークの水虎と戦ったら死にかねねぇしな。


 全員で生き残るためだ。


 「ちっ!仕方ねぇ!!俺はグレンだ!!ちゃんと合わせろよナイン!!」

また明日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ