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レゾンデートル  作者: 星街海音
第一章 紺碧と炎の剣
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036 ユニーク個体


 「それで、ユニーク個体ってなんだ?」


 聞こうと思ったタイミングで剣士の男がやられたので聞けずじまいだった。


 お互いに動かない今が聞けるチャンスだろう。


 『ユニーク個体って言うのは通常種より体色が濃いのが特徴だよ。例えばアクアタイガーの通常種は空色だけど、ユニーク個体は紺碧色だね。』


 もう止めないと決めたからだろう。

メイは僕の質問にいつも通り答えてくれた。


 なるほど。メイは見た目でユニーク個体かどうか判断したのか。


 『そして、ユニーク個体は通常種より強い特殊な個体だよ。わかりやすく言えばランクが1つ上になるね。』


 ランクが1つ上?それはヤバイな。


 「と言うことはあいつのレベルは28だから、Dランク上位じゃなくてCランク上位くらいになるのか?」


 『そうだよ。』


 確か魔物のランクはレベルで判断されるってメイに教えられたな。

Dランクは21から30、そしてCランクは31から50だったはずだ。

それで判断すればあいつは。


 「レベル40以上の強さって事か・・・。」


 それはメイに止められるはずだ。

こんなもの、レベル10が戦う相手じゃないな。


 『だから言ったんだよ。あれはマズイって。それと・・・。いや、これは今話しても仕方ないから後で言うよ。それより、来るよ!!』


 メイが何かを言いかけてやめる。


 そう言えばユニーク個体だ。って言う前に何か言いかけてたな。まぁ後だ。

今はこいつとの戦闘に集中だ。


 「グルァァァアアアアッ!!!!」


 アクアタイガーが牙を剥き出し咆哮する。

空気と地面がビリビリと揺さぶられ、僕の体を強張らせていく。


 アクアタイガーは咆哮を止めると前脚を振り上げ跳び込んできた。


 「くッ!!マジックシールド!!」


 振り下ろされる前脚に対して咄嗟に盾を出し、防御する。

強度か足りたのと間に合ったのはただの奇跡だ。


 「せりゃあああ!!」


 お返しとばかりにスラッシュを使用して逆袈裟に斬りかかる。が、あっさりと横に跳び退かれて避けられてしまった。


 「攻撃直後のあの体勢から避けるのか・・・。」


 確かにこれはマズイな。

技量云々の前にステータスが違い過ぎる。


 「それでも、攻めるしかないか。」


 こいつに流れを持っていかれたらそのまま嬲り殺しにされるだろう。

だからこそ持っていかれないように、攻撃を止める訳にはいかない。


 「はぁぁぁあああ!!!」


 剣を引き体勢を低くしながら走り、アクアタイガーの顔に刺突を繰り出す。


 「グルルルッ!!」


 アクアタイガーは後ろに軽く跳んで避けた。


 「マジックショット!!」


 だが避けられるのは想定済みだ。

着地の瞬間を狙ってマジックショットを打つ。


 当たる。


 そう思った。


 だがCランク上位とはやはり想像以上だった。


 「は!?う!ぐふぅああ!!!」


 僕は瞬く間に吹き飛ばされた。

そしてそのまま地面を削るように転がり、血を流して倒れ伏す。


 (マジか・・・。)


 自身がやられた流れを思い返す。


 僕の打ち出したマジックショットが当たると思った瞬間。アクアタイガーは凄まじい速度で真横に移動し、動きを止める事なくその速度のまま僕に近づき、右前脚を叩き込んだ。


 「ぐ、ごふぅ!!」


 血を吐き、怪我を治しながら何とか体を持ち上げる。


 くそ、手を抜かれた状態であれだったのに本気になるとあんなに速いのか。


 『ナイン!!立って!!』


 メイの声で僕は急いで顔を上げる。が間に合わなかった。


 「グルァッ!!」


 顔を上げた僕の視界にはアクアタイガーの口内が見えた。


 「ッ!!!ぐうぅッ!!!」


 立ち上がりかけていた僕は噛みつかれる。


 「く・・・。うぶッ!!」


 アクアタイガーは一度深く噛むと僕を咥えたまま顔を振り回し、投げ飛ばした。

 

 ガンッ!ドッ!!ズガンッ!!!


 地面を何度もバウンドし、木に背を強く打ちつけて地に落ちる。

崩れ落ちた場所にはすぐに血溜まりができた。


 『ナイン!!ナイン!!!』

 

 メイが僕の名前を叫んでいる。


 くそ・・・。これ、逃げれるのか・・・?


 もう少し何とかなると思ってた。甘かった。

自分より弱い敵としか戦ってこなかった。

調子に乗っていた。


 血溜まりに手をつき、体を持ち上げながら自分の行動を反省する。

治療は負傷するたびにしているが、治すたびに新たに、さらに深く、そして増えていく。


 どうする・・・。


 何とか体を起こし、アクアタイガーに視線を向ける。


 その瞬間。

アクアタイガーの横から激しい炎が噴き出した。


 「おい!大丈夫か!?」

また明日。

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