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レゾンデートル  作者: 星街海音
第一章 紺碧と炎の剣
36/251

035 アクアタイガー


 ほとんど無意識に鑑定が発動した。


アクアタイガー

Lv.28

属性:水

HP:1407/1422


 深い青色に大きな体をした虎の魔物だ。

体長は約6メートル、体高は僕より高く2メートルはありそうだ。


 アクアタイガーはゆっくりとこちらに振り返り、まるで僕たちの退路を断つかのように、その場に立ち塞がった。


 「アクア、タイガー・・・。」


 ヤバイ・・・。

レベル28。僕より18も高い。

どう見ても格上だ。


 勝てるとは思わない。だが警戒は解かない。

どうにかして退避する方法を見つけなければ僕以外は全員死ぬ。


 くそ・・・、最悪僕が。


 『嘘でしょ・・・、なんで。いや、それより!あれはマズイ!ユニーク個体だよ!!』


 は?ユニーク個体?


 「なん、ッ!!」


 メイに説明を求めようとした瞬間、アクアタイガーがいきなり僕の真横を凄まじい速度で通って行った。


 狙いは。


 「ぐあぁッ!!!」


 剣士の男か!!


 急いで振り返ると剣士の男がいたであろう場所に、アクアタイガーが前脚を振り切った体勢でいた。

 

 そしてその先に吹き飛ばされ、胸から血を流す剣士の男が倒れていた。


 死んでしまったかと思ったが起きあがろうとしている。


 まだ間に合う。


 覚悟を決めろ。


 死なぬ己が体を張れ。






 「僕が囮になる!!倒れてるそいつ連れて逃げろ!!早く!!!」


 僕は叫ぶ。在らん限りの声で。


 そして剣を抜いて走り出す。


 「ッ!ダメだ君も!」


 「いいから早くしろ!!」


 斥候の男が叫ぶ声を遮り、さらに急かす。


 『ナインも逃げて!あれは格上過ぎる!戦いにならないよ!!』


 そんな事は見ればわかってる。

だが時間がない。

剣士の男はまだ生きているがかなりの重傷だ。

でも急げば間に合うかもしれない。


 「おらぁ!!」


 気合いを入れるためと注意を引くためにあえて声を出して斬りかかる。

アクアタイガーは飛び退って難なく避けるがこれでいい。


 僕はさらに距離を詰めて斬りかかる。

倒れている男からこいつを引き離し、退路を確保させなければならない。


 「おい、こっち見ろよ!お前の相手は僕だ!」


 3人の冒険者に注意が向かぬよう、攻撃を続ける。


 『ナイン!やめて!死なないとは言っても痛みは普通の人間と変わらないんだよ!』


 それもわかっている。

でも彼らは僕と違って死ぬのだ。

だから痛み程度では僕が止まる理由にならない。


 メイの声を無視し、攻撃の合間に一瞬だけ冒険者たちを確認すると、言うことを聞いてくれたのか剣士の男に肩を貸して退避しているところだった。


 「それでいい!!とにかく走れ!!」


 僕は冒険者たちに最後の指示を出しながら何度も攻撃する。


 『ナイン・・・。』


 「ごめん。」

 

 何を言われても止まる気はないのだ。


 『・・・わかった。もう止めないよ。それが、君だからね。』


 そうだこれが僕なのだ。だから。

 

 「ありがとう。」


 メイならわかってくれると思ってたよ。


 「マジックショット!!」


 僕の目の前に魔力球が生まれ、即座に前方へ打ち出された。

アクアタイガーには避けられたが少しだけ警戒度を上げられたようだ。


 「成功しちゃったよ。」


 失敗しても注意は引ける。そのくらいの気持ちで使ったが綺麗に成功した。

おかげで今は睨み合いのような状態になっている。


 「それで、ユニーク個体ってなんだ?」

また明日。

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