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レゾンデートル  作者: 星街海音
第一章 紺碧と炎の剣
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030 武技を使う

2話目です。


 「マジックシールド!あっ!」


 イメージを強くする為にあえて言葉にして魔力の盾を生み出す。が制御が甘かったのか魔力が足りなかったのか、レッサーリザードの突進であっさり吹き消された。


 「くそっ!難しいな!今のどっちだ?」


 『制御は良い方だったよ。魔力が足りなかったかな。』


 突進を空中跳躍の2段ジャンプで回避しながら、メイにマジックシールドの失敗原因を確認する。


 「魔力か。出来ればもっと魔力を込めたいんだけど、そうすると発動が遅いんだよなぁ。」


 真下を通り過ぎていったレッサーリザードの後方に着地し、すぐに距離を詰める。


 レッサーリザードが振り返るより先に真横に着くと剣を振り下ろし、首を叩き斬る。


 「よし、これで4体目と。それにしても難しいな。マジックショットよりはやりやすいけど。」


 魔法の訓練を始めてからレッサーリザードはこれで2体目だ。

1体目も同じように訓練しながら戦ったが同じように失敗した。

それでも1体目の時よりは少しだけ発動が速くなった気がする。


 『打ち出すって部分が無いからね。でもその分盾の強度が必要だから魔力制御は重要だよ。』


 「何に置いても魔力制御か、訓練あるのみだな。」


 レッサーリザードをバッグにしまいながらもっと訓練しようと心に決める。


 『そうだね。それより今の戦闘で剣スキル上がったんじゃない?』


 「えーと。あ、本当だ。スラッシュ使えるようになった。」


 武器スキルはその武器種を使う時、少しだけ威力が上昇する。

これはスキルレベルが上がれば更に効果が上昇する。


 だが武器スキルはそれだけではなく、レベルが上がれば武技というものが使えるようになる。

武技とは、発動すると指定された行動時のみ威力が大きく上昇する物だ。

例えば今使えるようになったスラッシュは、発動すると1回だけ斬撃行動の威力が大きく上昇する武技である。


 「威力が30パーセント上昇。クールタイムは15秒。AP消費は20と、中々使いやすそうだな。」


 攻撃力が上がるのは純粋に嬉しいし助かる。

クールタイムも空中跳躍と同じなので感覚的に覚えやすい。


 『基本武技だからこそだね。もっと上の武技になると効果は高いけどクールタイムは長いし、消費APも多いからどうしても使い渋って切り札的な感じになっちゃうんだよね。』


 「なるほどなぁ。」


 一長一短なんだろう。

だが武技の種類が増えれば使い分けも出来そうだ。


 「それじゃあ次を探すか。今度はスラッシュも使ってみよう。」


 今使ってもいいのだが、出来れば敵に使いたいので次のレッサーリザードまで我慢することにした。












 「マジックシールド!おっ!?」


 武技を使えるようになってから2体目のレッサーリザードにマジックシールドを使う。


 半透明の盾が現れ、噛みつこうと向かってきたレッサーリザードが顔から勢いよく激突する。


 盾が消えるとレッサーリザードに近づき、正面からスラッシュを使用する。

スパッ!と音を立て顔が真っ二つになった。


 「今のは良かったんじゃないか!?」


 激突に耐えた上に動きも止める事が出来た。


 『良かったよ!あとは何度も使って、瞬時に発動出来るようになれば完璧だよ。』


 成功していたようだ。

僕は実戦の方が緊張感があるからか上手くいきやすい気がする。


 やっと成功したが、発動には1秒ほどかかってしまっている。

発動に関してはまだまだ先は長そうだ。


 「よしよし。マジックシールドはもっと使い慣れるようにガンガン使っていくとしよう。」


 とりあえずは1戦闘につき最低1回は使おう。


 「それにしても武技は面白いな。いつもと同じように振り下ろしたのに切れ味が違う。」


 使用時も何か見た目に変化があるわけではないので、相手に気付かれにくいのもいい。


 『威力が上がるからね。でも調子に乗って素材を傷めないようにね。今回は大丈夫だったけど。』


 そうか、それもあるのか。

気をつけて使わないと斬り過ぎて素材がボロボロとか困るな。


 「気をつけるよ。それじゃあ時間も無くなってきたし解体して街に戻るか。」


 もう昼を過ぎて3時間以上は経っている。

今回は6体倒しているので、急がないと暗くなってしまう。


 『じゃあ東に進んで昨日の小川に行こうか。』


 ここからなら急げば30分で着くだろう。


 僕は今倒したレッサーリザードを担ぎ上げる。バッグに入らないからだ。

そして重さに少しげんなりしながら東に足を向けた。












 解体をし、急いで街に戻ってきた時にはもう日も暮れていた。


 混み合っている中報告と買取をしてもらい、さっさとギルドを出て宿に向かう。


 (合計で7800トリア。この調子でお金貯めて、装備を整えたいなぁ。)


 未だに主武器に使っている剣は拾った物だ。

少しだけ欠けがあるのでその内折れそうで怖い。

出来れば新品が欲しい。


 『革鎧とかもあったら良いんじゃないかな。』


 防具か。確かにあった方がいいな。

怪我をしても治せるとはいえ、負った直後はどうしても痛みで動きが鈍る。

というか痛いのは普通に嫌だ。


 (剣の次に防具だな。あとはマジックバッグ用の無属性魔石も探さなきゃな。)


 必要な物や欲しい物を挙げていく。

これが直近の目標となるだろう。


 『レベルを上げて、冒険者ランクを上げて、お金貯めて、装備を整える。やる事は沢山あるね。』


 (だな。よし!いっちょ明日も頑張るとしようか!)


 明日は何をしようか。

思念でメイと、あの依頼はいい、この依頼はダメなどと話しだす。


 それと同時にふと思う。

この始まったばかりの第2の人生の事を。


 まだまだ世界に慣れたとは言えず、時折り不安になってしまう事もあった。

なんせ目覚めてたったの4日目なのだ。慣れる方が難しいだろう。

だけどそれでも、それ以上に、僕はこの世界と人生をとても楽しいと思っている。


 頑張ろう。

頑張って強くなろう。

そうすれば、僕のやるべき何かが見つかる気がする。


 そっと小さく心に刻み、僕は大通りを進む。

まだ知らない明日に向かって。

作者都合により明日から少しだけの間

1日1話投稿、もしくはお休みになります。

ごめんなさい。


簡潔に言えば作者の自宅アパートの不備により

引っ越しを余儀なくされました。


また明日?

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