028 魔法と絶望
2話目です。
「これおいしいな。」
南門を出た僕はパンを片手に南西に進んでいた。
森で集めたリンゴが無くなってしまったので朝食としてギルドを出た後に購入した。
一応昼食分も買ってある。
『100トリアだったらサイフを痛まないし丁度良さそうだね。」
確かに値段的に朝と昼には良さそうだ。
だがそれとは別に近場で安くて多くて美味しい物を探すのも楽しいかもしれない。
余裕が出来たら色々な物を食べてみたいものだ。
「明日もこれだな。っとそろそろ丘陵地帯か。」
いつもとは反対側なので見える景色が新鮮だ。
この先は丘と草原と岩場と言った場所になるので、森とはまた状況が変わる。
しっかりと意識を切り替え、慎重に進み始めた。
ズバッ!
黄土色をしたレッサーリザードの噛み付きを避け、剣を振り下ろして首を切断する。
[レベルアップしました]
本日2体目のレッサーリザードの戦闘を終えるとレベルが上がった。
「お、これでレベル3か。」
剣に付いた血を振り落とし、鞘にしまうとステータスを確認する。
「相変わらずMPは異常だな・・・。そういえば魔法ってどうやって使うんだ?」
せっかくこんなにMPがあるのだ。
回復くらいにしか使わないのでもったいなく思っていた。
『異常って・・・。それと魔法に関してだけど・・・。」
ん?
何気なく聞いたのだがメイは黙ってしまった。
どうしたんだろう?
「どうした?」
『属性魔法・・・、使えないよ・・・。』
はい?
「は?使えない?なんで?」
『私たちが、無属性だから・・・。』
「ええっ!?」
ここにも影響出るの!?
「ど、どうしても無理なのか?」
『魔法って、使いたい属性の魔法スキルを取得することで使えるようになるの。だけど私たちは無属性だからスキルリストには属性魔法スキルが出てこないんだよ。』
む、無理じゃん!!
「そんなぁ・・・。」
魔法が使えない。
何気なく聞いたつもりだったが、意外と期待していたらしい。
僕はがっくりとその場に膝をつき、ただただ落ち込む。
「魔法・・・。」
『属性魔法は使えないけど、無属性魔法なら使えるよ。』
「魔法!?」
使えるの!?
『え?何・・・?まぁいいや。正確には魔力制御になるんだけどね。』
魔力制御?魔法じゃないのか?
「どういうことだ?」
『無属性魔法はね、スキルじゃないの。自分の魔力を操って、魔力の塊を打ち出したり、盾のような物を出したりっていう感じのものなの。』
スキルじゃないのか。
それに聞いた感じ、本当に魔力制御だな。
『それと属性魔法はスキルがある程度魔力を制御してくれるけど、無属性魔法はスキルじゃないから完全に自分で制御しなきゃいけないの。だから凄く難しいんだよ。』
「なるほど。」
『あとは魔力効率もかな。例えば炎魔法のファイア・ボールはMP10で使えるけど、無属性魔法で同じくらいの威力のマジックショットを使う場合、大体MP100使うよ。』
な、なるほど。つまり。
「つまり要約すると、無属性魔法はスキルでは無く、魔力を操って使用する魔法で、制御が難しくてMPも10倍くらい使うと。」
『そういう事。先に言っておけばよかったね・・・、ごめんね。』
少し混乱したが何とか理解出来た。
それから落ち込み過ぎてしまったのかメイが申し訳なさそうにしていた。
「いや、聞かなかった僕も悪かったよ。それより、これって僕たちはMP消費が多くても問題無いよな。」
何せ3200万ある。
例え100が1000になっても気にならないレベルだ。
『無いよ。魔力制御が難しいだけだよ。』
「ということはとにかく訓練すればいいだけだな。どうしたらいい?」
また明日。