237 森の魔物達
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全速力で突撃してくる魔物達に向けて、15本のマジックソードを撃ち込む。
ズドドドドドドドドドドドッ!!!!!!
「グギャーッ!!」「シャー!」「ガァーッ!」
いつもより少しだけサイズを大きくしているからか、重い音が響く。それと同時に、攻撃を受けた魔物の断末魔が周囲から放たれた。
「よし」
先制攻撃としては中々良かっただろう。
15本もの数のマジックソードを出す事は、この間まで出来なかった。出来るようになった理由は、アホ勇者のスチュアートのおかげだ。いや、アイツにおかげなんて言葉は勿体無いわ。アイツのせいの方が合ってるな。
あの時、怒りに任せてマジックソードを使った。その際に出した本数は17本。いつもなら出せて5本くらいが限界だったのに、驚きの3倍超である。
そうして怒りで無意識に使ったとは言え、17本も出した感覚がしっかりと残っていたからか、マジックソードの最大創造数が増えた。現在は、先ほど出した15本までなら何とかいける。それ以上はまだ難しい。
「成功してよかった・・・」
ホッとしたように小さく呟く。
何せ、15本までなら出せるのは間違いないが、失敗も普通にあるからだ。制御が難しいため、剣の形がおかしくなる。途中で消えてしまう。変な方向に飛んでいく。と言った感じだな。
今回は、形がおかしくならず消えず、狙った方向に飛んで行ったため成功だ。
先頭集団が吹っ飛んでいったため、少しだけ間が開く。その間にメイへと報告を入れた。音でわかっているとは思うが、一応な。
(戦闘開始したぞ)
『わかったよ。・・・気をつけてね』
返事は即座にきた。思念の声に、心配の色が感じられる。仕方ない。適宜報告は入れるとしよう。
構えた武器を握り直し、後続の魔物を待つ。すると、数秒ですぐに現れた。
「来た。よし、とりあえずは手数でいこう」
ギャーギャーと喚きながら向かってくる魔物を見据え、ナインは左手の魔導銃を持ち上げる。銃口の向かう先はもちろん魔物だ。
5000程の魔力を込め、トリガーを引く。
バシュンッ!!!
「ギャッ!?」
撃ち出された魔力弾を顔面に受け、オオカミ型の魔物が吹き飛んでんいく。
「そら!追加だ!」
そして同時に、再度15本のマジックソードを創り出し、周囲へと即座に放つ。
ズドドドドドドドドドドドッ!!!!!!という、これまた先ほども聞いた音が響き渡る。その後の魔物の断末魔も同じだ。
基本はこのスタイルでいき、遠距離攻撃を抜けてきた奴がいれば剣で対応。と言った感じだ。あとは、状況を見て考えるとしよう。臨機応変というやつだ。
あっ、とそうだ。
絶えず魔導銃とマジックソードを放ちながら、周囲に転がる魔物の死体に鑑定を使用した。1体だけではなく、なるべく多く確認していく。
「・・・ふむ。Eが大半でDが少しか」
鑑定結果を口に出し、状況の整理をする。
おそらく今向かって来てるのは、森の魔物だ。ダンジョンにはCランク以上しかいないからな。
森の魔物が先に来たのは、ダンジョンの魔物に追い立てられたからだろう。となれば次に来るのは・・・
『ナイン。今どんな感じ?』
そこまで考えたタイミングでメイからの思念が届いた。丁度いい。報告しとこう。
(E、Dランクの魔物が来てる。たぶん森の魔物だな。Cランクはまだ見てない)
『数は?』
(あー、と今で大体100いかないくらいかな)
『結構来てるね』
(だな)
ざっくりとだが現在の状況を伝え、弾幕を抜けてきた猪型の魔物を右手の剣で斬り捨てる。
魔物の密度が濃くなってきた。これは、来るな。
そうナインが思った瞬間、森の魔物の後方にチラリと青い波が見えた。
「来たか・・・」
(ちょっと待って)
小さな声を溢したナインは、見えた青い波の正体をしっかりと確かめるべく、確認するまで一旦メイには待ってもらうことにした。
絶え間なく攻撃を撃ち込み、森の魔物達を倒していく。そうして前方にいた魔物が10秒もかからずにいなくなると、後方にあった青い波が押し寄せてきた。
距離的に有効可能範囲だとわかったナインは、青い波に対して即座に鑑定を使用する。そうして次々に表示される内容に、ボソリと鑑定結果を呟く。
「Cランクに水属性・・・。多少他属性もいるけど、青の洞窟の魔物だな」
青い波の正体は、自身の予想通り青の洞窟から出てきた魔物の大集団だった。
次回更新は明後日です。
それではまた。