231 賑わうギルド1
祝!!3万PV!!
次の目標は10万ですね!
宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。
「すまんすまん。ほれ、酒を奢るから許してくれ」
「・・・はぁ、わかりました」
集団筋肉包囲事件の後、ナインとメイは、ガンドットと一緒にギルド併設の酒場へと移動してきていた。
いきなり囲んで話しかけたことを悪いと思っているのか、ガンドットが飲み物を奢ってくれる。それを受け取りながらナインは、じゃあ最初からやらないでくれと思った。
ガンドットのパーティーメンバーは、一緒に来ていない。彼らはめいめいに散っている。新たなターゲットでも探しているのだろう。いい迷惑だ。
「お前さんら、ルチルのパーティーメンバーなのか?」
カップの酒を一息に飲み干し、おかわりを頼んだガンドットが聞いてきた。どうやら筋肉が絡まなければまともなようだ。ずっとそうしていてくれ。
「そうです。イース大陸のカルヴァースで会って、そこから組んでます」
「もう2ヶ月ちょっと経つね」
「ほう、そうなのか。ふむ、あのルチルがな・・・。うむ。いい事だ」
僕とメイの言葉にガンドットは、どこか安心したような雰囲気を見せた。
その様子に首を傾げていると、気付いたガンドットは話し始めた。
「ルチルは、実力があるし人付き合いも下手じゃない。だがほとんどパーティーを組まず、ソロばかりだったからな。心配してたのさ」
「なるほど」
同じ冒険者として、見守っていたということか。親かあんたは。
ただまぁ、実力はあるのにソロばかりする魔法使いというのが心配になるのは、わかる気がする。何かあった時、助けてくれる者が側にいないのだから。
僕は、少しだけ離れた場所にいるルチルへと視線を向けた。
その心配されていた本人は、先ほど話していた人とは違い、レイピアを腰に下げ、薄手のローブのようなものを着た女性と話していた。
「ん?ああ、今ルチルが話している相手は、煌閃姫だな」
「へぇー、あの人が」
誰だろうと思っていたら、ガンドットが教えてくれた。なるほどあの女性がそうか。
長い褐色の髪を三つ編みにし、メガネをかけた女性。彼女が煌閃姫と呼ばれているAランク冒険者だ。
「確か、光線を撃ちまくって光まくる人でしたっけ」
レイピアを持っているが、魔法メインの戦い方をする人だったか。楽しそうに話している姿が見える。同じように魔法メインのルチルと魔法好き、いや魔法マニア同士気が合うのだろう。
「わははは!!そうだ!ルチルから聞いたのか?」
「はい。有名な方を大体で教えてもらいました」
笑うガンドットに、防護否定という二つ名も聞いていると伝える。すると、酒場の入り口付近から何やら大きな声が聞こえてきた。
「さあさあッ!!わたくし特製の爆弾が年末セールで半額ですわよ!!!さあさあさあッ!!見ていきなさいッ!!」
成人前の少女のような声の持ち主が、何やら爆弾の年末セールを始めたらしい。彼女の声が聞こえたのか、ギルド内にいた冒険者達が、わっ!と酒場入り口に集まって行く。あ、グレンも向かっていった。
集まる冒険者の隙間から、声の主らしき少女の姿が見えた。
そうして様子を眺めていると、これまたガンドットが教えてくれた。
「あそこで爆弾を売ってるのは、爆裂娘だな。天才爆弾職人の」
「あ、やっぱりそうなんですね」
臙脂色のローブを着た15歳くらいの少女だ。その子が、ウキウキとした笑顔で楽しそうに爆弾を売っている。見た感じは普通の少女といった印象だが、確か『自分で作った爆弾を笑って投げまくる子』だったはずである。そう思うと、あの笑顔が怖く見えるのが不思議だ。というか、爆弾って売っていいのか?いや、実際売ってるし、ギルド職員に止められたりしてないから大丈夫なのか。グレンが行ってたのが見えたから、たぶん買うのだろう。あとで見せてもらうとしよう。
というか、何かしまくる人ばかりだな。天駆って二つ名の人も、天駆スキルを使いまくる人だったはずだ。クセがある人が多い。目の前の筋肉とか。
「まだBランクだが、火力という面ではAランククラスはある娘だ。まぁ、被害が大き過ぎて当分はAに上がらんだろうが」
そう言ってガンドットは、わははは!!と笑い声を上げた。
爆裂娘については聞いていた通りだったので、やっぱりそうなんだー。くらいの印象だ。近くでは戦いたくないな。絶対巻き込まれる。
「二つ名持ちということなら、今日は他にも来ているぞ」
「え?本当ですか?」
「うむ。某と煌閃姫、爆裂娘を抜かせばあと2人だな。ほれ、あそことあそこだ」
ガンドットが依頼掲示板の前と、酒場の奥側を指差した。
指された方へと顔を向けると、依頼掲示板前にはエルフの女性が。酒場の奥側には狼獣人の男性の姿が見えた。
「エルフの女子が驟雨。狼獣人の男が嵐刃だ」
次回の更新ですが、作者体調不良により17日となります。
申し訳ございません。
それではまた。